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「ワクチン2回後感染で嗅覚消えた43歳彼女の辛酸」

TONOZUKAです。


ワクチン2回後感染で嗅覚消えた43歳彼女の辛酸


以下引用

厚生労働省によると、新型コロナウイルスに感染して自宅療養をしている人は2月16日時点で、全国57万7765人。前の週から3万人以上も増加している。

世間では「オミクロン株は風邪と似たようなものだ」「軽症のまま治るから心配しなくていい」といった情報を耳にするが、実際のところはどうなのだろうか。感染を経験した人たちの体験談をつづっていく


今回、話を聞いたのは、2月上旬にオミクロン株に家族内感染した、東京都在住の世路塔子さん(仮名・43歳)。コロナワクチンは「ファイザー製」を昨年7月と8月に2回接種済みだ。

実は今、彼女はオミクロンの後遺症で嗅覚がうまく働かず「匂いがわからない状態」だという。食事をしても風味を感じず、視覚で確認しないと、何を食べているのかわからない状況だ。

全寮制の息子の学校からコロナクラスターが発生

「息子は他県の全寮制中学校に通っているのですが、1月中旬に『コロナ感染者が出た』と学校から連絡がきました。その後、『寮で約50人のクラスターが発生した』というんです。その全寮制の中学校が急遽休校になったため、息子は2月3日に帰省。濃厚接触者は寮で10日間の隔離になると連絡が入り、『息子は濃厚接触者ではない』ということでした」

塔子さんは夫(47歳)と息子(15歳)と娘(9歳)の4人家族だ。クラスターが発生した中学校を管轄している保健所から、息子さんは「罹患者・濃厚接触者に該当しない」と判断されていたため、家で普通に生活をしていた。

「本人も普通に元気そうだったので、心配もしていませんでした。でも、今考えれば、息子は帰省したときから花粉症のような『鼻水、喉の痛み、微熱』があったんです。でもその症状を軽くみていました」

息子さんが帰省した2日後の2月5日(土)夜、塔子さんにも同様の「鼻水、喉の痛み、微熱」の花粉症のような症状が現れる。

2月8日(火)、症状がひどくなってきたので、塔子さんは医療機関(発熱外来)を受診。次の日にPCR検査結果が出て、陽性と診断された。

以下は塔子さんが体調の異変に気付いた2月5日(土)の後、時系列で症状を追わせてもらったものだ。

【1日後】2月6日(日)、鼻水や倦怠感があった。花粉症かと思い、自宅にあった花粉症の薬を飲む。しかし、効果は感じなかった。

【2日後】2月7日(月)、悪寒を感じ、急に寒くて仕方ない状況。体温を測ると38度の発熱を確認。さらに、倦怠感、頭痛、身体の節々の痛み、鼻水。症状から「もしかしてインフルエンザにかかったかもしれない」と思う。頭痛や身体の節々の痛みを取りたくて、自宅に保管しておいた鎮痛剤(ロキソニン)服用。しかしほとんど効果がなかった。

【3日後】2月8日(火)、症状がひどくなってきたため、医療機関(発熱外来)を受診。症状は前日と同様で、38度の熱、倦怠感、頭痛、身体の節々の痛み、鼻水。PCR検査を受け、医師に「対症療法ですがお薬出しますね」と言われて薬を処方される。処方されたのは、ロキソニン、モンテルカスト錠、デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠、アラミスト点鼻液。薬の説明書には鎮痛、鼻水や咳を鎮める、抗炎症などそれぞれの効果が書いてあった。

周りに言い出せず無理して仕事をすることに

【4日後】2月9日(水)、PCR検査が陽性になる。症状は37度の熱、倦怠感、鼻水、喉の痛み、咳。病院で処方された薬を飲む。オンラインで仕事をしている人たちに「オミクロン感染した」とは言いだせず、無理をして仕事をすることに。

