セミナーや営業活動の冒頭で、顧客に興味を持ってもらう方法。

早速だが、クイズを出したい。

「詩的表現のうちで、
 最も偉大なのは、メタファーの達人である」

さて、これを言ったのは誰でしょう?

あくまでも一般教養クイズ。Quiz Knockメンバーならきっと秒殺。でも分かる人は多くはない、というレベルのクイズではないか、と思われる。


正解は誰だろう?




正解はアリストテレス。

もしかしたら、私の無知を発信してるかもしれないけど、ここではアリストテレスがそう言った、ということにしておく(あ、合ってます?)。



先日の記事で、なぜ、会ってすぐに自己紹介をしてはいけないのか?を書いた。全ての自己紹介マニアに宣戦布告した、野心的な記事。その中で「セミナーの冒頭ではクイズが有効」というニュアンスのことをチラリと書いた。

タイトルにある「セミナーや営業活動の冒頭で、顧客に興味を持ってもらう方法」の答えは、開始冒頭で、クイズを投げかけること。


なので、この記事では、

・なぜセミナーや営業の冒頭で
 クイズが有効なのか

・どんなクイズを出せばいいのか?

について解説する。この記事がどんな方に役立つかと言えば、営業やコミュニケーション、研修講師などの分野にいる人たちだ。「絶対に役に立つ」と確信をもってお届けする。



●なぜ冒頭でクイズが有効なのか

いつものように結論から書く。
なぜ冒頭でクイズが有効なのか?それは、



「人はクイズを出されたら解きたくなるから」


【一般教養クイズ】
「最も偉大なるはメタファーの達人である」
と言ったのは誰でしょう?


解きてぇ…俺これ知ってるわ。

アリストテレスでしょ。

…ほーら、アリストテレスだ。

人がクイズを見たら解きたくなる習性を利用すると、興味のないセミナーや営業トークに、半強制的に、でもお客さん自らの意思で参加してくれるようになる。

この効果が一番大きい。
クイズは自由意思なのに強制力を持っているのだ。

かつ、お客さんの知識を測ることができるので、スクリーニングにかけることも可能になる。このクイズにそもそも興味がない人は、この記事を見ようともしない。さらに言えば、お客さんから「こいつは今までの奴とは明らかに何かが違う…ゴクリ」と思われる効果もある。

こういう体験を、私は何度もしてきた。
興味のなさそうなおじさまたちに研修講師として話すこともある。セミナー開始後はみんなまだ集中し切っていない。「ま〜た退屈な研修が始まったよ」という顔をしている。

ところが冒頭でクイズを何問か出すと「おや?」っとニヤニヤしながら参加してくれるのだ。ああでもない、こうでもないと議論までしてくれる。


だから簡単にまとめると、

●なぜ冒頭でクイズが有効なのか?

・人はクイズを解きたくなる

・人はセミナー受講や営業をされるにあたって、最初は興味がうすい生き物

・しかし、クイズを出すと、勝手に問題を解こうと考えてくれる

・「集中してください!」と呼びかけるまでもなく、自ら参加してくれるようになる

・ついでに参加者のレベルを測ることもでき「違い」の演出も可能になる
クイズは絶妙なラインであるほどよい。


●どんなクイズが有効なのか?

あたりまえだが、クイズの内容は、その次に話す内容と関連づいたものが有効である。ここは正直…センスみたいなものが大事になってくるが、正直なところなんでもいい。クイズと次に話すことの「AかつB」のところを抽出できればいい。

私は詳しくないが、これってメタファーでしょう。共通部分を関連付けるやりかた。なんか違う気がする。でもここまで書いちゃったから進める。

もう少しだけ抽象的な話を続けると、

ある具体例Aがあって、もうひとつの具体例Bがある。AとBは一見すると関係ないけれど、2つに共通する抽象的概念を見つけ出してあげる。するとそれがメタファーになる。ダウンタウンの松本人志が得意なやつだ。

