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水引アーティストの舟木香織です。喜結というブランドネームで活動しています。水引という日…

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水引アーティストの舟木香織です。喜結というブランドネームで活動しています。水引という日本の美しい文化を世界中に届けていきます。

マガジン

  • めでたや喜結 ~お祝い事はパーっと!~

    「お祝い事はパーッと!」をコンセプトにご祝儀袋の販売から始まった喜結も5年が経ち、様々な作品を制作しました。 このマガジンでは初心に帰って「お祝い事はパーッと!」を喜結流に解釈した縁起物の作品屋モチーフを中心に新作旧作織り交ぜながらまとめていこうと思います。

  • 水引の結びに込められた思い

    普段見かけるご祝儀袋には登場しない古典の結びの紹介と意味などを紹介します。

    • めでたや喜結 ~お祝い事はパーっと!~

    • 水引の結びに込められた思い

最近の記事

紅白の「紅」って本当は赤くない

喜結の水引は長野の飯田で生産されている水引を使っています。 以前いつもお世話になっている水引屋さんを訪ねた時、ご親切に提携の工場や水引博物館などをご案内してくださいました。(コロナの影響で現在は閉館) 連れて行っていただいた水引博物館に、皇室の婚礼で使われる水引が展示されており、初めて本物の紅白を見ました。 赤くない! 本紅で染め上げられた水引は赤くないのです。 深い緑がかった玉虫色という方がしっくりきますね。 聞いたことはありましたが、本物を生で見れるとは感動です。なにせ

    • 満月二忍辱ノ威勢甲冑海老

      【満月二忍辱ノ威勢甲冑海老】 (まんげつににんにくのいせかっちゅうえび) こちらは元旦にご紹介したお正月飾りです。 海老は背が曲がった形から長寿の象徴であることで知られていますが、伊勢海老は甲冑のような重厚な形から武士に好まれました。また伊勢海老の「伊勢」を「威勢」と当て字をし、ゲン担ぎをして縁起物に用いたり家紋にも用いられてきました。 満月を背に甲冑で武装する姿は、夜が明ける前から準備万端で戦いに挑む姿を思わせます。 大切な人を思い明るい未来を目指し、忍辱の鎧をまとい

      • 波紋の日ノ出に松

        「松」と「日の出」の二つのモチーフを組み合わせ、松の向こうから朝日が登るシーンを連想させる結びです。 日本では昔から太陽は信仰の対象であり昇っては沈む太陽に、人の一生や先祖から子孫へと繋がる生命の営みなどを重ね合わせてきました。 通常ご祝儀袋をあわじ結びで結い上げる際、余った部分はキレイに切り揃えますが、切ることを避けて余った水引を輪にして締めたものを「日の出結び」と言います。 昇る太陽は生命力のみなもと。お祝い事、特に婚礼に使われることが多いです。 そして松は一年を通し

        • 昇天の鶴に松

          【昇天の鶴に松のお正月飾り】 水辺の鶴が飛び立った瞬間に水面に広がる波紋。吐く息が真っ白なキンと冷えた空気を突き破って大きく羽ばたきます。 白銀の世界に常緑の松が映えます。 よく通る鶴の声は天まで届くとされ、天上の鳥と言われてきました。 小ぶりなデザインですが縁起の良い作品です。

        紅白の「紅」って本当は赤くない

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        記事

          【梅松流水白黄金】 (うめまつりゅうすいしろこがね)

          花流水結びという帯の結び方があります。立て矢結びのバリエーションで片方を垂らして流れを出します。 花流水むすびにならって水の流れのように表情豊かな動きで注連縄を作りました。 お飾りは梅と松でシンプルにキリッと。使う色を最小限に抑え、和っぽさを抑えたデザインに仕上げました。

          【梅松流水白黄金】 (うめまつりゅうすいしろこがね)

          Friday Airpot Lonuge

          ずいぶんご無沙汰しています。 忙しさで体調を崩していましたが、やっと少しずつ動けるようになってきました。 今日は新しい事を始めましたのでお知らせです。 podcastはじめました! タイトルにあります「Friday Airport Lounge」が番組名です。 全く水引には関係がないのですが、 音声や動画コンテンツの制作をしている魅せ方プロデューサーのよっしー、 中東を中心にビジネスをされている貿易商のケースケさん、 そして水引アーティストの私。全く接点のなかった3人がc

          Friday Airpot Lonuge

          【華鬘結び】(けまんむすび)

          寺院などで仏像や曼荼羅を荘厳するために用いられる装飾の一つが「結び」であり、日本では吉祥を表すだけでなく結界を意味するものとして、神事仏事の両方で用いられてきました。 その一つに華鬘(けまん)結びという結びがあります。 華鬘の語源はサンスクリット語の「クスマ・マーラー(kusamamala)」と言われています。 日本の仏教はインドからシルクロードを通って中国、朝鮮半島を渡り、日本に伝えられているので、元々のインド仏教が直接伝わったチベット仏教とは違った形で伝承されているよう

          【華鬘結び】(けまんむすび)

          【松に日の出結び】(まつにひのでむすび)

          この結びは縁起物の「松」と「日の出」の二つのモチーフを組み合わせた結びで、豊かに枝を伸ばした松の向こうから朝日が登るシーンを連想させます。 メインのモチーフである松は一年を通して青々とした葉を繁らせる常緑樹であることから、長寿を象徴する縁起物として知られています。 冬の寒い時期にも葉を落とすこともなく、雄々しく寒風を耐え忍びます。 そして後光のように仕上げられた輪っかの部分が日の出を表しています。 日本では昔から太陽は信仰の対象であり、昇っては沈む太陽に、人の一生や先祖か

