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「好きなことを広めたい」を起業の原動力に

皆さんは今、大好きな物や、夢中になっていることはありますか?

起業家のピッチを見ていると、若い時に何かを好きになることの大切さを痛感することがよくあります。

そんなピッチには、自分が好きになったものを「みんなに広めたい!」という想いがあふれているのです。

「起業家」というと、「ビジネスで社会課題を解決したい」という崇高な理想を持った人をイメージするかもしれませんが、すべてがそうではありません。

自分が好きになったものや、好きになった時の気持ちを大切にして、「これをもっと多くの人に知ってほしい!」「世界中にこの魅力を伝えたい!」という想いを起業につなげている例もたくさんあります。

そのような例を見ていると、好きなこととビジネスアイデアの間には、ある方程式があることに気づきます。

好きなこと × 課題 = ビジネスアイデア

何かを好きになって周りに広めようとすると、それを阻む課題が見えてきます。すると、それを解決するようなビジネスアイデアが自然と湧き出てくるんですね。

①何かを好きになる/何かに夢中になる
  ↓
②それを他の人にも広めたいと思う
  ↓
③それに関する課題や、広まらない原因が見えてくる
  ↓
④その課題や原因を解消するためのビジネスアイデアが生まれる

もちろん、起業家ごとに差はありますが、好きなことを起業につなげている人のピッチを見ていると、ざっくり上のようなストーリーが共通して出てきます。

そんなピッチの中で、印象に残っているものをいくつかご紹介します。


“歴史”が好き → 楽しく歴史を学べるゲーム開発

この起業家は、昔から歴史が好きでした。当然、「この面白さを周りの友達にも知ってほしい」という気持ちが芽生えます。

しかし学校の歴史の授業は、びっしりと文字が書いてある教科書を、ひたすら暗記するだけ。多くの友達はそんな授業がきらいで、いつしか「歴史は面白くない」というイメージが浸透していました。

そこで彼はひらめきます。
「子どもたちの間ではカードゲームが流行ってる。それで歴史を学べるようにしたら、みんなも歴史が好きになるのでは?」

そして、歴史上の人物をキャラクター化し、実際にあった出来事と関連させながら遊べるカードゲームを考案。それを開発・販売するために起業しました。

“昆虫”が好き → 昆虫食を広めるビジネス

この起業家は大学生で、昔から野山で遊び、昆虫が大好きでした。そして高校生の時に食べたイナゴの味がとても美味しく、「昆虫食の魅力を広めたい!」と思ったそうです。

折しも、世界では将来の食料不足を危惧する声が高まっており、昆虫食の必要性が叫ばれています。しかし昆虫は見た目の気持ち悪さや、まだ調理法が確立されていない、などの課題があり、それらが昆虫食を広めるうえで障壁になっていました。

そこで彼は、美味しく食べられる昆虫食の商品を開発するために起業。その栄養の高さや環境保護への貢献などを伝える活動もしており、今後の成長に向けて努力を続けています。

”サウナ”が好き → テントサウナで起業

続いても学生の起業家ですが、この方はとにかくサウナが好きで、熱波師としても日本トップクラスの腕を持つそうです。

「サウナ文化をもっと広めたい」
しかし、設備が高額だったり、移動が大変だったり、いろいろな課題がありました。

そこで彼は、テント式で持ち運びが簡単な「テントサウナ」を活用したビジネスを考案。過疎に悩む地方でサウナイベントを開いたり、環境に良いサウナ燃料を開発したり、さまざまな事業を行っています。

災害の時、避難生活でお風呂に入れない人たちのためにテントサウナを活用する仕組みも考案。サウナの可能性を広げるビジネスを次々と生み出しています。

”ゴルフ”が好き → 訪日外国人向けゴルフサービス

またまた大学生ですが、この方はゴルフが大好きで、プロをめざしていた時期もあるそうです。一方で日本のゴルフ市場はバブルが崩壊した1990年代あたりから縮小しており、その間に廃業してしまったゴルフ場もたくさんあります。

「何とか、日本のゴルフ場、そしてゴルフというスポーツに昔のような活気が戻ってほしい」

そう考えた彼は、コロナ後に再び増えた訪日外国人(インバウンド)観光客に目をつけます。「安い」という理由で日本にゴルフをしにくる外国人は一定数いるそうなのですが、「海外の富裕層が日本でゴルフを楽しむようになれば、再び活気づくんじゃないか」と。

そして彼は「海外富裕層向けのゴルフコンシェルジュ」というコンセプトのサービスを考案。ゴルフ場に関する情報発信やアイテム、ウェアのレンタル、キャディのアテンドなど、さまざまなアイデアを実現するために走り回っています。

“コンセプトカフェ”が好き → メイドカフェで社会貢献

続いては「コンセプトカフェが大好き」という学生の方。好きすぎて自分でもコンセプトカフェを企画し、文化祭で出店しているそうです。

そんな彼にとって悩みの種なのが、「コンセプトカフェ」そのもののイメージの悪化。近年、悪質な経営をするカフェも多く、「コンセプトカフェ=危険・怪しい・高額」のようなイメージが広まってしまっているそうです。

そこで考案したのが「社会貢献型メイドカフェ」。勤務するメイドが定期的に地域内で社会貢献活動を行うほか、カフェの収益の一部も地域貢献に充てるというもの。

まだアイデア段階ですが、話題性を生みそうなこの事業を形にするべく、起業に向けて試行錯誤されています。

”eスポーツ”が好き → イベント企画を事業に

続いてはゲームが大好きで、近ごろ話題のeスポーツでも活躍している方。ある時、オンラインで対戦する大会があり、そこで見事に優勝します。しかし、その時にこんな気持ちになったそうです。

「オンラインだと、優勝した瞬間も歓声を浴びることなく、部屋で一人ぼっち。もっと多くの人とeスポーツの楽しさや喜びを分かち合いたい」

そして彼はeスポーツのリアルイベントの開催や、プロチームの運営などを手がける会社を設立。eスポーツ文化の普及と発展に向け奔走しています。


“シロアリ”が好き → エネルギー問題の解決へ

最後は、何とシロアリを好きになってしまった方のお話。この方も大学生ですが、中学生の時にシロアリにハマり、研究に没頭するようになりました。

しかし、シロアリといえば家の木材を食い荒らす害虫。見た目も気持ち悪く、とにかく世間から嫌われています。

「そんなシロアリが世の中の役に立つことを証明したい!」という想いを秘めた彼は、シロアリが持つひとつの性質に目を付けます。

実はシロアリは木材を食べる際に、水素を発生するそうです。シロアリを知り尽くしている彼は、この性質を利用してエネルギー問題を解決しようという目標を立てました。

水素は燃やしてもCO2を排出せず、クリーンなエネルギーとして期待されています。製鉄所や火力発電所のように化石燃料を大量に燃やす場所へ新たな燃料として水素を供給できれば、環境問題に大きく貢献できるはず。その夢の実現に向けて、日夜研究を続けています。

以上、7人の例をご紹介しましたが、皆さんも自分が好きなものを思い浮かべて、何かビジネスにつながる要素がないか探してみましょう。

思わぬ形で将来の夢が見つかるかもしれません!

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