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茶道の心

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茶道に関する原稿をまとめてます。
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コラム:自由な茶

茶道は床の間があり畳を敷きつめたでの茶室でしか出来ないと思われる方も多いと思いますが、昔より野遊びとか野がけといい外で茶会を催すことがありました。今は野点といいましてピクニック感覚で茶を点てて、客に振る舞うこともできます。とくに自由な茶を楽しむのであれば茶箱が合います。茶箱とは茶を点てるのに必要な最低限の茶道具を収納して移動しやすい箱や籠などの容器に入れ収めたものをいいます。
山登り専門の店にも山

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利休道歌

利休道歌

千利休(せんのりきゅう、せんりきゅう)
大永2年(1522) - 天正19年(1591)
大永2年(1522) 和泉の国堺の商家(屋号「魚屋(ととや)」)に生まれる。幼名は与四郎。法諱は宗易。居士号は利休。抛筌斎。父は田中与兵衛(田中與兵衞)、母は宝心妙樹。祖父は、足利将軍家の同朋で千阿弥といい、その名をとり、正親町(おおぎまち)天皇より許されて、千姓を名乗ったのです。北向道陳・武野紹鴎に茶道を習

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茶の頂き方

茶の頂き方

お茶が点てられた茶碗が出されましたら右手でその茶碗をとり次のお客様との間に置きまして「お先に頂戴します」と挨拶をいたします。これは一般常識のひとつですから説明することもないでしょう。次にお茶碗を自分の正面に置き、亭主(お茶を点てた方)に「お点前頂戴いたします」と挨拶をいたします。これは亭主が客のために点てた心に対するご挨拶です。コーヒーを入れてくれたら「ありがとう」と言うのと同じ事です。それがイン

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四畳半

四畳半

仏教では四畳半とほぼ同じ約一丈の四方である空間を方丈(ほうじょう)といい、そこには全宇宙が内在していると言われます。その考えを受けて茶室の四畳半も宇宙万物すべてが納められていると言われています。
茶室は四畳半を基準と考え、それ以下を小間(こま)、それ以上を広間(ひろま)といいます。茶室により点前・道具の位置に少し違いがありますが、基準となるのは四畳半ですので、稽古は四畳半の姿が基本となるのです。

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口切りの炭手前

口切りの炭手前

名残りを過ぎて陰極まり陽の精緻を極める行事である炉開き、茶人にとっては一陽来復の盛儀であり、茶人の正月と云われます。その正月を迎えて最初に行われる茶事が「口切り」であります。無事に新年を迎え、親類縁者を招く節振舞いに近い意味があり、客は正月の拝賀と同様の心構えでにじり口をくぐります。古くより、口切りの茶事に呼ばれることは、茶人として認められた証と言われています。

羽箒

初掃を合図に客は炉に寄り

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茶の本

茶の本

今日では外国の人々が茶道を習うことは珍しいことではなくなってきています。茶道を習うことで華道・香道・書道といった日本文化を学べ、季節・風習・伝統行事から食事作法や生活感まで知ることが出来ますので、茶道をたしなむのです。そのことに、最初に目を付けた外国人は桃山時代の宣教師達でありました。キリスト教布教の過程で日本人との交流目的と日本人を理解するのに、茶道が重要であると考えたのです。
それから350年

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茶

抹茶といえば細かい泡のイメージが頭に浮かぶと思います。茶道で出る茶には薄茶と濃茶の二種類があります。読んで字の如く薄い茶と濃い茶であります。本来は濃茶が正式であり、濃茶器には客の人数分だけ茶が入っており、当然やり直しがきかず、その茶を使い切ります。泡一つなく練り上がった茶で、イメージとしてはトロッとした感じです。茶の薫りをも一緒に飲み込め、亭主の心を頂いている事がとても感じられます。薄茶は泡が細か

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茶道の心

茶道の心

「侘び」「寂び」という言葉は誰もが耳にしたことがあると思います。それを定義付けることは大変難しいことでありますが、はっきり言えることは日本独自の美学性と哲学性があり、それを理解するのに茶の心が必要であるということです。
千利休は侘び茶の完成者であります。その利休が語った言葉で「利休七則」が今日まで伝わっております。

茶は服のよきように炭は湯の沸くように夏は涼しく冬は暖かに花は野にあるように刻限は

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