自主学習という宿題その③
学校の先生は、自主学習という宿題をやらせたがります。
それは、おそらく、子ども達に自ら主体的に学習できるようになってほしいという願いがあるからだと思います。
もしそうだとするなら、自主学習という宿題を出しても、それは実現しません。
自主学習という宿題を出したら子ども達がものすごい意欲的に学習に取り組むようになるなんてありえますか?
どうしてこのようになったかというと、学級経営方針が明確でないからこんなことになってしまうのです。
仮に自主学習をやらせたいのであれば、自分の学級経営方針のどこに位置付けられるものなのか、明確に説明できないといけません。
あわせて自主学習の目的もです。
自主学習は、学級経営上のゴールに到達するための1手段にすぎません。
ですが、実際には、その手段たる自主学習をやることが目的となってしまっているのです。
これでは主体的な学習態度が育つはずありませんね。
学校の先生は忙しいため、どうしても便利な手段を使いたがります。
もちろん必要な場面もあるかもしれませんが、目的は何かを明確にしないことには手段を乱射しても何も起こりません。
そういうことを大学では教えてもらえません。
学校に入っても教えてもらうことはまずありません。
自分で気づいて勉強しない限り、一生子ども達は受け身の授業を受け続けることになります。
自主学習など無理してやらせずに、授業を楽しくする方がよっぽど主体的に学習する態度が育ちます。
でも、学年主任が自主学習好きだから、自分のクラスだけやめるわけにはいきませんなんていう若い方もいることでしょう。
そんな先生のために、今回は、スタートラインの揃え方をお話ししようと思います。
もし自主学習をやらせるのであれば、
①やりたいと思う楽しい課題を出す
②スタートラインを揃える
この2点は必須です。
今回は
②のスタートラインを揃える
について考えていきます。
合理的配慮の回に登場した図を使って説明していきます。
自主学習を開始するにあたって、
いきなり何の説明もなしにやらせる先生はいません。
おそらく、自主学習マニュアルを作成し、
やり方や、自学メニューの説明など取り組み方について詳しく説明するはずです。
ここまでは、左の図になります。
つまり自主学習について全員平等に伝えている状態です。
ですが、よく見てください。
一番右の子は、全体で説明しただけでは、まだ自主学習はできません。
個別支援が必要となります。
さらに下の図をご覧ください。
左の44番の子は、自学の説明を聞いて、わかったような、わからなかったような状態です。
全くできないというわけではなさそうです。
クラスには、このような子が意外といます。
いわゆるグレーゾーンと呼ばれる子たちです。
この子たちも個別支援は必要になります。
自主学習のマニュアルを作成し、やり方を説明しただけでは、スタートラインは揃った状態にはなりません。
必要に応じて個別支援をしてはじめてスタートラインが揃うのです。
これに加えて、問いを持たずにこれまでずっと受け身学習をしてきた多数派の子たちも、マニュアル作成して説明しただけでは、理解できない子もいるはずです。
だから、何度か学級全員に授業中に自学を取り組ませ、どれくらい自学に必要な技能があるのか個別に評価して、支援していきます。
そこまでしないとスタートラインは揃いません。
学習におけるスタートラインとは、徒競走のスタートラインとは意味が違います。
スタートラインが揃ったとしても、自学メニューの多さや、どんなことしたらいいのか戸惑う子がいます。
根本的な課題を解決するには、やはり、
そこで、自主学習に必要と思われる技能を鍛えていくしかありません。
①問いをもつ
②めあてを立てる
③自分の考えを図や文章に表す
④誤答に学ぶ
⑤ユーモア
⑥自分と対話する
次回から、この自主学習に必要と思われる技能について考えていきたいと思います。
それではまた!
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