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JW136 黄魃鬼討伐記
【孝安天皇編】エピソード13 黄魃鬼討伐記
山陰地方で横行している賊を退治し、水稲耕作を普及するため、そして、出雲(いずも)に対し、ヤマト王権に服属するよう交渉するため、大日本根子彦太瓊尊(おおやまとねこひこふとに・のみこと)(以下、笹福(ささふく))は旅立った。
紀元前321年、皇紀340年(孝安天皇72)のことである。
また、この物語のオリジナル設定として、笹福の兄、大吉備諸進命(おおきびのもろすすみ・のみこと)(以下、ススム)も共に向かうこととなった。
更に、笹福とススムの叔父、和邇日子押人(わにのひこおしひと)(以下、ひこお)も旅に加わったのであった。
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一行は、無事に角鹿国(つぬが・のくに)の気比神宮(けひじんぐう)に辿り着いた。
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そこで、日本海を眺めたあと、西へ、西へと向かったのであった。
そして、あっという間に稲葉国(いなば・のくに)に入った。
笹福「稲葉国とは、二千年後では、どこになるのじゃ?」
ススム「鳥取県の東部に当たるぞ。」
ひこお「稲葉国と表記されておるが、のちに因幡(いなば)と書かれるようになる。」
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笹福「なにゆえ、文字を変えたのじゃ?」
ひこお「奈良時代に、格好いい文字に変えろと命じられるようじゃな。」
笹福「稲葉でも、充分格好いいと思うが・・・。」
ススム「仕方がない。当時の人の感覚と、我らの時代の感覚は違うのじゃ。」
笹福「そういうものなのですか?」
そんなやり取りをしていた時、稲葉の民が駆け寄ってきた。
詳しい名前が残っていないので、この物語では、オリジナルの名前を付けたいと思う。
ジョージとマイケルにしたい。
笹福「日本風ではないのか!?」
ススム「ま・・・まあ、完全オリジナルの名前であることは、一目瞭然(いちもくりょうぜん)じゃな・・・。」
ひこお「山陰地方の賊よりも、作者の横暴の方が問題では!?」
三人のツッコミを無視して、稲葉の民、ジョージとマイケルが語り始めた。
ジョージ「ヤマトから来た皇子(みこ)とは、あなた様方のことですか?」
マイケル「そんなら、お願いしたいことが有るんだっちゃ!」
笹福「な・・・なんじゃ?」
ジョージ「実は、隠伎(おき)に住む、黄魃鬼(こうばつき)という賊が、こちらに渡ってきては悪事を働いとるんだっちゃ。」
マイケル「ちなみに、隠伎っちゅうのは、隠岐島(おきのしま)のことだっちゃ。」
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ススム「因幡の白兎で有名な隠岐島じゃな?」
マイケル「そうだで(そうですよ)。その島から、渡ってくるんだで。」
ジョージ「そいつらが暴れとるけぇ、ほんに(本当に)困っとるんだで。退治してごせぇ(ください)。」
ひこお「こ・・・これは、我らの出番ではないか! いざ、いざいざいざ、各々方(おのおのがた)、戦(いくさ)にござるぞ!」
その声に釣れられて、兵たちが雄叫びを上げる。
兵たち「おお!」×多数
笹福「伝承には登場せぬ、叔父御(おじご)が一番張り切っておるではないか・・・。」
ススム「許してやれ、笹福。」
ジョージ「では、お願い致します。」
こうして、笹福一行は、隠伎に渡った。
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もちろん、黄魃鬼を退治するためである。
そして、黄魃鬼が笹福たちの前に現れたのであった。
黄魃鬼「けぇぇ! 紙面の都合で出て来てやったど! 感謝せい!」
笹福「感謝などせぬ! 皆を苦しめる賊め! 許さぬ! この剣を受けてみよ!」
ススム「喰らえ! 正義の剣!」
ひこお「拙者の腕前に驚嘆するが良いぞ!」
黄魃鬼「なんとぉぉ!!」
こうして、賊の退治に成功した一行であったが・・・。
笹福「海を渡って食い物を奪うということは、それだけ、暮らしが苦しいということであろう?」
黄魃鬼「その通り。ら(わたしたち)だって、普通に暮らしたいわい。」
ススム「不作の年が続いておるからのう。」
黄魃鬼「見ちょったか(見たか)? 豆も芋もちょんぼし(少し)だけ・・・。獣(けもの)も山深くに逃げて、狩りに行っても不猟続きだわ。」
ひこお「されど、海幸(うみさち)も有るではないか!?」
黄魃鬼「そいだけでは、よう喰ってけんでの。」
笹福「そういう時の米じゃ。」
黄魃鬼「米?」
ススム「一粒が三百粒になる食い物じゃ。」
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黄魃鬼「どげぇ(何だって)? 三百粒?」
笹福「水稲耕作が根付けば、食い物に困ることはなくなる。まあ、収穫に一年は掛かるが・・・。」
黄魃鬼「一年? 豆や芋みたいなモンか?」
笹福「左様。そして、これほど頼もしき食い物はないぞ。騙されたと思って、共に作ってみぬか?」
黄魃鬼「そんじゃあ、一年だけだど。」
ひこお「おお、話がまとまったようじゃな? では、各々方、溝を掘り、地をならすのじゃ!」
兵たち「おお!」×多数
そこに、ジョージとマイケルもやって来た。
ジョージ「皇子(みこ)! これはどういうことだっちゃ!」
笹福「米作りじゃ。」
マイケル「それは、うちんとこの村でも作れるんか?」
ススム「うむ。作れるぞ。我らは、水稲耕作の技術を伝えるために来たのじゃ。」
笹福「しばらくは、隠伎や稲葉に留まらねばならぬのう。」
こうして、水稲耕作作戦が遂行されたのであった。
つづく
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