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水引の結びに込められた思い

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普段見かけるご祝儀袋には登場しない古典の結びの紹介と意味などを紹介します。
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#喜結

【華鬘結び】(けまんむすび)

【華鬘結び】(けまんむすび)

寺院などで仏像や曼荼羅を荘厳するために用いられる装飾の一つが「結び」であり、日本では吉祥を表すだけでなく結界を意味するものとして、神事仏事の両方で用いられてきました。
その一つに華鬘(けまん)結びという結びがあります。

華鬘の語源はサンスクリット語の「クスマ・マーラー(kusamamala)」と言われています。
日本の仏教はインドからシルクロードを通って中国、朝鮮半島を渡り、日本に伝えられている

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【松に日の出結び】(まつにひのでむすび)

【松に日の出結び】(まつにひのでむすび)

この結びは縁起物の「松」と「日の出」の二つのモチーフを組み合わせた結びで、豊かに枝を伸ばした松の向こうから朝日が登るシーンを連想させます。

メインのモチーフである松は一年を通して青々とした葉を繁らせる常緑樹であることから、長寿を象徴する縁起物として知られています。
冬の寒い時期にも葉を落とすこともなく、雄々しく寒風を耐え忍びます。

そして後光のように仕上げられた輪っかの部分が日の出を表していま

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【宝結び】(たからむすび)

【宝結び】(たからむすび)

大きな袋の口をキュッと閉めて、金銀財宝でパンパンに膨らんだ形を模したとされる宝結び。

面白いことに水引で作る宝結びと着物のなどの文様に見られる宝結び紋は全く別の形です。

(↑宝結び紋)

水引は物を贈るときに結ぶので、物質的な意味が強くなります。
一方、着物の柄の宝結び紋は連続する八の字が終わりなく続き、繁栄、長寿、多幸などを願う吉祥紋として用いられ、概念的な意味が強くなります。
残念ながら水

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【返りあわじ結び】(かえりあわじむすび)

【返りあわじ結び】(かえりあわじむすび)

「より返し」や「あわじ返し」など、呼び方も色々あります。
結びの基本のあわじ結びの変形です。

一度結んだあわじ結びをもう一度返して結ぶため、寄せては返す波のように「幸せが幾重にも重なっていきますように」「慶びがくり返すように」との意味かあります。
結び終わりの束が上を向いて結びあげる結び方もありますが、どちらのタイプも「何度もくり返す事」を意味するので、結婚式には使いません。
進級祝い、新店舗オ

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【梟結び】(ふくろうむすび)

【梟結び】(ふくろうむすび)

日本で「フクロウ」は
「不苦労」=苦労しない
「福来郎」=福が来る
「富来老」=豊かに年を重ねる
など縁起の良い当て字があることで昔から縁起物として愛されてきました。
まフクロウは夜目が効くことから「世間に明るい」「幸福を見逃さない」との意味もあります。

日本だけで愛されるモチーフではありません。ギリシャ神話では女神アテナの使い、ローマ神話でも女神ミネルヴァの使いとして、智恵と学問を象徴する精霊

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【思い結び】(おもいむすび)

【思い結び】(おもいむすび)

長い間、日本人は「好きです」と面と向かって口にせず、文に認めてやりとりをしていました。 いわゆるラブレターですね。
思い結びはラブレターに添えて送られたと言われています。

いくつもの円を重ね合わせて作られたこの結びの形は、心臓や鼓動を表すと言われています。 このふっくらと丸い形は「心を伝える」という意味で愛を表現するだけでなく、感謝の気持ちを表現するためにも使われていました。
現在では店頭に並ん

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【御神酒結び】(おみきむすび)

【御神酒結び】(おみきむすび)

御神酒(おみき)とは、神様にお供えするお酒のことで神社や神棚にお供えする日本酒です。祭礼などでは御神酒を神前にお供えし、祭礼の終了時にお供えした御神酒をいただきます。
神様にお供えして霊の宿った御神酒をいただくことによって、ご利益があるとされ、日本では古くから行われてきた儀式の一つです。
そんな日本酒を入れる容器を御神酒徳利(おみきとくり)といいます。その御神酒徳利に挿す竹細工首でできたアイテムの

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【寄物陳思】-きぶつちんし-

【寄物陳思】-きぶつちんし-

日本人は昔から言葉にして気持ちを伝えるのが苦手だとされますが、もともと物や情景に気持ちを例えて表現してきた豊かな文化を持った民族です。

【寄物陳思】とは
万葉集の時代から詠み継がれる表現様式で、言葉では表現の難しい目に見えない人の情愛などを、季節のものや情景に例えて謳う方法です。
近代でも「I love you」を「月が綺麗ですね」と夏目漱石が訳したことは有名ですね。
「愛しています」と一言で伝

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