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「何か質問ある?」の聞き方が優しくない時代らしい

「困ったら何でも言ってね」が優しくないと言われる時代になった。

上司から具体的な指示がないと動かない若者が増えている。「困ったら何でも」は、たしかに抽象的な言葉だ。そう声をかけたのに、何も質問してこないと悩む上司も多いらしい。

これが例えば、「ここはわかる?」と質問したら具体的になるので、反応してくれるのだろう。でも、正直そこまでするのは面倒くさい。

このような状況を無視すると、組織として溝が出来てしまう。それは向き合わなくてはいけない課題だ。

質問が来ません

妻から部下との向き合い方について相談があった。部下は、中途で入ってきた25歳の男性。未経験採用だったため、業界のことを勉強中らしい。

妻は彼に「この資料を午後までに修正して、ファイリングしてほしい」と指示を出した。指示の最後に「何かわからないことがあったら言ってね」と声をかけて自分の仕事に戻った。

昼休みの前に、進捗を確認したところ想定の半分も作業が進んでいなかった。早い人だったら午前中には作業を終えられる内容。何か困ってると聞くと「グラフの修正方法がわかりません」と。

いやいや、聞いてよ!
と叫びたくなったらしい。

作業は予定より遅れて完了。夕方のミーティングまで資料が間に合ったものの、あのまま進捗を確認していなかったらと思うとゾッとした。

また、夕方のミーティングが終わったあと、1on1で彼に「今、仕事で困ってることや質問はあるか」と聞いたところ、「ありません」と返答がきた。

妻は「いや、最近の子ってみんなこんな感じなのかな。あたしだったら、すごい質問あるけど」と愚痴をこぼしていた。

整理できない言葉たち

「いや、言ってほしかった」という場面は仕事に限った話ではない。学校や家庭内でもあり得ること。若者だからという理由で区切らない方がいい。

具体的な質問でなければ答えられないのは、言語化する力が関係している。言語化とは頭の中にあるイメージを言葉にすることだ。そんなこと当たり前に思うかもしれないが、こんな単純なことでさえ出来ないのだ。

質問ができない部下も日常会話はできる。しかし、自分の行動を言語化するのは出来ない。これは頭の中で整理が出来ていないからだ。

指示を出したあと「その作業を具体的に説明して」と聞いてみてほしい。説明できる人は理解できているが、できない人は行動できない。何故ならわかっていないから。

そこで何がわからないか明確になる。とりあえずやってみて!だと、いざ詰まったときに考え始めてしまう。そして、言葉にしようとしても説明できないから、言うのが面倒くさいとなってしまう。

言葉にすることがまず大切だ。

キーワードを拾う日常

そもそも、言語化できないのは何故か。インターネットが普及したことで、言葉にしなくても答えを導き出せるからだ。

少し前にTBSで放送していたドラマ「不適切にもほどがある」の中で、「昭和はうるさかった」という印象的な台詞があった。道を聞くのも、情報を聞くのも、人との会話からはじまっていたのだ。

今はわからない言葉でも、ネットで調べればすぐ解決する。キーワードは拾えても、その言葉を文章として並べることができない。かくいう私もネットに頼ることが多いため、言語化に悩むこともある。

話を戻すと、「何か困ったら言ってね」「質問あったら言ってね」は、テストで文章問題を問われているようなもので、完璧に伝えようとすればするほど、キーワードが並べにくくなり聞かなくなる。

だからこそ、具体的に聞く方が相手も質問に答えやすいのだ。面倒くさいけど。

まずは日常から

とはいえ、ずっと言語化できない状況は良いものではない。伝えたいことが伝えられないことは、仕事において上司部下共に苦労する。

それを改善していくには、まず言葉を理解させること。なんとなく聞き流していることも、自分が説明できるくらいに理解させることで、言葉の理解が深まる。語彙力を上げるということだ。

「昨日、赤坂でクラシックコンサートあったんだ。クラシックって初めてだったから感動した」

このような会話から抜き出せる情報は多い。「どのくらいの規模で、チケットはいくらで、どんな曲を演奏したのか。初めていってどこに感動したのか」このような情報を抜き出して整理する。

このようなトレーニングを積むと、仕事の会話でも積極的にわからないことを抜き出せる。ポイントは自分ごとになるまで落とし込むこと。


何か質問ある?で何も返ってこなかったら、「今から言うことで何か質問あったら止めてもらっていいからね」と伝えてあげた方がいい。


わたしもnoteを使って語彙力を鍛えようと思う。それじゃあ!

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