かごとも

本屋とラジオ好き。関心領域は海外文学・人文学。「ALL REVIEWS友の会」会員。

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最近の記事

ALL REVIEWSの歩き方(ガイブン編)

この記事は、藤ふくろうさんが主催している「海外文学・ガイブン アドベントカレンダー」12月6日のエントリーです。12月1日から25日まで、ガイブン好きの猛者たち(本エントリー主を除く)が参加しています。 https://adventar.org/calendars/5669 書評アーカイブサイト ALL REVIEWS のボランティアスタッフとなり、ちょうど2年。校正や入稿作業をする過程で、日々多くの書評に触れる生活を送っています。 せっかくの機会をいただきましたので、 A

    • 2020年9月の読書メモ

      ● 夜のみだらな鳥読書会  内容はさておき、1章~30章の細かく章立てされた構成で、チェスのコマを進めるように短期集中で読書が捗った。 翻訳がこなれていて意識の流れのくだりも、誰の声か分かりやすく、読みやすい。 一般には「悪夢」とイメージされる小説世界。語り手や主要人物が不幸な眼にあっても、フリークスや老人は伸び伸びと生きている。座間や相模原の事件を思うと、むしろ居心地がいいのでは。 知識人の語りの一人称に「わたし」ではなく「おれ」と訳したのは、作品世界にそぐわないと思ってい

      • 荻窪Titleへ

        雨と雷の荒天の日、人出の少ないチャンスを見計らって、荻窪Titleへ向かう。案の定、電車は座れるほど空いていた。 広すぎず狭すぎない店内と、書棚のラインナップが好み、というより、毎日TitleのTwitterを見ていて、本のセレクトに多大な影響を受けている。1年に1度ないしは2度訪問なのに、自宅にある本の多くが並んでいて、最新刊も見覚えのある本で既視感があり、むしろ不思議……?に思うのだった。 2階のギャラリーではちょうど、「書物のメタモルフォーゼ展」と題した文化人類学者

        • 半年ぶりの東京堂書店訪問

          有休を取得し、半年ぶりに夕暮れの神保町を訪問。大型書店に行くのは本当に久しぶりで、自分のためにやっているのでは、と錯覚するほど、フェアが充実していた。書店はこうでなくては。 - 中上健次の本棚 - 阿久津隆『本の読める場所を求めて』フェア - 佐々木敦『批評王』フェア - 河出書房新社 ふくろうの本 フェア 買った本は3点。 - デビット・グレーバー『ブルシット・ジョブ』 - 佐々木敦『批評王』 - アルベルト・マンゲル『図書館 愛書家の楽園』 最寄りの書店に置いていな

        ALL REVIEWSの歩き方(ガイブン編)

          きんしかがやく~「紀元二千五百年」から「リパブリック讃歌」へ

          テレビゲームが登場する前の、昭和の女児の外遊びにゴム段があった。地域によってはゴム飛びというかもしれない。公園の車止めの2本の円柱に衣類用の平ゴムを引っかけてその間に立ち、歌を歌いながら左右のゴムを足に引っかけたり、ひねったりしてステップを踏む。 姉やその友達たちがリズミカルに複雑なステップをこなすのを、年少で運動嫌いの自分はただ眺めているだけだったが、ゴム段遊びの歌は今も口ずさむことができる。 その中でも、「きんしかがやく」の歌は印象的だった。 きんしかがやく ニッポン

          きんしかがやく~「紀元二千五百年」から「リパブリック讃歌」へ

          毎年1月3日に山種美術館に行く理由

          人はたいていある程度歳をとると、着物、落語、歌舞伎に能、京都の寺社めぐりなど、何かしら和のたしなみを身につけるものだが、ついぞその機会が訪れることはなかった。 それでも年に1度は、正月の3日に、日本画を観に行くことにしている。 行き先は恵比寿の山種美術館。 ワビサビを理解できない雑駁な知能の持ち主にも理解がしやすい、富士!、桜!、美人!と、大きな画面に端麗な筆づかい、眼にも鮮やかな日本画が多数展示されている。 現在は『上村松園と美人画の世界』展が開催中。 ●会期:202

