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自主学習という宿題⑦「自分の考えを図や文章に表す」

学校の先生は、自主学習という宿題をやらせたがります。
それは、おそらく、子ども達に自ら主体的に学習できるようになってほしいという願いがあるからだと思います。

もしそうだとするなら、自主学習という宿題を出しても、それは実現しません。
詳しくはこちらをご覧ください↓


もし自主学習をやらせるのであれば、

①やりたいと思う楽しい課題を出す
②スタートラインを揃える

この2点は必須です。

自学メニューを大量に書き出したメニュー表を作成しても、子供たちはやらいたいと思うわけではなく、むしろテンションが下がります。

また、自主学習のマニュアルを作成し、やり方を説明しただけでは、
スタートラインは揃った状態にはなりません。

必要に応じて個別支援をしてはじめてスタートラインが揃うのです。

これに加え、問いを持たず、受け身学習をしてきた多数派の子たちの中にも、マニュアル作成して説明しただけでは、理解できない子もいるはずです。
だから、何度か学級全員に授業中に自学を取り組ませ、自学に必要な技能があるのか個別に評価して、支援していきます。

そこまでしないとスタートラインは揃いません。
学習におけるスタートラインとは、
徒競走のスタートラインとは意味が違います。
スタートラインが揃ったとしても、
自学メニューの多さや、どんなことしたらいいのか戸惑う子がいます。
根本的な課題を解決するには、やはり、

自主学習に必要と思われる技能を鍛えていくしかありません。

その技能は以下の通りです。
これは、普段の授業で鍛えていきます。

①問いをもつ
②めあてを立てる
③自分の考えを図や文章に表す
④誤答に学ぶ
⑤ユーモア
⑥自分と対話する

この自主学習に必要と思われる技能を授業でどうやって鍛えるのかについてお話ししています。
前回までは、「問いをもつ」「めあてを立てる」についてでした。
今回は「自分の考えを図や文章に表す」についてです。

具体例をつかって説明します。

問題

今階段の下にいます。まだ階段は1段も上っていません。6段の 階段を 「3段上ったら 2段下がる」ということを 繰り返しながら 上ると、1番 上の段に つくまでに、全部で 何歩 歩くことに なりますか。(上りも下りも歩いた数に いれます。)

メイツ出版「親子で挑戦!!面白算数パズル」算数パズル研究会著 

全部で何歩歩くことになったか分かりましたか?

たし算さえ学習していれば、1年生でも2学期以降であれば実践可能です。
小さいうちからこのような問題に慣れ親しむことは大切です。

低学年であれば、特に具体的に考えていかないと到底理解できません。
そこで大事になってくるのが図です。

高学年などでこの問題を実施すると、結構間違えます。

どうしてだかわかりますか?

計算を自動化してしまうからです。

3歩上って、2歩下がることから、1段上るのに5歩。
それが6段分だから、
5×6=30
答え30歩
と答えてしまうのです。

これは九九暗唱脳に洗脳されています。

これを、文章題を解く思考過程にそって考えていけば間違えません。

文章題を解く思考過程

①問題文を読み、内容を理解する。
②理解したことを図や表に表し視覚的に捉える。
③式を立てる。
④計算する。

5×6=30
として答えを出した人は
①②をとばしています。
なぜか?

それは算数の教科書では、このような問題を取り扱うことがほとんどないためです。
でてきた数値を計算してしまえば、だいたい正答にたどりつけます。
だから皆、正答に早くたどりつくために合理的な手段を求めたがるのです。
これではいっこうに、論理的思考力は高まりません。
また、メタ認知能力も高まりません。

問題文の意味が、おおよそ分かった時点で、それを図に表すことができれば、
5×6にならないことがわかるはずです。
問題文が理解できたかどうか、下ような図がかけないと理解ができたとはいえません。
なぜかというと、わからない人に説明ができないからです。
自分の中で分かっただけでは、本当に理解したとは言い難いです。
分かったつもりになってるだけなのです。

3段目に到達した時点で、あと3段上れば6段目に到達します。
図にすると下のようになります。

これがわかってはじめて、
5+5+5+3
もしくは、
5×3+3

という式が立ち、

答えは18歩になるというわけです。

ご家庭でも学校でも気軽にできる面白問題です。
ぜひやってみたらいかがでしょうか?

このように、図に表して考えたり、わかったことを自分の言葉で振り返ったりすることは、メタ認知能力を育む上で重要な活動です。

自主学習では、自分の目標を明確にし、計画を立て、実行し、成果を振り返るなど、さまざまな能力が求められます。

これらの能力を高めるためには、メタ認知能力が必要です。
メタ認知能力とは、自分の認知過程をモニターし、コントロールする能力です。

具体的には、以下の3つの要素から構成されています。

  • 自己認識:自分の知識や技能、理解度などを認識する能力

  • 目標設定:自分の学習目標を明確にする能力

  • 自己調整:自分の学習過程を評価し、必要に応じて学習方法を調整する能力

自主学習では、これらのメタ認知能力がなければ、
以下のようなことが難しくなります。

  • 自分の学習目標を明確にできない

  • 適切な学習計画を立てられない

  • 学習が進まない

  • 学習の成果を評価できない

例えば、自分の学習目標を明確にできないと、何を学習すればよいのか分からず、学習が進みません。
また、適切な学習計画を立てられないと、
学習の進捗状況が把握できず、
学習が中断してしまう可能性があります。

このように、自主学習では、メタ認知能力がなければ、学習を効果的に進めることができません。

3日坊主で終わってしまうのは、メタ認知能力が低いことが原因です。

自主学習を効率的に進めるためには、
メタ認知能力を高めることが重要です。

そのためには、以下のことが定着するよう授業改善が必要となります。

①問いをもつ
②めあてを立てる
③自分の考えを図や文章に表す
④誤答に学ぶ
⑤ユーモア
⑥自分と対話する

日々の授業で①~⑥を鍛えていくことで、メタ認知能力が高まります。

自ら「問い」が生まれてきた時、自主学習がスタートできるのです。

以上、「自分の考えを図や文章に表す」についてでした。

参考になる方いたら幸いです。


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