教養が欲しい。
今だに、アニメを教養のないエンタメだと思ってる人がいる。ワザワザ口にはしない。でも、心の奥底では嘲笑しているのが見え隠れする。この前も、60代のオジサマと話していて感じてしまった。
「週末はどこか行った?」
「映画を観てきましたよ」
「お、いいねえ。もしかして、タランティーノ?」
「タラ? いや、アニメ映画です」
「ああ、俺、見ないから全然わかんないや」
「面白かったですよ!」
「そうなんだ。なんかさ、子どもが見る系のものって、どうもね」
「はあ・・・」
「俺、タランティーノ見てきたんだけどさ。もう号泣。やっぱり凄いね、こだわり方が。日本人も、ああゆう映画を作らないと!」
ウチがアニメという言葉を口にしたとき、明らかにオジサマの表情が曇った。すぐに表情筋に力を入れたようなムリした笑顔を浮かべていたが、その奥に潜む軽蔑を隠しきれていなかった。無感情ならまだしも、そこには明らかに見下すような視線があった。
どうして、漫画やアニメ、ゲームといったジャンルは、数ある娯楽の中でも「格下」のような扱いを受けるのだろうか。映画だって、文学だって、演劇だって、美術だって。全て娯楽の一部であることには変わりない。なのに、漫画やアニメやゲームは、ジャンクフードのような「身体によくないもの」という位置付けにされている気がしてならない。
でも、本当は、どれも大差ない。
映画であろうが、文学であろうが、アニメだろうが。受け手側のリアクションによって、その価値は変わってくる。ただボーッと映画を見て「楽しかった」で終わる人もいれば、考えながら真剣にゲームに熱中し「これは哲学だ」と感じる人もいる。
映画に人生を変えられた人もいれば、アニメに変えられた人もいるし、それは人それぞれ違うはず。結局のところ、「なにを感じ、学ぶか」によるのだと思う。そう考えていくと、教養って、むずかしいね。
ああ、教養が欲しい。
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