感想など
➀概要・あらすじ
もう7,8年前になりますが、阿部寛さん主演でドラマ化もされました。
ドラマの方は、話の流れは同じでも、見せ場や活躍する人物など随分と演出がなされていました。特に、1話ずつに2つの対立場面を描いて~例えば、裁判、会社の会議、人間関係の葛藤、「正義、主役」側が勝つ、よくなることで、見ている人のカタルシスがありました。
今回の「ガウディ計画」編は、ドラマの後半部分になります。
ロケットエンジンづくりの技術を生かして、「人工心臓」「人工弁」などの開発への夢を追う内容でした。
②医者とは何なのか、医療とはどうあるべきか
医者という仕事の特殊性も感じました。悪役ではありましたが、世良公則さん演じる貴船教授の言葉は強烈です。
自分は病気になって地域の町医者の所へ行くことがほとんどなので、内部事情などは知りません。
「白い巨塔」のようなドラマで勝手にイメージするのみです。
でも、お医者さんも人であり、病院もある意味「経営」がなされる会社みたいなものなので、ドラマに出てきたような複雑な人間関係や「暗部」があっても不思議ではないなあと思いました。
③働く意味、仕事の意味について
今回は医者側の悪役として貴船教授がいて、世良公則さんが演じていました。患者の為にと人工心臓の開発に携わっていましたが、出世や名誉に目がくらみ、医者として大切なものを見失っている姿が描かれていました。ただ、そんな姿を見ながら、自分はどうかと顧みた時、胸に迫るものがありました。
例えば、次のような言葉がありました。
仕事でも、生活でも、目的と手段、何のためにしていたのかを見失ってしまうことは多々あります。
幸せになるために給料をもらっていたはずなのに、給料をもらうためなら、たとえ不幸でも、メンタルをやられても、耐えなければならないにすり替わっていることがあります。「健康の為なら死んでも構わない!」と同じで、目的が手段に乗っ取られていて、「挫折」や「大病」にでもならないと、自分では気づけないところにまで行ってしまいます。
仕事の意味、何のために働き始めたのか、初めのころの夢は何かを問いかけられたようなきがしました。
池井戸潤さんは、銀行員から作家になった方で、会社や銀行、金融の実情に詳しく、またそこで織りなされる人間ドラマをもとに、会社の在り方や働くことの葛藤など、様々な問題提起をされながら描いています。働くことに関する言葉の熱量も半端ないものがあります。だから、ストーリーの面白さ以上に、読んでいて引き込まれていくのだと感じました。
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです