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育休18日目 新生児と過ごす1ヶ月目は苦行の極み

※修行や苦行という記載はありますが、本記事は仏教や儒教などとは一切関係はありません。

1週間ぶりに自家用車を運転した。
そこで気が付いた。
空って青かったんだな。

空の色なんて気にしたこと今までなかった。

新生児と妻が退院して早1週間。
新生活が始まった。
それは予想していた円満な生活とは裏腹に、難行苦行だった。


多くの家庭では、里帰り出産をする。
新生児を祖父母と一緒に育て、ひと段落したら帰宅する。
しかし僕たちは違う。
なぜなら僕が育休を取得したからだ。
父が自宅で全面的に育児することができる。
だから妻と子は、退院後にそのまま実家へ帰宅した。

育児なんて楽勝だ。
そう思っていたのは初日だけだった。

その1 夜間の育児

当たり前だが、赤ちゃんは腹が減ると泣き出す。
それは四六時中、つまり深夜も早朝も関係ない。
僕は妻と話し合い、深夜の授乳は僕が担当することにした。
(以前長男を出産したとき、妻が体調を崩した経験があったから)

「夜に強い」という自負があった。
出産前は、午前4時まで飲みに行くこともあった。
しかしそれとこれは別問題。
夜間授乳は、一晩に何度も起きなければならない。

娘の場合は、2時間半から3時間に一度起きてくる。
3時間おきに起こされるというのは、想像以上に苦しい。
また、その間にやることは授乳だけではない。

授乳

娘の泣き声で起床し、粉ミルクを熱湯で溶かす。
熱すぎると飲めないので、流水で冷やす。
当然その間にも泣き声は鳴り止まない。
哺乳瓶を口に当てるとようやく泣き止む。

安堵するもつかの間。
美味そうにミルクを飲みながら、次は臀部から轟音が鳴り響く。
大量のう〇ちが、コンニチハ。
稀にオムツの隙間から顔を出すこともある。
服が黄ばむ。悪夢だ。
そうなると、今度は着替えと洗濯。

着替えと洗濯

う〇ちがついた服って、どうやって脱がせるのが一番被害が少ないの?
とりあえず生贄となるバスタオルの上ですべて脱がせる。
おしりふきでサッと臀部を拭い、新しい服に着替える。
汚れた服の洗濯は、とりあえず手洗いして明日洗濯機を回す。

初日は一晩で3回起こされた。
時刻は既に午前5時だった。
この不規則なリズムと責任重大なタスクは、体力と同時に精神力を大きく消耗する。
心地よい睡眠を制限するのは、本当に健康には良くない。

これが毎日続く。
2日目も、3日目も。
昨日も、今日も、明日も、明後日も。
睡眠が安定する3か月まで、ただ毎日続く。
言葉を選ばなければ、これは苦行だ。

その2 外出の制限

家族構成と生活環境をおさらいする。
僕・妻・息子・娘(新生児)の4人家族。
2LDKの賃貸で暮らす。

娘は外出できない

退院後は、外出にも大きな制限がかかり自由に動けない。
新生児は約1か月の間、自宅で過ごすことがよいとされている。
(外界と遮断し感染対策をとるため)
娘が外出できないので、大人のどちらかは必ず自宅に待機する。

また先述のとおり、妻が体調不良になった背景もあり、精神衛生上できるだけ妻に外出してもらうようにした。
僕でも妻でもどちらでも構わない用件「お金をおろす」「おやつを買う」ようなものは、すべて妻に依頼した。

食材の買い出しは妻が担当

僕たちの場合、食材の買い出しをするのは、だいたい妻。
つまり僕が外出する機会がほとんどなくなった。
何度か息子を小学校まで送迎したこともあったが、家を出る用事がそれくらいとなってしまった。

もちろん、気分転換に外出し散歩することは何度かあった。
でも、外出する用事がなくなってしまった以上、玄関の扉を開ける頻度は著しく下がった。
スマートウォッチの万歩計も、多い日で4000歩どまり。
仕事の日は、ほぼ毎日10,000歩を稼いでいた。

まるでこの家だけコロナ禍

そして息子も現在小学校1年生。
とにかく学校から早く帰ってくる。
そうなると長時間自宅にいることもしばしば。
「たいくつ~」
「なにすればいい~?」

やるべきことを早々に済ませ、遊びに行かない日は自宅でゴロゴロ。
雨天時は休日であっても、家族4人がリビングで半日過ごすこともあった。

こんな状況、4年前にも報道で聞いたことあるぞ。
そう、パンデミックの時。
不要不急外出を控えていたあの頃と同じだ。
まるでこの家だけコロナ禍だった。
これから約1か月間、僕たちは世間から置いて行かれる。

次に外出する用事があるのはいつだろうか。
そんなことを楽しみに指折り数えた。

空って青かったんだな

今日、娘の2週間検診があった。
退院して1週間。
無事に大きく育っているかどうかを確認するための検診。

僕は1週間ぶりに自家用車を運転した。
そこで気が付いた。
空って青かったんだな。

1週間たったが、身も心も消費していた。
これまで新生児を育ててきた全人類に捧ぐ。

本当に尊敬する。
本当にお疲れ様。
みなさん、間違いなく全員が優勝だ。

新生児の育児は、間違いなく苦行の極み

新生児の育児がどれだけ大変なのか、恥ずかしながら知らなかった。
これが「無知の知」だ。
ソクラテスも、さすがに育児の大変さを知らなかったんじゃないかな?

いままで誰もが自然と大きくなるもんだと信じていた。
けれどもそうではなかった。
自走して大きくなるまでに、基盤が必要だったこと。
そしてその基盤は、誰かが不眠不休で強固にしてくれていたこと。

新生児と過ごす1ヶ月目は、間違いなく苦行の極み。
しかし同時に、何事にも代えがたい崇高な行為である。

そんな修行は、まだ1週間しか経っていない。
僕は、本堂にすらたどり着いていないようだ。

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