          【松に日の出結び】(まつにひのでむすび)

          【宝結び】(たからむすび)

          大きな袋の口をキュッと閉めて、金銀財宝でパンパンに膨らんだ形を模したとされる宝結び。 面白いことに水引で作る宝結びと着物のなどの文様に見られる宝結び紋は全く別の形です。 (↑宝結び紋) 水引は物を贈るときに結ぶので、物質的な意味が強くなります。 一方、着物の柄の宝結び紋は連続する八の字が終わりなく続き、繁栄、長寿、多幸などを願う吉祥紋として用いられ、概念的な意味が強くなります。 残念ながら水引の宝結びがどのようなシーンで使われてきたのかまだ調べきれておらず、ご紹介できな

          【宝結び】(たからむすび)

          日本選展 - 現代アートと伝統(第二期)

          開催日が未定になっていたので告知が遅くなってしまいましたが、フランスでの展示がスタートしました。 昨年に引き続き南西フランスにある古城、「ラヴァルダンス城」にて開催される、日本をテーマにした展示会で日本のアーティスト/クリエイターの作品を集めた合同展示会です。伝統的な技巧によって生み出される絵画、書道、彫刻などから枠に捉われない新進気鋭の作家の作品まで様々な作品が展示されます。 私は今回初めてフランスの皆さまに作品をご覧いただく機会をいただき、6点の新作を含む12作品を展示

          日本選展 - 現代アートと伝統(第二期)

          【返りあわじ結び】(かえりあわじむすび)

          「より返し」や「あわじ返し」など、呼び方も色々あります。 結びの基本のあわじ結びの変形です。 一度結んだあわじ結びをもう一度返して結ぶため、寄せては返す波のように「幸せが幾重にも重なっていきますように」「慶びがくり返すように」との意味かあります。 結び終わりの束が上を向いて結びあげる結び方もありますが、どちらのタイプも「何度もくり返す事」を意味するので、結婚式には使いません。 進級祝い、新店舗オープン、出産祝いなどに向いています。 ちなみにこの作品の背景は結構サイケデリッ

          【返りあわじ結び】(かえりあわじむすび)

          【梟結び】(ふくろうむすび)

          日本で「フクロウ」は 「不苦労」=苦労しない 「福来郎」=福が来る 「富来老」=豊かに年を重ねる など縁起の良い当て字があることで昔から縁起物として愛されてきました。 まフクロウは夜目が効くことから「世間に明るい」「幸福を見逃さない」との意味もあります。 日本だけで愛されるモチーフではありません。ギリシャ神話では女神アテナの使い、ローマ神話でも女神ミネルヴァの使いとして、智恵と学問を象徴する精霊とされています。 しかしフクロウは国や民族、また時代によっても不吉なものとして

          【梟結び】(ふくろうむすび)

          【思い結び】(おもいむすび)

          長い間、日本人は「好きです」と面と向かって口にせず、文に認めてやりとりをしていました。 いわゆるラブレターですね。 思い結びはラブレターに添えて送られたと言われています。 いくつもの円を重ね合わせて作られたこの結びの形は、心臓や鼓動を表すと言われています。 このふっくらと丸い形は「心を伝える」という意味で愛を表現するだけでなく、感謝の気持ちを表現するためにも使われていました。 現在では店頭に並んでいるご祝儀袋は祝儀用と不祝儀用しか存在しませんが、包み紙の折形と水引の結び方は

          【思い結び】(おもいむすび)

          【御神酒結び】(おみきむすび)

          御神酒(おみき)とは、神様にお供えするお酒のことで神社や神棚にお供えする日本酒です。祭礼などでは御神酒を神前にお供えし、祭礼の終了時にお供えした御神酒をいただきます。 神様にお供えして霊の宿った御神酒をいただくことによって、ご利益があるとされ、日本では古くから行われてきた儀式の一つです。 そんな日本酒を入れる容器を御神酒徳利(おみきとくり)といいます。その御神酒徳利に挿す竹細工首でできたアイテムの「御神酒の口」と同様に徳利の首に掛けるなどして使われてきた水引の結びが御神酒結び

          【御神酒結び】(おみきむすび)

          【寄物陳思】-きぶつちんし-

          日本人は昔から言葉にして気持ちを伝えるのが苦手だとされますが、もともと物や情景に気持ちを例えて表現してきた豊かな文化を持った民族です。 【寄物陳思】とは 万葉集の時代から詠み継がれる表現様式で、言葉では表現の難しい目に見えない人の情愛などを、季節のものや情景に例えて謳う方法です。 近代でも「I love you」を「月が綺麗ですね」と夏目漱石が訳したことは有名ですね。 「愛しています」と一言で伝えるよりも「月が綺麗ですね」と伝えることで、その方と一緒に過ごす幸せは言葉に表す

          【寄物陳思】-きぶつちんし-

          水引×ダンス×ハープでまさかのファンタジー

          「アートにエールを!東京プロジェクト」に参加した。公開ページに書かれた作品説明には書ききれなかった、作品に込めた思いや今回ご一緒したメンバーのことをこちらに書き残しておこうと思う。作品は特設ページで公開中なので、ご覧いただければ嬉しい。 「Lotus Flower -光の明日へ-」 はじまりのはじまり新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に伴い、活動を自粛せざるを得ないプロのアーティストやスタッフに向けた、東京都の支援プロジェクト「アートにエールを!東京プロジェクト」。私が

          水引×ダンス×ハープでまさかのファンタジー