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「縦隔気腫を合併したCOVID-19の致死率は高い」

TONOZUKAです。


縦隔気腫を合併したCOVID-19の致死率は高い

以下引用

重症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)例においては、肺が脆弱になっていることから、他疾患同様、人工呼吸器の設定によっては圧損傷(Barotrauma)によって縦隔気腫を起こすリスクが高いとされています1)。

 今回紹介するのはEuropean Respiratory Journalに掲載された、「COVID-19における縦隔気腫:重症COVID-19肺炎のフェノタイプか? 英国POETICサーベイの結果(Pneumomediastinum in COVID-19: a phenotype of severe COVID-19 pneumonitis? The results of the United Kingdom [POETIC] survey.)」(Melhorn J, et al. Eur Respir J. 2022 Feb 10;2102522.)です。

 これは、2020年9月から2021年2月まで、縦隔気腫とその発生率に関する調査を行った研究です。英国全体の施設から参加を募りました。

 登録患者は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染と、放射線学的に証明された縦隔気腫があることを条件としました。主要アウトカムは、COVID-19における縦隔気腫の発生率を明らかにし、死亡に関連するリスク因子を調査することとしました。

 合計53病院のCOVID-19入院例5万8484人のうち377人に縦隔気腫が同定されました(発生率は0.64%)。

 COVID-19による縦隔気腫の120日死亡率は195人/377人(51.7%)と非常に高いものでした。COVID-19における縦隔気腫は、人工呼吸器装着率と関連していました。377人のうち172人(45.6%)は診断時点で既に機械的な人工呼吸管理を受けていました。そのため、COVID-19の縦隔気腫において、死亡の予測因子として、高齢(P<0.01)、糖尿病(P=0.08)だけでなく、機械的な人工呼吸管理も重要な予測因子であることが示されました(P<0.001)。

 縦隔気腫と診断された後に酸素・高流量鼻カニュラ酸素療法に切り替えても、残念ながら、死亡率に差はありませんでした。

 人工呼吸管理が開始される前から縦隔気腫に陥っている症例はちらほらあって、ほとんどが重症例になることから、縦隔気腫がCOVID-19の予後不良因子であることは明白です。

 以前、縦隔気腫や気胸の予測となる放射線学的所見として、Macklin効果を紹介しました(参考記事:COVID-19における気胸・縦隔気腫の発症を予測するには)。縦隔気腫/気胸が発症する8.5日前にMacklin効果が見られる、というものです2)。
(参考文献)
1)Özdemir S, et al. Incidence and risk factors for pneumomediastinum in COVID-19 patients in the intensive care unit. Interact Cardiovasc Thorac Surg. 2022 Jan 18;34(2):236-44.

2)Palumbo D, et al. A radiological predictor for pneumomediastinum/pneumothorax in COVID-19 ARDS patients. J Crit Care. 2021 Aug 11;66:14-9.



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