          毎年1月3日に山種美術館に行く理由

          2020年の読みはじめ

          ■紫式部『源氏物語』A・ウェイリー英訳版 (左右社)「桐壺」の章を読了。「御殿」⇒「パレス」、「萩」⇒「ライラック」の訳し替えは、平安時代と異国のお伽話の情景が同時に浮かび上がってきて、とても新しい読書体験。 ■南方熊楠『十二支考』下巻 (岩波文庫)「鼠」の章を読了。プリニウスの『博物誌』やフレイザーの『金詩篇』、中国、アジア、アフリカなど、古今東西の膨大な民間伝承、伝説を収める。一般向けの雑誌に掲載されたと言え、大正時代の文体は、トピックごとに区切りがなく、ややとっつきに

          2020年の読みはじめ

          本屋で年越し〜book topics of the year 2019 イベント メモ

          下北沢B&Bの”本屋で年越し”イベントに参加。 開始早々、「本屋で年越しをするなんて、そうとう変な人」と登壇者の一人に軽くディスられるのだった…。 出演者: 北田博充さん(二子玉川 蔦屋家電) 鈴木永一さん(本屋イトマイ) 竹田信弥さん(双子のライオン堂) 嶋浩一郎さん(本屋B&B) 内沼晋太郎さん(本屋B&B) ☆2019年の出版トピック●雑誌編集の今後 -広告枠を売るビジネスから、カルチャーの知見やプランニングを企業に売り込むコンサルビジネスへ -前例:Veryが主婦

          本屋で年越し〜book topics of the year 2019 イベント メモ

          第二十三回文学フリマ東京で買った本

          1.LOCUST vol.3 2.Criteria 4 3.ODD ZINE vol.3 4.生活考察 vol.07 5.Witchenkare vol.10 6.北欧フェミニズム入門 7.パリのガイドブックで東京の町を闊歩する1 8.ヴァージニア・ウルフ ある協会 9.若月 馥次郎 桜と絹の国 10.機関精神史 第二号 11.橋本 亮二 うもれる日々 12.genkai vol.4

          第二十三回文学フリマ東京で買った本

          神保町ブックフェスティバルにて

          1.『独裁者のブーツ』ヨゼフ・チャペック(共和国) 2.『鏡の中のボードレール』くぼたのぞみ(共和国) 3.『読書の歴史: あるいは読者の歴史』アルベルト・マングェル(柏書房) https://1000ya.isis.ne.jp/0383.html

          神保町ブックフェスティバルにて

          先週買った本とそのきっかけ

          1.『天才たちの日課 女性編』(フィルムアート社) 昨年観た映画『顔たち、ところどころ』でファンになったアニエス・ヴァルダの日課に興味を惹かれて。 2.『在野研究ビギナーズ』(荒木優太 編) 著者のTwitterをフォローしていたので。 3.『昏き目の暗殺者』(マーガレット・アトウッド) ノーベル文学賞の有力候補で、鴻巣さん訳で文庫化されたため。

          先週買った本とそのきっかけ

          『「差別はいけない」とみんないうけれど。』読書会で著者からおすすめされた本

          課題本『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(平凡社) ゲストでご参加いただいた著者・綿野恵太さんのおすすめ本。 ●『言ってはいけない』『もっと言ってはいけない 』橘玲 (新潮新書) 人種と知能指数に関する研究の紹介。「リベラルな社会ほど遺伝率が上がる」 ●『実践行動経済学』リチャード・セイラー&キャス・サンティーン(日経BP) ●『シンプルな政府:“規制"をいかにデザインするか』キャス・サンティーン(エヌティティ出版) ●『幸福な監視国家・中国』梶谷懐・高口康太

          『「差別はいけない」とみんないうけれど。』読書会で著者からおすすめされた本

          今日買った本とそのきっかけ

          人は何をきっかけに本を手に取るのだろう。そんなことをふと思い、自分が本を手に取ったきっかけを記してみた。 ●『読書会入門』山本多津也(幻冬舎新書) 過去何十回と参加している読書会、猫町倶楽部。読書会の運営ノウハウを知りたくて。 ●『善意という暴力』堀内進之介(幻冬舎新書) 裏表紙の解説に惹かれて。買ってから著者の前著を一度手にしていたことを思い出す。前著は、文化系トークラジオLifeのイベントで塚越健司さんがおすすめしていた、はず。 ●『銀河の果ての落とし穴』エトガル・

          今日買った本とそのきっかけ