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【寄物陳思】-きぶつちんし-

日本人は昔から言葉にして気持ちを伝えるのが苦手だとされますが、もともと物や情景に気持ちを例えて表現してきた豊かな文化を持った民族です。

【寄物陳思】とは
万葉集の時代から詠み継がれる表現様式で、言葉では表現の難しい目に見えない人の情愛などを、季節のものや情景に例えて謳う方法です。
近代でも「I love you」を「月が綺麗ですね」と夏目漱石が訳したことは有名ですね。
「愛しています」と一言で伝えるよりも「月が綺麗ですね」と伝えることで、その方と一緒に過ごす幸せは言葉に表すことが出来ない程の胸の高鳴りであるということ、そしてあなたもそういう思いであってほしいとの願いを感じます。

病気の早期回復を願い、切り花を贈ることも、鉢植えは根を張るもの=病気が長引くことのないようにとの心配りであったり、節句などのお飾り一つ一つにももちろん思いや願いがこもっています。
喜結では【以心伝心】というシリーズの作品を展開していて、古典の結びをその意味とともに紹介しています。ご祝儀を送る文化はアジア圏のいろんな国に見られますが、日本のご祝儀スタイルは独特です。


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他の国では基本的にシンプルな封筒にお金を入れて渡したり、現金を封筒などにも入れず、そのまま渡しても失礼にあたらない国もあります。そんな中で日本のご祝儀スタイルはまっさら紙を紙幣の形に折って包み、水引を結い上げて仕上げるという手間のかかる方法です。

次回から「一般的なご祝儀袋のマナー」などでは伝えられることのない古典の結びの意味についてお話していこうと思います。

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