さらに言うと、具体例Aから具体例A’に「すり替える」というテクニックもある。こうするとメタファーが見つけやすくなる。あるいは持って行きたい方向に持っていきやすくなる。すり替えメタファーだ。


ここまで書くとこんな声が聞こえてきそうだ。

「なにを偉そうに、具体例を出せ」

正直、私も書いてて「何を書いてるんだ俺は?」となってきた。なので、ここで具体例を書く。メタファーを使った、セミナーの冒頭の話し方の例だ。


●具体例(マネーセミナーの場合)

こんちは!イトーダーキです!

突然ですがみなさん、これから一般教養クイズをやります。いいですか?いきますよ?「最も偉大なるはメタファーの達人である」と言ったのは誰でしょう?

(※具体例Aを述べている)
聞き手 : アリストテレス!
いいですね、さすがです。では、アリストテレスが「この人こそがメタファーの達人である」と言って尊敬した人は誰でしょう?

(※具体例AをA’にすり替え)
聞き手 : んー、ソクラテス?
はい。これ実は「分からない」が正解です。今、私が勝手に作ったクイズですから。ちなみに、ソクラテスでもプラトンでもありませんよ。よろしいでしょうか。

(※セミナーの技術でいうスカシ)
聞き手 : なーんだ
何が言いたいかというと「思い込みの力」というのは怖いもので、私たちは本当は知らないのに、答えをさも知っているかのように類推してしまいがちです。重要なのは「知っている」ということなのに、類推できることが足枷になり、知ろうという努力をしなくなるんです。

(※抽象的概念の抽出をおこなう)
聞き手 : なんのこっちゃ
これは私たちの生活を取り巻く「金融」や「保険」においても同じことがおこっていると言えます。つまり「知らないのに知っているという思い込み」「そして努力・学習をしなくなる」ということであります。

(※金融・保険=具体例B)
聞き手 : ん?なんか良さげだぞ?
なので今日は、私たちの暮らしの「お金」にまつわる思い込みを、みなさんの脳内から取り払うセミナーをやりますよ。いきますよ〜!

(※ここから裏ワザや豆知識を話す)
聞き手 : な、なにが始まるんだ!


こんな感じだ。

具体例A
アリストテレスのクイズ

具体例A’
アリストテレスに関連付けたクイズ

具体例B
金融・保険の話

抽象的概念の抽出(Aかつ B
どちらも知らないのに知っていると思いこみがち


アリストテレスと金融を無理やり関連付けたので、出来は少し微妙ではある。正直はずかしい。だが、私のセミナーの冒頭は、多くがこんな構造である。これで差別化が出来る。


この記事ではメタファーの活用としてこのような論法を出しているが、もしかするとこれ、メタファーではなく、帰納法とか演繹法の類なのかもしれない。どなたか分かれば教えてください。私には分かりません。


AかつBを見つけることにメタファーの真髄があるのではないか。たとえ話、たとえツッコミと同じ構造だ。これを駆使すると、

具体例抽象的概念の抽出気づき
解決策具体例抽象的概念の抽出気づき

というサイクルが周り、だれも退屈することがない。だから私のセミナーでは年代問わず、参加者は基本的に寝ない。ずっと聞いてくれる。人はやっぱりメタファーが好きだし、アリストテレスが言ったこともやはり間違いではないのだ。

偉大なるはメタファーの達人。

ことわざなんてメタファーの最たる例だ。井の中の蛙大海を知らず、とか。しかし、メタファーの発見は非常に難しいし、偉そうに私もこうやって書いているが上を見ればキリがない。しかしもし、話し方などで課題を抱えている人がいれば、この方法が一段でもステージを上げる一助になれば幸いだ。


…。


メタファーの人、
アリストテレスで合ってるよね?


●先日の記事はこちら


よき、コミュニケーションライフを!!!



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