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JW241 親子で参詣

【開化天皇編】エピソード26 親子で参詣


第九代天皇、開化天皇(かいかてんのう)の御世。

ある親子が、ある神社に来ていた。

ある親子とは、尾張建諸隅(おわり・の・たけもろすみ)(以下、ケモロー)と、その娘である。

ケモロー「その通りだがや! 娘と参詣に来たがや! では、紹介します。我(わ)が娘、河上摩須郎女(かわかみのます・のいらつめ)だがや! マス子と呼んでちょう(ください)!」

マス子「お初にお目にかかります。マス子です。」


系図(尾張氏)

ケモロー「ほんで、我(われ)らは、どこに来とるんだ?」

マス子「何を言うてはるんです。お父様が、お建てになった『三嶋田神社(みしまだじんじゃ)』やないですかぁ。」

ケモロー「ん? ほうだったきゃ?」

マス子「覚えてらっしゃらないんですか? エピソード169と170で、お父様ご自身が解説してはりますよ?」

ケモロー「おっ! 三柱(さんはしら)の神様を祀(まつ)った神社だがんねぇ(だよね)?」

マス子「そうです。大山祇神(おおやまづみのかみ)、大綿津見神(おおわたつみのかみ)、上筒之男神(うわつつのおのかみ)の三本ですねぇ。」

ケモロー「大山祇神は山の神様。大綿津見神は海の神様。上筒之男神は水面の神様だがや。」

マス子「場所についても、改めて紹介しておきますよ。京都府は、京丹後市(きょうたんごし)の久美浜町金谷(くみはまちょう・かなや)です。」

地図(三嶋田神社)
三嶋田神社(鳥居)
三嶋田神社(拝殿)

ケモロー「ほんで、なんで、今回、参詣に来とるんだ?」

マス子「それは、やっぱり、うちが、三嶋田神社を崇敬(すうけい)してたって話を紹介する為やと思いますよ。」

ケモロー「崇敬しとったんかや?」

マス子「何、言うてはりますの。ずっと昔から、うちが崇敬してたの知ってはるでしょ?」

ケモロー「すまんすまん。読者の為だがや。」

マス子「ホンマに、勘弁してくださいよ。」

ケモロー「ところでよぉ。この流れで、別の神社も紹介しようと思っとるんだわ。」

マス子「えっ? それって、うちが創建した神社のことですか?」

ケモロー「その通りだがや! では、紹介してちょう(ください)!」

マス子「仕方ないですねぇ。ほな、紹介させてもらいますよ。その名も『菅森神社(すがもりじんじゃ)』言います。」

菅森神社(鳥居)
菅森神社(拝殿)

ケモロー「ほんで、どこに鎮座(ちんざ)しとるんだ?」

マス子「二千年後は、京丹後市の久美浜町畑(くみはまちょう・はた)ですけど・・・。」

ケモロー「けどって、何かあったんか?」

マス子「うちが祀ったんは、砥鞍ヶ嶽(とくらがだけ)っていう山なんですよ。せやのに、中世になって、現在地に移転したみたいなんですぅ。」

砥鞍ヶ嶽

ケモロー「登るのが、面倒くさかったんきゃ?」

マス子「どうでしょうねぇ。そうかもしれませんねぇ。」

ケモロー「ほんで、その山は、どこに有るんだ?」

マス子「現在の鎮座地から見て、西側にある山です。」

ケモロー「ほうかぁ。三嶋田神社からも近いみたいだがんねぇ。」

地図(砥鞍ヶ嶽、三嶋田神社、菅森神社)
地図(菅森神社)

マス子「そうなんですよ。歩いて行ける距離っていうのが、魅力的ですよね?」

ケモロー「ほうかぁ?」

マス子「なんで、否定しはるんです? ええやないですかぁ。近い方がっ!」

ケモロー「と・・・ところでよぉ。祀っとる神様は、どういう神様なんだ?」

マス子「祀ってはる神様は、大山咋神(おおやまくいのかみ)ですねぇ。」

ケモロー「またまた、山の神様か・・・。だけどよぉ。大山祇神(おおやまづみのかみ)と、どういう違いが有るんだ?」

マス子「山の神様と言っても、大山祇神(おおやまづみのかみ)と違って、里山の神様になるみたいですよ。なので、農耕治水の神様でも有るんですって。」

ケモロー「ほうかぁ。そういう違いが有るんかぁ。」

マス子「この地の稲作が、豊かになるように願って、建てたんやと、思いますよ。」

ケモロー「建てた本人が、そんな弱気で、どうするがや!」

マス子「そんなこと言われても、伝承なんですから、断言は出来へんでしょ?」

ケモロー「ま・・・まあ、ほうだけどよぉ。」

マス子「では無事に、菅森神社の紹介も出来たことですし、お父様は、早くヤマトに戻られた方が・・・。」

ケモロー「なんで、そうなるがや? ゆっくり滞在しても、ええだろ?」

マス子「そ・・・それが・・・。」

ケモロー「何だ? 何か有るんか?」

マス子「じ・・・次回・・・。とんでもないことが起きるみたいなんですよ。」

ケモロー「ど・・・どういうことだがや!?」

マス子「それは、次回にならないと言えません。」

ケモロー「よ・・・よく分からんが、すぐに戻った方がええんだな?」

マス子「そうです。お父様、お気を付けてっ!」

ケモロー「分かったがや! では、老骨に鞭打って、ヤマトに戻るがやっ!」

こうして、菅森神社の紹介を追え、ケモローは、一目散にヤマトへと戻っていったのであった。

つづく

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