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リエゾン学級経営 実践編「座席配置とグループ編成の極意」#144

リエゾン学級経営とは?

「少数派と多数派が互いに寄り添い、共に学び成長するための経営手法であり、これまでにない新しい教育的なアプローチです。」

このコンセプトは、特別支援教育の視点を取り入れ、多様性を尊重し、誰にとっても居心地のよい空間、楽しく学びながら互いを認め合う学習環境を築くことです。そしてその結果として、全員が成長できることを目指します。

少数派を力で抑えこみ、多数派中心の学級経営をして、どや顔して、学校でマウントとっている先生がいました。
なにを隠そう、昔の私です…
恥ずかしい限りです。
こんな先生はまだ、全国にたくさんいると思います。

当然ながら少数派から反発をくらい痛い目に会いました。
5年目にしてようやく目が覚めたのです。
特別支援教育など一切興味がなかったのですが、それ以降必死に勉強しました。
そして現在にいたります。

話を戻します。

リエゾン学級経営は、支援が必要な子を早期発見する役割もあります。

今回は、低学年を対象にした座席とグループ編成について話をしてみたいと思います。

もちろん考え方のベースは他の学年でも活用できます。
発達段階に合わせて活用下さい。

低学年の席替えのポイントは、支援を要する子を散らすことです。
近くにいるからトラブルが起きるのです。
整列のときと基本的に考え方は同じです。
だから距離をおけばトラブルは減ります。

妄想事例を通して説明します。

入学式の次の日のこと。
担任の机の目の前の席に2人の男の子がすわっていました。
Aさん、Bさん。
A「やめて!」
と言いながら、隣にすわっているBさんの机を手でおしています。
B「やめて!」
こんどはBさんも、やめてと言いながら応戦、Aさんの机を手で押し返しています。
こんなやめて合戦…はじめての体験です。

さてどうしたことか…とりあえず、Aさんから理由をききました。
T「ねえ、Aさん、いま「やめて」って言ったでしょ?何をやめてほしかったの?」
A「あのね…うんとね…ええと、ぼくのふでばこ見て「だめっ!」ていってきた」
T「Bさんさあ、Aさんのふでばこがだめっていった?」
B「…ふでばこじゃない」
T「じゃあ何かな??」
と言いながらAさんの筆箱を開いてのぞいてみると…
なんとキャラクターが描かれた鉛筆がびっしり入っています。
これは学校のきまりでもってきてはいけないことになっています。
当然1年生は知らなくても、親は知ってるはず。
新1年生保護者会の資料に必ず明記してあります。

ですが、知ってるはずの親が知らずに、勝手にキャラクターの鉛筆を入れてしまっていたのです。

もちろん本人はまったくそんなことは知りません。
キャラクターがだめだなんてことすら知らない様子。

T「ねえ、Bさん、もしかしてこの鉛筆のこと?」
B「うん、キャラクターの鉛筆だめってお母さんがいってた。だからダメなんだよ!😠」
と強い口調で言う。
すると、突然
AさんがBさんに消しゴムなげつけました。
BさんはカットなってAさんを叩こうとしました。
さすがに目の前に担任がいたので、たたくのは食い止めることができました。

次の日もまた次の日も、この2人は似たようなトラブルが多発…
トラブルの対処に追われる日々を送ることとなります。

このように、支援を要する子が隣にいるというそれだけで、
お互いに刺激しあってしまい、トラブルとなります。

なので、誰をどこに座らせるかということは、トラブルを防ぐだけでなく、授業を成立させるためにも必要なのです。

感情コントロールができず、カッとなって手がすぐに出てしまうような子がいた場合、担任のそばに置きます。

周りの言動が気になって落ち着かない子は、授業に集中できるよう一番前にします。

不規則発言が多い子は一番前か後ろの方にします。

特性に応じて配置する場所もだいたいきめていきます。
そしてその子たちをサポートしてくれる子を隣に置きます。

秘書と呼んでいる子を配置するのです。

秘書とは、担任の学級経営方針を誰よりも理解し、実践しようとする子で、支援を要する子たちにすすんで寄り添い、言葉に詰まったときには、代弁してトラブルを最小限に食い止めたり、未然に防止したりすることができる子のことです。
担任にいつも近寄ってきたり、話しかけてきたりするような子とは違う存在です。

いわば担任の分身です。

この秘書を支援を要する子がいるグループに必ず一人いれます。
そうすれば、グループ学習でのトラブルがあっても仲裁してくれます。
もし一人で仲裁できないようなことがあれば、早めに担任に報告しにきてくれます。

秘書がいれば、トラブルは減ります。
すくなくとも、授業中のトラブルはほとんどなくなります。

問題は休み時間です。

秘書はさすがに休み時間も一緒にはいないので、トラブルを引き起こして教室に戻ってくる回数も多いです。

こういうトラブルの対処こそ実はチャンスととらえます。

トラブルの原因をさぐっていきながら、大事なことを価値付けます。
そして、価値付けしたことを子どもたちに実行していくように促すのです。

実行する子がいるかどうか、その瞬間を見逃さずに観察します。
見つけたらその日のうちに、褒めてやります。
そうすると、褒められた行動はよい行動という価値付けがされるので、真似をする子がでてきます。
この真似する子も見逃してはいけません。
見逃したら、よい行いが広まらないからです。
ここが勝負です。
褒められた子たちは、うれしくなり、さらによい行動をしてみたくなります。
トラブル対処を通して子どもたちを育てていくのです。
よい行動を繰り返していくうちに、できることも増え自信がついてきます。
成長です。
自信がつくと、不思議なことに他のこともできるようになります。

この成長サイクルが理解教育のためのサイクル図で、「とらたいじサイクル図」と呼びます。

トラブル、対処、実行の頭文字をとって「トラ対実」(とらたいじ)となりります。

1学期の6月までには、この「とらたいじサイクル」を完成させることを目指していきます。

リエゾン学級経営は、これからの教育の重要な鍵となるでしょう。
さまざまな背景や特性を持つ子ども達が、お互いを理解し合い、共に成長する。それが、
リエゾン学級経営の目指す未来です。

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一人でも多くの方がこのリエゾン学級経営に賛同し、実践していただけることを願います。
すべての子どもの幸せを祈って!

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