【5日後】2月10日(木)、症状は倦怠感、鼻水、喉の痛み、咳。病院処方の薬を飲む。

【6日後】2月11日(金)、症状は倦怠感、鼻水、喉の痛み、咳。病院処方の薬を飲む。

【7日後】2月12日(土)、鼻水は出なくなったが、同時に「匂いがわからなくなっている」ことに気づく。症状は喉の痛み、咳。病院処方の薬を飲む。

【8日後】2月13日(日)、症状は「完全に匂いがわからない」のみ。特別な対処はなし。

【9日後】2月14日(月)、症状は「完全に匂いがわからない」のみ。特別な対処はなし。

【10日後】2月15日(火)、症状は「完全に匂いがわからない」のみ。特別な対処はなし。

その後も匂いがしない状況が続く。

2月12日(土)、オミクロンの症状が出てから7日目。鼻水が治まった後、塔子さんはある異変に気がつく。食事の「匂いがわからない」のだ。

「私はカレーが大好物で、その日はインドカレーが無性に食べたくなりました。お昼にレトルトの『ホウレン草&チキンのカレー』と『トマトカレー』の2種類を温めて食べようとしたんです」

しかし、いざ食べてみたら、味が全然わからない。2つとも「辛くて酸っぱい」としか感じず、カレーの味がしなかった。一瞬何が起こったのかわからなかった。

「めちゃめちゃ不味いカレーを買ってしまったのかな、とも思ったんです。でも、よく味わってみても、2種類の味の違いもわからない。カレーのパッケージを見なかったら、カレーを食べていることもわからないくらい、味を感じませんでした」

匂いがしないからなのか、普段のように味を感じ取ることができない。そのほかの食事も同様に、ご飯もみそ汁も匂いがない。風味がわからないのでおいしくない。

その後少しずつよくなってきている気はするが、2月19日の取材時点でもまだ匂いがわからない状態が続いている。

家庭内感染で娘も同様の症状に

塔子さんが体調の異変を感じた2日後に、娘さんにも「鼻水、喉の痛み、微熱」と同様の症状が現れていた。ただ症状は軽く、夜に38度まで熱が上がったときはあったものの、翌朝には36度になった。そのまま咳などの症状も軽く、普通に生活をしている。

「娘はPCR検査を受けていません。でも同じ症状があったということで、病院からは『みなし陽性です』と言われました。そのまま自宅待機で、という感じです」

コロナ感染の疑いはもっていなかったので、娘さんも家族と普通の日常を送っていた。息子さんの帰省後はみんなで一緒に食卓を囲んでいる。また、寝るときは塔子さんと息子さんと娘さんは同じ部屋で就寝。もちろん家の中でマスクは装着していない。

「でも、娘の症状が軽くて安心しました。私と息子はコロナワクチンを2回打っていますが、娘は9歳ということもあり、まだワクチンは1回も打っていないので……。彼女は今も元気に過ごしています」

家庭内感染が広がっている間、夫だけは自主隔離で別の部屋にこもり、感染を免れたようだった。

「実は、夫はオミクロンの前の『デルタ株』のときにコロナ感染しているんです。2021年7月の第1週目で、東京都のコロナ感染者が劇的に増える前でした。『夏風邪のような症状で下痢が続く』とは言ってたんです。2~3日後に発熱して、PCR検査をしたら陽性でした」

まだ病院の病床がコロナ患者で埋まる前だったので、夫はそのまま入院することになった。

「当時、病院はコロナ感染対策でお見舞いができない状況。だから私も夫の状態がよくわからなかったんです。夫は肺炎になったようですが、1週間ほどで退院。退院してからもよく『しんどい』とは言ってましたね」

