母のおにぎり
ニュージーランド生活23日目。
天気、曇り。気温、18度。スキニーの下にレギンス履いた。夏はいつ来るの。
仕事が終わったので、シャワーでも浴びようと思ったら、ピコンとスマホが鳴った。母からLINEが届いていた。
なんだこのスパムみたいなLINEは。最初の文章はわかる。問題は2つめの文章。
母のおにぎり上手下手普通
パッと見た限り、湘南乃風の歌詞でも書いてんのかと思った。上手と下手と普通、それぞれ個別で見るとなんてことないのに、繋げた途端、読みにくくなるし、意味もワンテンポ遅れてやってくる。
母のおにぎり、上手?下手?普通?
それぞれの間に「?」を入れるだけでも、こんなに違う。ちゃんと文章として成立している。少なくとも質問しているんだな、と意図するところがわかる。
母のおにぎり上手下手普通
「大親友の彼女の連れ」や「大貧民負けてマジギレ」みたいな響きを感じるのはどうしてだろう。あれ、もしかして湘南乃風を感じているの、私だけ?
ちなみに娘の回答はこちら。
思春期の中学生みたいな返し方をしていて、ちょっと恥ずかしい。素直に褒めてあげたらいいのに。
「げ、おにぎりかよ」って思った記憶のある人が、世の中にいったいどれくらいいるのだろう。私は好きだよ、母のおにぎり。
私はそんなに和食が好きではなかったんだけれど、やっぱり異国の地で生活をしていて「あれ、和食が好きだったんだなあ」と気づく瞬間が多い。大切なものは失ってから気づくというけれど、まさに。
母のおにぎりが食べたくなった。
日本は冬を迎えて、これから師走を走り抜ける。思えば、年末に向けて慌ただしい日々の中で母はよく「小腹が空いたらどうぞ」と、おにぎりを作ってくれた。こたつで身を寄せ合って、パクパクとかぶりつく。
なんてことない日常だったけれど、どれだけ幸せだったことか。
少しだけ日本に帰りたくなってしまった。
母のおにぎりが、食べたい。
今日も生きたね。
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