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働くって何なんだ?!「だから写真はやめられない」

■働くって何なんだ?!

友人である写真家・青山裕企さんの写真集、スーツ姿のサラリーマンたちが宙に浮いている姿を捉えた「ソラリーマン」の副題を引用しました。
働く人のコミカルにも見えるジャンプ写真に加え、それぞれの「働く」についての考えが記されている文集でもあります。

さて今回、私にとって「働く」とは何かではなく、この仕事に就く前に「働く」をどう思っていたかを、恥ずかしながら振り返りたいと思います。

写真を生業にした経緯は前回のnoteに詳しくありますが、学生時代には別の仕事を目指していました。その理由は、

自分が得意なことでどう社会の役に立つかしか考えていなかったから

です。今みると、優等生的な言葉だと思いますが、そこに主体性はありません。明らかに「働く」が間違っていました。

ひとそれぞれ「得意なこと=できること」があり、
それに対して「社会の役に立てること=すべきこと」が出合って、
両方にまたがることが「したいこと=働くこと」であると錯覚していたのです。必ずしも

「働く」=「できる」×「すべき」
あるいは
「仕事」∈「できること」∩「すべきこと」

ではないことに気づいていませんでした。

大学の講義室(学生時代に撮影)

散らかり放題の下宿。懐かしい

■じゃあ、何なんだ

当時は大学院で研究室にこもり、高温で溶けた金属やその酸化物を扱う実験を繰り返していました。自ら選んだ進路にもかかわらず、どこか楽しめずもやもやしながら。研究という仕事にそもそも向いていないのか、それとも今の環境が合っていないだけなのかをはっきりさせようと、専門分野に関わる企業のインターンシップにも参加しました。
その結果、置かれていた環境が自分と合っていないようだったので、大学に残るのは諦め、就職先候補となる研究所を絞り始めました。それで納得するはずでした。しかしなぜか楽しい将来をイメージできず、そのうちに残りの大学院生活すら踏ん張れなくなってきました。

そんなある日、大学の友人がふと

「自分が好きなことをやることで、周りに少し役立つぐらいが、仕事としてちょうどいい」

と言葉をかけてくれ、自分自身を縛っていた考えから解放されました。振り返れば当たり前なのかもしれませんが、自分だけではここにたどり着けないほど塞ぎ込んでいたのです。一度リセットして、ゼロから働くこと探しをするのが許されたと思えるようになりました。つまり

「働く」=「好き」×「すべき」
あるいは
「仕事」∈「好きなこと」∩「すべきこと」

に切り替えられたのです。
もちろん、ある程度年を取るとそうとも言えなくなるかもしれませんが、少なくとも最初に挑戦する職業はこの式に従うべきだと思っています。仕事で壁にぶつかった時に踏ん張るための根拠として、「好き」は最大の力を発揮します。もっとも、卒業や修了から逆算して在学中に好きなことを磨くことは最低限必要でしょう。
って今の若い方々にとっては、当然のことなのかもしれないですね。就職氷河期や、企業側の都合による社内配置が問題であるケースもあるかもしれませんが。

大学3回生、初めての海外旅行は中国だった

旅にはまり、2度目は休学してチベットへ

同じ旅、パキスタンで出会った真っ直ぐな少年

3度目はモンゴルで遊牧民と生活

■あ、これでよかったんだ

ひとり旅で写真を撮ったり、劇団で役者をしたりしていた私は、現在のモットーである「emotive & creative」が好きなことだと自覚するようになりました。感動を周りから与えられ、自分なりの解釈でものごとを伝えるのを仕事にしたい、と。カメラを担げば感動する出会いがあり、創造的に世に出すことも可能な写真は、まさにそれでした。

すると、ほぼ同じタイミングで

「夢は公言することで叶う」

とまた別の先輩からアドバイスを受けました。とても恥ずかしかったのですが、僕は「写真でメシを食うようになる」ととにかく言い続けるようにしました。始めのうちは「実家はお金持ちなの?」とか、「大学に出してくれたのに親不孝者だ」という声を浴びました。が、次第に夢に近づくことができました。これは何も不思議なことではありません。声に出すことで周りから情報を与えてもらえるようになっただけなのです。

これは働き出してからも、歳をとってからも、ずっと一緒なんだと思っています。年をとればとるほど夢を語るのは照れくさい。でも言わないと、出会いが舞い降りてきません。

そもそもフォトグラファーという職業の最大のメリットとも言えるのが、いろいろな人と容易に交われることです。セレンディピティに満ちあふれています。
だから写真はやめられません。

初の展示は学生時代に美大の友人と

大学院中退で京都を離れる直前に開いた初の個展

■追記

最後にひとつ宣伝させてください。

11月22日(木)19:30から
東京・高円寺のパンディットで
青山裕企さんとトークライブを行います!

お互い毛色の違う写真家だとは思いますが、その分広がりのある話ができると思っています。「働くって何なんだ?!」も語り合いたいですね。

Photographer’s Talk Live #11 ぼくらが写真を撮る理由
〜同世代写真家対談!青山裕企と紀成道が飲みながらドキュメンタリーとか写真とか色々しゃべる夜〜

詳しくは
http://pundit.jp/events/3826/
をご覧ください。

みなさんにお会いできるのを楽しみにしております!

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