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私が安心できる場所

私が安心できる場所

ひとの痛みを知っている人に惹かれる。
ひとの痛みを知っている人は、自らが傷付いた経験のある人か、よっぽど感受性の豊かな人の二択だと思うから。

私は、ひとの痛みを知っている人と傷をなめ合いたいのでも、その人に自分の痛みを理解してほしいのでもない。他人の痛みなんて全てを分かりきってあげられるはずがないと思っているから。

私にとって誰かを信じたり、他人に期待したり、自分のテリトリーに他人を入れるのっ

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平穏ってちょっと寂しい

平穏ってちょっと寂しい

言葉に残したいってって心がふわってなって、ぶわーって言葉が止まらなくなる瞬間が堪らなく好き。

何か書こうとさえ思わないメンタルが安定している時よりも、メンタルが不安定で言葉が溢れ出て止まらない時の方がよっぽど私らしいような気さえする。

何か書きたいけど、何も書けなくて、
無理やり言葉を紡いでみた。

気持ちが乗らない文字たちは
なんだかものたりない。

思い出の交換

思い出の交換

「明日会える?」
嬉しすぎて即答してしまった。
会えたのはほんのわずかな時間。
それでも、私を思い出して連絡をくれたのが嬉しくて、体調崩しがちな雨の日にずっと履けなかった長靴を履いて、軽快に待ち合わせの場所まで向かった。

共通の趣味がある。不思議なことに、私たちは同じ人たちを見ながらお互いが知らない話をする。
彼女は今の彼らのことを。
私は過去の彼らのことを。

同じ空間にいても人それぞれ感じる

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たからもの

たからもの

もうこれ以上、大切なものなんて増やしたくなかったから、目の前の景色をものすごい勢いで変えた。

モノもヒトも目の前に広がっている風景でさえ、形あるものはいつかは消えてなくなる。しかも失うと痛い。私は両手に収まるだけの“大切”を大事に包み込んで、これ以上“大切”が増えないように自分と世界に線を引いた。

自分から動かないとそれ以上にも以下にもなり得ない、限りなく閉塞的な空間。
閑散とした光景を思い浮

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ないものねだり

ないものねだり

「羨ましいけどね」

心友がそう言ってくれた。
泣きそうになった。

17の時、暗い部屋のベッドの中で、
キラキラした映画やドラマを観ながら
当たり前に青春を送る同級生を横目に
ただ羨むしかなかった日のことを
思い出してしまったから。

当時の私には当たり前がとにかく眩しくて
当たり前への憧れが私の原動力だった。

だから、何気ないこのたった一言で
あの辛かった日々が報われた気がした。
本当にあり

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