夫からの優しい気遣いはなかった

コロナのデルタ株では呼吸が苦しくなるような症状が多かった。そのときと比べて、夫から見たオミクロンの症状は、よっぽど平気そうに映ったのだろう。

「私が今回、オミクロンに感染して具合が悪いときも、夫から優しい言葉は1つもありませんでした。自分のときと比べて軽症だからと『症状は軽いし、大丈夫でしょ?』『軽い軽い、そんなのコロナのうちに入らない』と。実際、家事も育児も全然協力してもらえなかったんです。前々から感じていたのですが、本当に残念な人だと再確認しました」

確かに同じコロナでも、デルタとオミクロンでは症状が大きく異なる。家族間でそれぞれが2種類のコロナに見舞われた場合、このような感覚のズレはありうることなのかもしれない。

「夫にお風呂洗いをお願いしたり、子どもの寝かしつけを頼んだりしても、忙しいからと協力してくれない。さらには『陽性になっても全然動けるじゃん』『コロナ移さないでよ』とも言われました。今は夫婦げんかというか、夫とは口をきいていない状態ですね」

また、自宅待機の状況下、子どもの兄弟げんかも多くなったという。

「本当にささいなことでいちいち兄弟げんかをするんです。足が当たったとか、テレビで見たいものが違ってチャンネルの取り合いとか。自宅待機でこもっていないといけないし、外に出られないストレスもたまっていたでしょうね。ただその光景を毎日毎日みているのはキツイと感じましたね」

今回のオミクロン感染では多くの感染者が自宅待機を命じられている。家にこもることで生まれるストレスは、家族間のけんかにつながることは容易に想像できる。

塔子さんに聞いた「オミクロン感染でツラかったこと」のなかには、「仕事関係の人たちに感染したと言いにくい」というものがあった。

「私は自営業で、1人で仕事をしているので、代えがきかないんですよね。オンライン会議をよくするのですが、『コロナにかかって具合が悪いです』『だからリスケしたいです』とはなかなか言えない。元気なふりをしなければならなかったのがツラかったですね」

それでも、一部の仕事関係の人には、思い切って「オミクロンに感染しました」と伝えたという。しかし、それも世間の「オミクロン=軽い」というイメージが、塔子さんのように症状が強めに出ている人に「具合が悪い」「ツラい」と言いづらい状況にしていた。

「世の中で『オミクロンは大丈夫!』と言われすぎているから、逆に感染したと(一部の人に)伝えても全然心配されないし、リスケも言い出せない状況でした。でも、オミクロンも症状がキツイ人はいるんだぞ、と声を大にして言いたい。『インフルエンザにかかりました』というと、体調を気遣う人もいるのでしょうが、そこと同等くらいはキツかったです」

感染を自覚していない感染者が街中を動き回っている?

反対に、塔子さんの息子さんのような軽症者は、今の季節だと「花粉症」と思ってしまう場合がある。そのように、街中には感染を自覚していない感染者が動き回っている可能性があり、そうした人たちを介してどこで感染が広がるかわからないのが現状だ。

「感染を自覚しない人はもちろんPCR検査をしないので、コロナ感染者数のデータにもカウントされてないですよね。ということは、普通の生活をして家庭内で感染が広がって陽性者にカウントされていない人たちも相当数いるのではないでしょうか」

確かに、実際の感染者数は、現在確認されているコロナ感染者数をかなり上回っている可能性もあるだろう。

ただ、そのオミクロンが自分の身近な人に移ったとして、例え軽症だったとしても、自宅待機のストレスのせいで、関係性が悪くなってしまうのも寂しい。とくに家族の誰かが感染したとき、家にこもるストレスに負けずに、体調不良や後遺症を支え合えるような心構えは大切だ。

また、完全に追えない面があることも承知だが、感染者と濃厚接触の可能性がある場合、放置することで、身近な人を感染させてしまうリスクが生じる。さらに「濃厚接触者」という判断は、意外に曖昧で難しい側面があるようだ。少しでも自分が心配な状況にいたのなら、一定期間だけでも自粛した生活を送っておくのが無難だろう。



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