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転職とディズニー

 また怒涛のような1週間が過ぎた。
 今週はマネージャとのミーティングもあり、仕事は緊張感のもと取り組んでいた。肩と背中がガチガチだった。一昨年の秋冬も同じような緊張感の伴うパソコン作業から、常に肩と背中が固まっており、時々の痛みで医者まで通っていたのを思い出した。私はそれから一年、すっかり今の仕事の環境に慣れて、気の抜けていたまま仕事をしていたのだ。一年越しのこの緊張感は心地の良いものではない。成績を落とさないようにしようというモチベーションは、直属のマネージャやその上のマネージャ陣を失望させたくないという思いからであって、心から楽しんでいる仕事ではないのが辛かった。人生の大半の時間を捧げる仕事には、給与と環境に不満がなくても、やはりやりがいや生きがいを求めてしまうものなのかもしれない。贅沢な悩みで、実力以上のことを望んでいるかもしれないが、私は決して諦めたくない。諦めたら自分の望んだ生き方なんてできなくなってしまう。
 そんな中、1日休みをとって友人とディズニーランドへ行った。成績で悩んでいようがなんだろうが、休みを取りやすいのは外資系の強みである。プライベートの優先が当然のように許される環境にいる。4月半ばのディズニーは驚くほど空いていて、まるでディズニーにいないかのようなゆったりとした余裕のある気持ちで楽しむことができた。前半はもう夏のような炎天下、夕方に一度さっと強い雨が降って(まるでタイやマレーシアのスコールである。温暖化?)、ちょっと涼しくなったけれど冷え込むことなく一日中快適に過ごせた。乗りたいアトラクションも15分待ちがほとんどで、長くても35分。乗りたいものは一切諦めずにクローズまで遊び尽くした。因みに新しいアトラクションの美女と野獣だけいつまでも95分待ちだったので、プレミアムパスを購入。ストレスフリーである。
 3月の末から、転職サイトに登録をし直したり、リクルーターと簡単な面談等を行っていたが、パーク内でふとメールを確認し、殆ど開くことがない数あるオファーの中からたまたま開いたメールにぴんときた。給与も条件も会社の情報も何も見ず、仕事内容だけをみて心が踊ったのである。今回の転職活動でこんな経験は初めてだった。給与が維持できるとしても、上がりそうであっても、心が動かなかったり、サービスやプロダクト、業界には魅力を感じているが、職種自体はあまり好きではなかったり(現職がまさにそれである)、自分にあった仕事なんて、人の雇われている限りないのではないか?だったら条件がいい今の会社にしがみ付いているべきではないのか?そこで成績を立て直し、同じスタイルで働き続け、以前のようにマネージャを目指せばいいのではないか。そう思っていたところだった。パークを出て、友達と別れた後、その仕事内容をもう一度見直した。やはり、挑戦したかった。日系スタートアップのようだったので、翌日会社のウェブサイトを見て、サービス利用者の体験談等を読んだ。動画もひとつ観た。会社員側も、サービス利用者側にも魅力のある人しかいなかった。給与欄を見ると、基本給はがくんと下がるが、固定残業代と成果報酬があるので、成果次第で今の年収を越すことは可能かな、といったところである。私は今残業0で在宅勤務をしているのである。でもそれでも、やはり挑戦したいと思った。有給の翌日の二日は夜も仕事終わりにバーで働いており、土曜日の昼にようやく日本語の履歴書と職務経歴書を完成させて送った。何とか面接だけでもしてくれないだろうかと願っていた。それで、メールが送られてきたサイト以外で、Wantedlyも再登録をして、そちらからも面接の希望を出した。条件は世間一般でみると全く悪くないので、応募は沢山あるのだろうなと予想している。求人サイトでは企業からのアプローチではなく、リクルーターから条件の良い仕事、のような形でメールが来ていた。私の履歴書では全く、業界に関わりがないので、面接でのアピールが重要であると思う。今まで同じような外資系の同じような高待遇のところで仕事の話を聞いてきたりしたが、こんなにやきもきしているのは初めてである。休日なので、返信は勿論まだ来ないのだろうけれどーーそして休日も人事部ががっつり仕事をしている企業は少し怖いーーでも、連絡が来ないか何度も確認してしまう。落ちたら、連絡がなかったら悲しいだろうな、と思いつつ、こんなにわくわくできる仕事自体を見つけられたこと、たまたまメールを開いたことが奇跡のようで、例え今回が上手くいかなかったとしても、何となく諦めかけていた仕事への情熱を取り戻せそうな、ポジティブな気分を取り戻すことができた。
 土日はジムへ行って、映画を見て、旦那さんや友人と食事をし、新しく数冊本を買った。執筆はできていないけれど、ストレスのない時間の使い方をできているし、体力の限界まで動いている。今週は現職で、複数ある日本オフィスの全社員を集めたイベントがあり、私は司会をすることになっている。パソコンにだけ向き合って仕事をすることに疲れを感じている私にとって、沢山の人前に立てるというのは、最大の喜びである。ディズニーで遊び過ぎて、その翌日から何となく喉が痛いのが治っていないのだが(汗をかいたり雨に降られたりしたから、ちょっと冷えたのかもしれない)、心が上を向いていれば、エネルギーは維持できる。今週も仕事自体も、そのイベントも、転職活動も、そして夜職も、誠実に取り組んで走り抜けたい。


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