札幌のスタバの店員さんと話したら、心がポカポカしなかった話。
ある寒い雪の日、札幌グランドホテル1階の
スターバックスでPCをパカパカ叩くことにした。
いつものように、やっすいドリップコーヒーをきちんとショートサイズで頼む。2杯目のコーヒーが150円になるワンモアコーヒーの権利が欲しいから。
レジの店員さんは、大学生風の男性だった。
さすがスターバックス。
ニコニコして愛想がいい。
「お願いします」
とだけ答える。ニコニコして。
ふと、その男性店員さんの右手が視界に入った。レジを打つその右手には白い包帯、でっかいギプスが巻かれている。それを見た私は思った。
「おや? 右手は骨折したんですか?」
聞いてみた。
私の後ろに列はできていない。こんな、必要もない会話をして、15秒くらいお会計が長引いても、迷惑に思う人はいない。確認済みだ。大人だぜ。
スタバの店員さんは答える。
「あら、靭帯ですか。ならばレジ打ちしてる場合ではないですね」
「お大事にどうぞ」
スタバの店員さんも私もニコニコだ。
うんうん、理想のアメリカ人はこんな感じでコーヒーを飲むに違いない。今日もアメリカ人に一歩近づけたぜ(なに目指してんの?)。
一見すると必要のなさそうなコミュニケーションは、私たちの心をポカポカ温めてくれる。
別の日、北海道帯広市に1泊2日の出張に行くことがあった。札幌からは約150km離れている。車で高速を飛ばして片道3時間の街である。
ホテルに宿泊した。
以前からよく利用していた場末のボロボロのホテル。シングルルーム1泊4,000円くらいで、フロントは薄暗く、部屋には謎の絵が飾ってあるようなホテル。
予約した段階で、そのホテルの名前が以前とは変わっていることに気づいた。きっと一度ホテルを畳んで、他の会社に買われたのだろう。
チェックインのときに、対応してくれたのは、先日のスタバの男性店員さんと同い年くらいの若い男性だった。
「チェックインで、イトーダーキです」
名前やらなにやら色々書いて、鍵を渡された。
あとは部屋に向かえばいいだけ。
が、気になった。
ホテル名が変更になっていることに。
しかもだ。
私には先日のスタバで店員さんと訳のわからない談笑をし、アメリカ人に一歩近づけた手応えがある。これぞ成功体験。
後ろに人は? いない。
よし、話しかけてみるか。
「あの、ホテル名が変更になったんですね」
「…」
「…」
なにも言ってくれなかった。
一見すると必要のないコミュニケーションは、
私たちの心をポカポカ温めてくれる。
だが、
必要のない人には必要がないみたいだ。
◾️こんな世界に生きたい、という記事はここ!
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