短編小説集『夏物語』をAmazon Kindleで発売しました。

「如月さん、小説を書いてみませんか?」と、とある大手出版社から声をかけてもらったのは2015年の初め。2000文字の超短編小説の連載依頼でした。どんなテーマで何を書くか、と考えたとき、私は小説家ではなくそもそも俳人なので、俳句をテーマにしようと思い立ちました。

私は有季定型(季語が入って五・七・五の一七音を基本とする、型の決まった表現)という伝統を守りつつ、その器に、現代の働く女性という立場での素材をつかったリアルな俳句をつくり続けています。しかし、俳句は、どう観賞していいか、味わえばいいのか、わかりにくいという側面をもっています。

もうそろそろ、俳句をつくりはじめて20年たちますが、未だに友人達に私のつくった俳句を味わってもらうのは難しいようで「よくわからないけど、なんだかいい感じがする」とだけいわれます。

そこで、決めました。俳句の世界では、どんな時にどんな気持ちで詠んだのか、と、説明するのは野暮な行為とされています。それを、説明ではなく小説という形で破ってみようと。あえて野暮な行為に踏み込んでみようと。

これまでに私がつくった俳句をタイトルにして、その五・七・五という表現が生まれるまでにどのようなドラマをたどったのかを、改めてたどりなおしてみようと思ったのです。ですので、作品にはどこかに一部、私の本当の経験が含まれています。

そして生まれた3作。その連載が掲載されるはずだった文芸誌の企画が、中止になったという詫び状が届いたのは、3作目を納めた直後でした。

宙に浮いた3つの作品。せっかく書いたものなので、なんらかの形で、興味のある方に読んでいただきたい。そう思って、本の体裁にレイアウトすることにしました。

1999年に平日毎日配信した「俳句+ドローイング」というメールマガジンでコラボレーションしたイラストレータの加藤龍勇さんと、数々の仕事をご一緒したグラフィックデザイナーの武田英志さんがこの試みに賛同してくださり、イラストとデザインでご参加いただきました。本当にありがとうございました。

そうやって、2015年に、PDF版という形で配布した作品集を、今回、キンドル版で出版してみることにしました。つまり、電子書籍のみです。

実は、連載という話でしたので、残りの秋と冬と春も、どの作品でどんなことを書くのか決めています。この『夏物語』を気に入ってくださった方がいらっしゃれば、どこかで『秋物語』『冬物語』『春物語』をお読みくださる機会もあるかもしれません。

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女性、52歳。南国生まれ育ち。故郷の大学を卒業後、地元で3年間OL生活をしたのち25歳の時東京へ。アルバイト生活からいくつかの転職を経て勤続22年ののち50歳で退社。50歳から大学院修士課程に進学し、修了。好きな俳人は久保田万太郎。
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