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ザ・ノンフィクション1

見つけてしまった。
不正操作ができる仕組みを。。

意気揚々とマネージャーを拝命し、
「よっしゃ、新たな方針を示して
ガンガン良くしていくぞー!」

思っていた矢先、

空いた口が塞がらないどころか、
顎が外れてしまうような出来事が
多々起きる。


①翌月になったら、月初にものすごい額の返品が入る。
②消化取引(売上仕入)の売上未計上により、売上と入金の
差額が出て経理から確認が入る。
③クリアランスセール期間が終わっているにも
関わらず、セール商品の在庫が売場にある。
④未入金の問合せが経理から入る
⑤未照合の値引の問合せが経理から入る。
⑥消化取引(店頭商品も自社資産)の実棚実績が合わない。

これらの実態について、詳しく調べていく。
気が遠くなるような道のり。
そして、多分、文章も長くなる。けっこう、長くなる。


こういった、社会の、会社の、闇。
その「ザ・ノンフィクション」的ドキュメンタリーに
興味のない方にとっては、つまらないかもしれないので
その際は、どうぞ飛ばしていってください。



この詳しく調べていく間、もちろん部署内の
マネジメント業務については目を瞑るほかなく、
全体のパフォーマンスは間違いなく下がるが、
仕方がない。


順を追って確認していく。

①「翌月になったら、月初にものすごい額の返品が入る」。
これは、月末付近に売上予算が届かないため、
無理をして押し込み納品をした結果

売場の在庫保管場所の許容量を超えたり、
先方の仕入予算や在庫予算を超えたため、
その分を先方が当月中に返品処理を行った、ということ。

最悪の場合、納品したカートンに入っていた商品が
店頭に出されることなくそのまま戻ってくることもあった。

本当に無駄ばかりで、何ひとつとして
良いことがない。

納品時には
商品センターの商品ピッキング、値札取付、伝票発行に
関わる費用と、梱包費、配送費、第三者検品費用の負担が発生する。

そして返品時。
返品は基本、着払いで戻される。更に、到着後、開梱してから
伝票と商品の数量の照合をし、値札を外し、

商品の状態のチェックを経て、A品やB品などに分類され、
場合によっては手直しを加えて、商品センターの棚に戻される。

「着払い」、ということは、法人割引が適用されず、
正規料金がかかってしまう。

また、商品センターの手間と費用負担だけでなく、
先方も返品処理をするに当たって、数量の点検、
伝票の作成、責任者の捺印などの業務が増え

1円の売上も利益も稼げないのに、
大きな負担だけ増やすことが行われていた。

それでも、毎月のように同じことが繰り返され、
月初に各担当者の売上がマイナスの状態を
基幹システムで確認して、

「あぁ~、ずいぶん深いところまで潜っちゃったな~笑。」

「いや、俺の方がヤバいよ~。」

「よっしゃ、返品に負けない納品を突っ込んでやる!爆。」

みたいな会話が聞かれた。


バカか、シ○くぞ!
汚い言葉が浮かんできた。

何でかって、マジメに一生懸命やってる人がいる中で
あまりにも馬鹿にし過ぎじゃないのか。

このままでは、社内の見かけ上の売上
立っているように見えても、売上分の入金と連動しないため
最悪、資金ショートする。

納品と返品にかかる物流関連費用の負担だって
ばかにならない。

そんな状況の中で
罪悪感なく、ヘラヘラしていたので
さすがに頭にきて、即刻、納品の仕方を
変えるよう示し、疑わしい行動があった場合は
細かく追及した。

ここに足りないのは
「当事者意識と、危機感だ」
と思った。

ちょっとやりにくかったのが、
直接は聞こえてこない
部署内の不満

こういった方針を打ち出したのは
わたしの管轄する部署のみで、
隣の部署や地方営業拠点などは
従前の方法をずっと行っていた。

なぜ今までオッケーだった方法で、
隣近所やうちの部署以外のところでは
今でも同様のことをしているのに、

うちの部署だけ厳しいこと言われなきゃ
いけないんだ、という不満。

ここは、細かく分解して説明するほかなかった。

昭和の時代の、規模の拡大を目指した
「寝ても覚めても不正してでも、売上上げろ!」
という習慣にどっぷり浸かり過ぎて、

人口増加、大量生産大量消費の時代から
人口減少、成熟市場で求められる効率運用、
規模を小さくしてでも、利益を確保する、
ということが見えていないようだった。

「これは、算数の話。
超カンタンな話。

売上から
原価、物流費や販売スタッフの人件費、
販促費、我々の人件費、本社等の非営業部門の人件費、
事務所の維持費、諸々いろいろ差し引いて、
ようやく利益がどれくらい残るか。

そこで利益が残せないと、昇給原資はないし、
賞与の原資だってない。

だから、言ってるんだ。
直接自分たちも被害を被るし、会社の皆にも被害を及ぼすことになる。」

何度も、何度も、何度も
言い続けることで、少しずつ、
本当に少しずつ、部署内の営業メンバーの
行動は変わっていった。


そして、
他部署が従前のようにやっているのを見ると、

「お前、会社のマイナスになるようなことやっていいのか?
被害を受けるのは、自分だけじゃないんだぞ。
考えたら、わかるだろ。」

と言う人が出てきた。

「おいおい、どの口が言ってるんだ。」
という心のつぶやきが最初に出てきたけど、
当事者意識が芽生え、危機感が出てきた。

意識が変わってきていたことが、
正直、うれしかった。


うれしい反面、今までと異なる方向へ
舵をきらなければならない機会も増え、
当然、メンバーとの摩擦も増える。

マネージャーや管理職になったということは、
マネジメント側に立ち、
「経営に一歩近づいた」ということ。

メンバーに厳しいことを言う機会も増える。
かといって、チームで孤立してしまっては、
上手くない。

メンバーとの距離感がむずかしいところではあるけど、
「一線を引く割り切り」
必要になってくる。



最後までお読み頂き、ありがとうございます。

マネジメントでお悩みの方、
管理職になって日が浅い方、
上司の考えに「?」と思っている方、
カッチカチに古い体制の会社に疑問を持たれている方、
などなど。

お仕事でそんなお悩みを持たれている方に向けて
発信していきたいと思います。

 きのした


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