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自主学習という宿題⑥「めあて立てる」

学校の先生は、自主学習という宿題をやらせたがります。
それは、おそらく、子ども達に自ら主体的に学習できるようになってほしいという願いがあるからだと思います。

もしそうだとするなら、自主学習という宿題を出しても、それは実現しません。
詳しくはこちらをご覧ください↓


もし自主学習をやらせるのであれば、

①やりたいと思う楽しい課題を出す
②スタートラインを揃える

この2点は必須です。

自学メニューを大量に書きだしたメニュー表を作成しても、子供たちはやらいたいと思うわけではなく、むしろテンションが下がります。

また、自主学習のマニュアルを作成し、やり方を説明しただけでは、
スタートラインは揃った状態にはなりません。

必要に応じて個別支援をしてはじめてスタートラインが揃うのです。

これに加え、問いを持たず、受け身学習をしてきた多数派の子たちの中にも、マニュアル作成して説明しただけでは、理解できない子もいるはずです。
だから、何度か学級全員に授業中に自学を取り組ませ、自学に必要な技能があるのか個別に評価して、支援していきます。

そこまでしないとスタートラインは揃いません。
学習におけるスタートラインとは、
徒競走のスタートラインとは意味が違います。
スタートラインが揃ったとしても、
自学メニューの多さや、どんなことしたらいいのか戸惑う子がいます。
根本的な課題を解決するには、やはり、

自主学習に必要と思われる技能を鍛えていくしかありません。

その技能は以下の通りです。
これは、普段の授業で鍛えていきます。

①問いをもつ
②めあてを立てる
③自分の考えを図や文章に表す
④誤答に学ぶ
⑤ユーモア
⑥自分と対話する

この自主学習に必要と思われる技能を授業でどうやって鍛えるのかについてお話ししています。
前回までは、「問いをもつ」「~したいという欲求」についてでした。

今回は「めあてを立てる」についてです

突然ですが、みなさんの1日の仕事で
「めあてを立てて」
取り組んでいるものってありますか?

仕事であれば、必然的に与えられた目標やノルマなどがあると思いますがそれは
「めあて」ではありません。

ここでいう、
「めあて」とは、与えられたものではなく、自らの意思が働いて作用しているものを指します。

めあてとは、教師が一方的に与えてしまうものではなく、
子供たちとのやりとりの中で生み出されていくものです。
その一連のやりとりが
「めあての設定」
です。
そして、子供たちからでてきた言葉を活用してめあてをつくり、それを全員で確認します。
これが
「めあての共有」
と言われています。

ですので、教科書のめあてと全く同じである必要はありません。
クラスの実態・個々の実態に応じて変わります。
はじめは時間がかかるかもしれませんが、
めあてを自分たちでたてる習慣を身につけさせていかなければ
主体的に学習できるようには一生なりません。

ましてや、授業でめあてを自分で立てたこともない子どもが、
自主学習などできるわけがありません。
論理の飛躍にもほどがあります。
自主学習の前に授業改善が必要です。

ここではあえて取り上げてはいませんが、当然ながら、
協同的学習や個別最適化された学習も形式的なものになってしまいます。

新年度になったら、早い段階で、めあてを自分で立てられるように指導していかないといけません。
それができるようになってからであれば、自主学習を始めることができます。

めあてを自分の力で立てさせるためには、
問いのある問題提示など、
問いをもたせるしかけづくりが必要です。

教科書を開かせたり、教科書を画像として取り込みプロジェクターですべて映し出してしまうような授業からは問いは生まれません。
問題文にある数値を🔲にしたり、問題に使用する表や図、図形、場面や条件の一部を隠したり、オープンエンドの問題を採用したり、絵やイラストだけを見せて気付いたことを発言させたり、導入場面で誤答を提示したりすることで問いが生まれます。
そして、子どもたちが主体的に、問題解決の着眼点を見出し、
めあてを立てられるようになります。

 教科書には吹き出しがありますが、
これは、
実際に教師とのやりとりの中で,出てくるであろうと予想される反応の一例です。
このような吹き出しの言葉が、子供たちから出てくるようになると、めあても立てやすくなります。

間違っても教科書の吹き出しを読ませてはいけません!!

そのためには既習事項が何かを把握しておく必要もあります。

しっかり教材研究していきましょう。


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