掌編小説【グルメ】
♯クリエイターフェス10/8のお題「ご当地グルメ」
「グルメ」
「『ご当地』って、そもそも範囲はどこを指すのかなぁ」
「そりゃ、『都道府県』じゃないの?」
「それだと範囲が広すぎないか?」
「愛知県名古屋市のご当地グルメのエビフライだって、同じ愛知県の犬山市で『ご当地グルメですよね?』って聞いたら困惑されるんじゃないか?」
「あそこは『げんこつ飴』だったわね」
「そうなのか?」
「きなこ好きにはたまらないのよー」
「…だからさ、もっと狭い範囲だよ」
「市町村かしら」
「そんなところかな」
そんなどーでもいい話を、いつものように夫と食卓でしていたら、物静かな義父がポツリと言った。
「ご当家グルメは、ばあさんの味噌汁だな」
「あら、あなたったら…」
義父以上に物静かな義母が、カラになった義父の汁椀におかわりをよそっている。
いきなりいい話になった…。
おわり (2022/10 作)
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