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季節の匂いに敏感であること

陽が沈んでからベランダに出ると、それはもう明らかに漂う秋の匂い。
金木犀の香りだろうか。澄んだ空気の香りか。そんなことを考えているうちに、寝違えた首筋の痛みが気になり始めるKHです。こんばんは。

誰しもプチ自慢というのを持っている。
人より食べるのがはやい。
人より起きるのがはやい。
人より歩くのがはやい。

......それが自慢となり得るのかはさて置き、実は僕も『他人より少し優れている事』がある。

それは、季節に敏感な事。
春の訪れ、夏の空気、秋の匂いと冬の香りは、間違いなく別物で、それらの雰囲気というか、各季節が見せる趣を明瞭に感じ取れるのです。

例えば、夏から秋への移り変わりの際、昼間にふと秋の風を感じると、確かにその日の晩からぐっと気温が下がってくる。
春から夏への移り変わりの際、土の湿り方で、夏虫が這い出てくるのが分かる。
冬から春への移り変わりの際、溶けた雪たちの声で、桜前線の進行を把握出来た。
──というのは流石に嘘ですけど、季節に敏感なのは本当です。

だからなんだ、と言われればそれまでなんですが、ふいに感じる四季の声は、人生に彩りを与えてくれた気がしないでもありません。

今年の秋は、例年に比べて豊潤な匂いがする。なにか良いことがあるかもしれない。
毎年そんなことを考えていますが、特に何事もなく去っていく点を別にすれば、上手く環境に適応して器用に生きていると思う。
そして、たまに不器用になりたい時は、故郷への切符を握り締め、新幹線に乗ればいい。
それでも季節は、窓より流れゆく景色の中に、なに食わぬ顔で溶け込んでいる。

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