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四畳半

仏教では四畳半とほぼ同じ約一丈の四方である空間を方丈(ほうじょう)といい、そこには全宇宙が内在していると言われます。その考えを受けて茶室の四畳半も宇宙万物すべてが納められていると言われています。
茶室は四畳半を基準と考え、それ以下を小間(こま)、それ以上を広間(ひろま)といいます。茶室により点前・道具の位置に少し違いがありますが、基準となるのは四畳半ですので、稽古は四畳半の姿が基本となるのです。
四畳半の茶室は、畳の敷方が定められています。正式には本勝手四畳半本床の形で、にじり口から正面に床の間があり、その前の畳は位の高い客が座るので貴人畳といいます。次の畳は客が座るので客畳、茶道口から一歩踏み入れる畳を踏込畳、風炉の時に風炉釜や水指を据えて点前をする畳を点前畳、お茶の点った茶碗、点前が終わり棗・茶杓などの拝見物を出す畳を道具畳とそれぞれ図にあるように称します。


炉の畳

炉の場合は畳の敷方が少し変わります。貴人畳・客畳・点前畳は変わりませんが、踏込畳を横に敷き、中心に半畳の畳を敷きます。半畳の畳は炉が切られた位置に来ますので炉畳と称します。
茶室は畳の敷方と炉の切り方により決まります。図にある畳の敷方は四畳半で炉の切り方は本勝手でありますので四畳半本勝手となります。更に床の位置が本床になりますので四畳半本勝手本床となるのです。そして、この本勝手を反対にした茶室を逆勝手といいます。他に一畳の寸法の四分の一を切り取った台目畳を点前畳に用いている茶室を台目といい、点前畳の勝手付き向こう側に炉が切られた隅炉、点前畳の客付き向こう側に炉が切られている向切りとあります。その三通りの切り方に逆勝手があるので、合わせて八通りの炉の切り方があるのです。それに畳の枚数で茶室が構成されているのです。


​広間と小間

四畳半以上の広間は、六畳・八畳・十畳などから大げさに言えば百畳でも間取りが取れます。小間の茶室は侘び茶の空間とされますが、広間の茶室は侘び茶を中心に使う事が出来ますが、小間に比べて明るく、格式ある雰囲気ですので点前では棚を使い、道具も鮮やかな取合せが好まれます。特に茶のはじまりとなる台子は書院のもので、小間では決して出来ません。広間の良さは風格ある雅な茶ができることです。
四畳半ですと茶が点ちますと客は躙って取りに行きますが、広間ですと立ち上がり取りに行きます。行くときは右足で立ち、右足で縁を越えます。茶碗は右手で取り左手に乗せ、拝見物は亭主が持ち帰るときと同じように道具を取ります。帰りは左足で立ち、回るときには亭主が点前座から帰る足運びと同じ足運びで、正客であれば連客がいる方に背を向けないように回り、次客以下は正客に背を向けないように回り、左足で縁を越えて自席に戻ります。客の位置、茶室の広さにより足運びが微妙にずれる事もありますので基本を生かして臨機応変にしなければなりません。特に大寄せの茶会などは広間が多く、普段の稽古は四畳半を基準としていますので応用が必要となるのです。


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