JW223 前代未聞
【開化天皇編】エピソード8 前代未聞
第九代天皇、開化天皇(かいかてんのう)の御世。
紀元前152年、皇紀509年(開化天皇6)1月14日。
開化天皇こと、稚日本根子彦大日日尊(わかやまとねこひこおおひひ・のみこと)(以下、ピッピ)は、重大発表をおこなった。
大后(おおきさき)を定めたのである。
大后となったのは・・・。
ピッピ「それでは、これより披露(ひろう)致す。大后は・・・。」
一同「・・・・・・(; ・`д・´)(;´・ω・)。」
ピッピ「伊香色謎(いかがしこめ)こと『イカメ』殿じゃ!」
一同「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!! ( ゚Д゚)( ゚Д゚)(;゚Д゚)(;゚Д゚)!!!」
衝撃の発表に、一同は騒然となった。
大臣(おおおみ)の物部鬱色雄(もののべ・の・うつしこお)(以下、コー)が吼える。
コー「ちょっと待っておくんなはれっ! イカメは、先代の妃なんやでっ!」
その隣で、コーの弟、大綜杵(おおへそき)(以下、ヘソ)と、その息子、伊香色雄(いかがしこお)(以下、ガーシー)が叫ぶ。
ヘソ「わての娘が大后やで! やりよったで、しかし!」
ガーシー「おとん! 何、言うてんねん! こんなん、おかしいやろっ!」
前回、予想をしていた、四氏族は、慌てふためく。
すなわち、中臣神聞勝(なかとみ・の・かみききかつ)(以下、ミッキー)。
大伴角日(おおとも・の・つぬひ)(以下、ツン)。
久米五十真手(くめ・の・いまて)(以下、マッテ)。
大倭御物(やまと・の・みもの)である。
ミッキー「ま・・・まさかの勝者無しだよ! ハハッ!」
ツン「大王! エピソード210を忘れてなかったとは! やられたじ!」
マッテ「これって、二千年後で言う、ダークホースってヤツっすよ!」
御物「予想外の展開やに!」
続けて、ピッピの兄弟たちが騒(ざわ)めく。
すなわち、同母兄の大彦(おおひこ)。
少彦男心(すくなひこおこころ)(以下、こころ)。
同母妹の倭迹迹姫(やまとととひめ)(以下、トット)。
更に、異母兄の武埴安彦(たけはにやすひこ)(以下、安彦)。
大彦「ピッピ・・・。大王(おおきみ)・・・。それは、良くないと思うんだな。」
こころ「驚きです! 驚くしかないです!」
トット「大王! このようなこと、前代未聞です! お考え直しくださいっ!」
安彦「大王・・・。まこと兄上の御立場を考えていただかないと・・・。」
安彦の言葉に促されるように、件(くだん)の人、異母兄の彦太忍信(ひこふつおしのまこと)(以下、まこと)は、顔面蒼白となって、訴えかける。
まこと「大王! あんまりやで。我(われ)の母上やで。これから、弟である大王が義理の父で、我は息子? 有り得ないんやで!」
そして、この御方が、一番大きな声を出した。
皇太后(おおき・おおきさき)にして、ピッピの母、鬱色謎(うつしこめ)(以下、ウッチー)である。
ウッチー「ピッピ! 何を言うてるんだす! イカメは、先代の妃ですよ! こないなこと、聞いたこと有らしまへんっ! 腹違いとはいえ、兄を息子にするやなんてっ! 先代に! 先代に、会わす顔が・・・(´;ω;`)ウッ…。」
ピッピ「お許しくだされ、母上様。我(われ)は、ずっと、あの方を想って参ったのです。この想い・・・断ち切ること能(あた)わず・・・。お許しくだされ・・・。」
そのとき、別の声が巻き起こった。
ピッピの妃たちの家族である。
すなわち、姥津媛(ははつひめ)(以下、はつ)の父親、和邇日子押人(わにのひこおしひと)(以下、ひこお)。
その息子、和珥彦国姥津(わに・の・ひこくにははつ)(以下、ニーハン)。
包媛(かねひめ)(以下、カネ)の両親、彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)(以下、芹彦(せりひこ))と百田弓矢姫(ももたのゆみやひめ)(以下、ユミ)。
丹波竹野媛(たにわのたかのひめ)(以下、たかの)の両親、尾張建諸隅(おわり・の・たけもろすみ)(以下、ケモロー)と諸見己姫(もろみこひめ)(以下、ロミ子)。
鸇比売(わしひめ)の父親、葛城垂見(かずらき・の・たるみ)である。
ひこお「今日でクランクアップにござるぞ! こ・・・このような仕儀(しぎ)に相成(あいな)るとはっ!」
ニーハン「大王! 和珥氏(わに・し)から、大后を迎え入れること能わぬのですか!?」
芹彦「おおっ!! 狭野尊(さの・のみこと:初代神武天皇)大先生っ!! お許しくださいっ!!」
ユミ「可哀そうな『カネ』・・・(´;ω;`)ウッ…。」
ケモロー「どういうことだがやっ! 納得出来んでよ!」
ロミ子「ひどい仕打ちにござりまするよ・・・(´;ω;`)ウッ…。」
垂見「娘と孫娘と・・・両方の想いが・・・苦しいでござるよ・・・(´;ω;`)ウッ…。」
するとそこに、ピッピの妃たちがやって来た。
はつ「これは・・・。これは、一体、どういうことです!!」
カネ「いやぁぁぁ! ピッピ様ぁぁぁ!!」
たかの「有り得ないんだがね。こんなこと、あってはいけないんだがねっ!!」
鸇比売「初登場で、こんな仕打ち・・・。わしは、悲しいっ!!」
春日率川宮(かすがの・いざかわ・のみや)に、悲鳴や怒号が響き渡る。
そんな喧騒の中、当該の人物がやって来た。
伊香色謎(いかがしこめ)こと、イカメである。
イカメ「み・・・みなさん・・・。此度(こたび)、大后となりました。イカメどす・・・。」
ウッチー「イカメッ! 辞退しなさいっ!」
イカメ「い・・・嫌どす。わらわは、大后になるんどす。」
コー「ちょっと待てぇ! 前代未聞のことなんやで!?」
イカメ「分かってます。せやけど、こないな歌、貰(もろ)たら、断り切れへんかったんどす。」
ヘソ「おっ! ええやないけぇ! 歌を贈り合い、育(はぐく)まれた愛!」
ウッチー「ヘソは黙っときっ! その歌、見せなさいっ!」
イカメ「嫌どす! 絶対、見せへんっ!」
ガーシー「作者に文才が無いだけやんけっ!」
ひこお「拙者(せっしゃ)のクランクアップがぁ!!」
芹彦「おおっ!! 狭野尊大先生っ!!」
ピッピが、いなくなっていることに、誰も気付いていないのであった。
つづく
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