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短編小説

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#SF

11人の方程式

11人の方程式

 カーマインは幼い頃から、星を見るのが好きだった。
 色とりどりの星々の瞬きを見ているだけで、何時間でも過ごすことができた。
 空を巡る双子の衛星の追いかけっこは、朝まで眺めることができた。

 やがて成長し、科学の本を読み漁る年齢になると、カーマインは思った。
 いつかあそこへ行ってみたい、と。

 気が付くとカーマインは、それより遥か先へ行く日々を送っていた。

***

 壮年と呼ばれる年齢

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完璧な天気予報を目指して

天気予報に得点制が導入された。予報の精度を上げるため、国民が正誤を投票することにしたのだ。しかし実際には精度は上がらず、代わりに彼らは曖昧な予報ばかりするようになった。ついには「明日は明日の風が吹く」などと言い出したが、この予報すら外れた。翌日は、今日と全く同じ天気だったのだ。

何かの手順書

何かの手順書

「S博士、お呼びでしょうか」

「おお、待っていたぞ、C君。実は、例の平成の頃に書かれた古文書が、ついに解読できたのだ」

「えっ、本当ですか!」

「この古文書は、ほとんど同じ内容のものが全国でいくつも見つかっている。これの解読は千年前の人達の生活を知るのにきっと役に立つ……と思ったのだが」

「だが?」

「解読できたのに、結局何が書いてあるのか、さっぱりわからんのだ」

「どういうことですか

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