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自主学習という宿題⑤「問いをもつその②~国語で問いを鍛える~」

学校の先生は、自主学習という宿題をやらせたがります。
それは、おそらく、子ども達に自ら主体的に学習できるようになってほしいという願いがあるからだと思います。

もしそうだとするなら、自主学習という宿題を出しても、それは実現しません。
詳しくはこちらをご覧ください↓

もし自主学習をやらせるのであれば、

①やりたいと思う楽しい課題を出す
②スタートラインを揃える

この2点は必須です。

自学メニューを大量に書きだしたメニュー表を作成しても、子供たちはやらいたいと思うわけではなく、むしろテンションが下がります。

また、自主学習のマニュアルを作成し、やり方を説明しただけでは、
スタートラインは揃った状態にはなりません。

必要に応じて個別支援をしてはじめてスタートラインが揃うのです。

これに加え、問いを持たず、受け身学習をしてきた多数派の子たちの中にも、マニュアル作成して説明しただけでは、理解できない子もいるはずです。
だから、何度か学級全員に授業中に自学を取り組ませ、自学に必要な技能があるのか個別に評価して、支援していきます。

そこまでしないとスタートラインは揃いません。
学習におけるスタートラインとは、
徒競走のスタートラインとは意味が違います。
スタートラインが揃ったとしても、
自学メニューの多さや、どんなことしたらいいのか戸惑う子がいます。
根本的な課題を解決するには、やはり、

自主学習に必要と思われる技能を鍛えていくしかありません。

その技能は以下の通りです。
これは、普段の授業で鍛えていきます。

①問いをもつ
②めあてを立てる
③自分の考えを図や文章に表す
④誤答に学ぶ
⑤ユーモア
⑥自分と対話する

今回から、この自主学習に必要と思われる技能を授業でどうやって鍛えるのかについてお話しします。

今回も「問いをもつ」「~したいという欲求」です。
今回は国語の学習で問いをつくる学習をして鍛えます。

物語教材を使って、自分で問題をつくるのです。

アーノルド・ローベルの「お手紙」

がまくんは玄関前にしゃがみこんでいました。かえるくんがやってきて言いました。
「がまくん、どうしたんだい? 悲しそうじゃないか。」
「うん。」とがまくんは言いました。
「1日のうちで今が悲しいときなんだ。お手紙を待っている時間だからね。いつもぼくをとっても不幸にするんだ。」
「なぜなんだい?」とかえるくんはたずねました。
「一度もお手紙をもらったことがないからだよ。」とがまくんは言いました。
「一度も?」かえるくんはたずねました。
「うん、一度も。」とがまくんは言いました。
「だれもぼくにお手紙を出してくれないんだ。毎日郵便受けはからっぽさ。そういうわけでお手紙を待つのはぼくにとって悲しいときなんだ。」

有名な「お手紙」の冒頭部分です。

問題つくりを通して、読み取りも深めていきます。

どのようにやるのか、実際に問題を作って説明します。

「がまくんは玄関前にしゃがみこんでいました。」

上の文は、

「誰が、どこで、どうした。」

という構造の文です。

①誰が、玄関前にしゃがみこんでいましたか?
→がまくん。
②がまくんは、どこにしゃがみこんでいましたか?
→玄関前。
③がまくんは、玄関前で何をしていましたか?
→しゃがみこんでいました。

のようにつくります。

この基本の問題文がつくれれるようになったら、
なぜ?の入った問題文をつくらせていきます。

④どうして、がまくんは、玄関前にしゃがみこんでいたのですか?
→お手紙を待っていたからです。

このように、問題文と答えをセットで考えさせることで読みが深まります。

慣れたら簡単ですが、はじめて1年生や2年生が取り組む場合には、
丁寧に説明していく必要があります。

問題文のタイプ別に点数をつけると、
子ども達のやりたい気持ちが高まります。

1点:誰が?
2点:どこで?・いつ?
3点:どうした?
4点:どのように?
5点:なぜ?
といった具合にです。
あくまで例なので、実態に合わせて変えていきましょう。

この問題作りで一番考えさせたいのは、やはり「なぜ?」です。
深く読み取らせていくためにはこの「なぜ?」は不可欠です。
同時に、問いをもつためには、この「なぜ?」を常に考えていく必要があります。
そのトレーニングとなります。

以上、「国語の学習で問いをつくる学習をして鍛える」
でした。

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