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管理会計ってなに? ~ 超初級:誰にでもわかる管理会計 ~

第1話 管理会計ってなに?

本日の登場人物

先生
管理会計ってご存じですか?

社長
あぁ、知っているよ。ウチは税理士に任せているぞ。

先生
それは財務会計ですね。管理会計とは別です。
同じ「会計」の仲間なので考え方は一緒ですが、目的が異なります。

社長
ほう。

先生
まず社長がご存じの財務会計から確認しましょう。
社長の会社でも、財務諸表を作りますよね?

財務諸表の例

社長
あぁ、作っているぞ。
ちょうど経理部が前年度の財務諸表を夜遅くまで作ってたよ。
税理士から経費にならないって指摘された費用があってね。優秀だが少し細かい税理士で経理部も大変なんだ。
この前、経費で押し通そうとしたら、「後で税務署に見つかっても知りませんよ?」なんて言い返されてしまったよ。
ああ言われると、こっちは従うしかなくなってしまう。

先生
ははは...(一体何を経費にしようとしたのだろう)。
財務会計の一番の目的は、財務諸表を通して国に活動報告する事です。
他にも手元現金の管理や固定資産の管理もありますが、国に報告しなければ会社として活動できませんからね。
国への活動報告ためのものと考えて間違いありません。
ところで、財務諸表の中身はどこまで細かくご存じですか?

社長
売上、粗利、経常利益は分かってるし、買掛金や減価償却費とか有名な勘定科目は分かる。
ただ、細かすぎる項目は経理部と税理士に任せっきりだよ。はっきり言って私には分からない。一度は勉強したんだがね、この年になると直接経営に役立たないことは忘れてしまってな。
優秀な経営者だったら、業務改善とかに活かすことができるんだろうけど…。

先生
財務諸表だけで業務改善をするのは、なかなか難しいと思いますよ。
そこで管理会計なんです。

社長
どういう意味かな?

先生
管理会計は会社の効率を計るのが目的です。
効率が良い/悪い業務工程、もしくは、効率が良い/悪い事業を明らかにできます。
あと、あまり利益をもたらしてくれないお客様も分かります。
管理会計なくして業務改善はできません。

社長
でも管理会計なんて聞いたことがないぞ。
銀行から借りる時に財務諸表を求められた事はあっても、管理会計ついては何一つ聞かれないし。

先生
財務諸表は会社の体力を計るのにちょうど良いですからね。
万が一お金が返せなくなったときに、回収できる資産が会社にあるかを確認できますし。税務署に提出している資料だから嘘も書けません。
銀行とにとって都合が良い資料です。

社長
金を貸す側としては、貸した金が回収できるかどうかが重要な判断基準で、業務効率など知ったこっちゃないって事か。
なるほど、一理あるな。

先生
はい。その通りです。(言い方に少し棘がありますが。^^;)

次回はどうやって会社の効率を計るのかを説明します。


-- まとめ --

  • 会計には、「財務会計」と「管理会計」があり、それぞれ目的が異なる。

  • 「財務会計」は国への活動報告ためのもの。財務諸表を通じて会社の体力を計る事ができる。

  • 「管理会計」は会社自身のもの。管理会計を通じて会社の効率を計る事ができる。

財務会計と管理会計の違い


-- 目次 --

第1章 部署ごとに業績を把握しよう

第2話 部署ごとに業績を把握しよう はじめに
第3話 年間の費用を分解しよう
・実務簿記1 仕入勘定ってあんまり使わない
・実務簿記2 保守契約の負担額を月々で分けよう
・実務簿記3 実務的な原価償却
第4話 オフィスの賃貸料を各部署で負担しよう(前編)
第5話 オフィスの賃貸料を各部署で負担しよう(後編)
第6話 《まとめ》部署ごとに業績を把握しよう

第2章 案件ごとに業績を把握しよう

第7話 売上ごとに発生した費用を分けるには