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【エッセイ】 好き、の話。


恋をするときの自分を思い出す。

ウチ、どんな恋をしたんだっけ。
どんな時に恋を感じたんだっけ。

ウチは受動的な人間だった。告白するとか、しないとかの話ではなくて。恋をすること自体が受動的だった気がする。「恋に落ちる」なんて言葉もあるけど、まさにそれ。大きな穴ぼこに落っこちるみたいに、人を好きになってきた。

穴がある。そこに落ちる。だから恋が始まる。

落ちようと思ったわけではなくて、よそ見をしていたわけでもない。でも、ふと落ちちゃうの。落っこちちゃう。どんどん落ちて、どっぷりハマる。だから、「好き」に対して受け身な人間なんだと思ってた。

気づいたら、好きになってた。そんなことが多かった。成り行きに任せてる、ともいえるかもね。でも、だからこそ、飽きることも多いの。すぐに飽きてしまうこともあった。身を任せるって、そういうことかな。これを、自分の気持ちに正直っていうのかな。

でも、不思議なもので、年齢を重ねるごとに「恋に落ちる」ことはなくなった。穴ぼこが見えるの。見えちゃうの。だから、サッと避けたり、片足だけ突っ込んでみたり。穴ぼこの中を確かめながら、ウジウジと自分の気持ちを自分で転がすようになってしまった。

自制がきくようになった、といえば聞こえがいいけど、たぶん違う。思いっきりがなくなったというか、自分の気持ちに足踏みするようになったというか、ね。だからウチは、恋をするとか、好きになるには能動的になる必要がある。えいやっ、と握り拳を作らないといけないの。勇気を持って進まないといけない。

別にそれが悪いことだとは思ってないの。変な言い方だけど、好きになろうと思うから、好きになってる。それが今のウチなのかな。人為的な“好き”かもしれない。どっぷり穴ぼこにハマれないの。ハマれなくなっちゃったの。でもさ、そんなものなのかもしれないし、良かったこともたくさんあるんだ!

今、ウチは本が好き。あの人のことも好き。他にも好きなものがいくつかある。どれも、好きになろうと思うから、好きになってる。偽物の好き、って言われちゃうかもしれない。でも、おかげで“好き”が長持ちしてるんだよ。ずっと好き。好きを続けたいと思っているもん! 飽きることは少なくなった!

どっちがいいとか悪いじゃないよね。人それぞれの好きがある。変化の中で生きている。たまに自分の“好き”と向き合うと、なにかの気づきがあるかもしれないね。書いてて分かることもある。

好きって、なんだろうねえ。青春だねえ!

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