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[家族]苦しむ家族にしてやれることは...

Brad Pittブラッドピッド)が主演している名作「リバーランズ・スルー・イット」では、フライ・フィッシングを通したFamily Ties家族の絆)が描かれている。ブラッドピッドが天才的なフライ・フィッシング技術を持つ青年を演じている。少しだけ反社会的な行為をしてしまうその青年と、その家族を描いた作品だ。

簡単に内容を説明(ネタバレ)すると、

厳格な神父である父、家族と信仰を支える母、そして、仲の良い2人の兄弟の物語である。幼い頃から優等生の兄。対して、天才的なフライ・フィッシング技術を持った弟。青年になった弟は社会へ反発し次第に警察沙汰になることが増加していく。一時期、親子の関係性に距離ができてしまうが、幼少期から、この家族をつないでいるのが、フライ・フィッシング。
ロバートレッドフォードが監督の作品で、モンタナでのフライ・フィッシングの描写が美しい。120%見た方がいい映画である。あとブラッドピッドが最も輝いていた若かりし頃の作品だ。

神父である父の説法が印象的なので、ご紹介したい。家族のことに悩む人には、この説法に、共感できる人が多いのではないだろうか。

人は皆、一生に一度は似た経験があります。愛する者が苦しんでいるのを見て神に問う。”愛する者を助けたいのです。何をすれば?” 本当に助けになることは難しい。自分の何を差し出すべきか。あるいは差し出しても相手が拒否してしまう。身近にいながら腕の間をすり抜けてしまう。できるのは愛すること。人は理屈を離れ、心から人を愛することができる。
映画「リバー・ランズ・スルーイット(字幕)」からの引用

この映画「リバー・ランズ・スルーイット」は、アメリカのモンタナ州という自然豊かな田舎町での物語だ。とにかく映像が美しく、川の流れの中でのフライ・フィッシングがキーワードだ。

その描写は「鴨長明の方丈記」の世界観に共通するものを感じる。自然との対話。自然との調和。自然の一部でしかない人類。人の命の儚さ。

行く川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたかは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある、人と栖と、またかくのごとし。玉敷きの都の内に、棟を並べ、甍を争へる、高き賤しき人の住まひは、世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。

『方丈記「行く川の流れ」原文と現代語訳・解説・問題|鴨長明の随筆』から引用させて頂いた。https://shikinobi.com/houjouki-nagare

映画では、文化や宗教の違いを超越した世界観が描かれており、主人公(弟)が、モンタナの渓谷の清流で、自然との対話を繰り返すことで体得したフライ・フィッシング技術の完成の描写が圧巻である。宗教芸術をも超越しており、とても形而上学的である。分子生物学者の村上和雄さんが言われているサムシング・グレートの存在を感じるのだ。

釣りメンタルヘルスに良い理由は、サムシング・グレートの存在であるかもしれない。この映画は、お勧めである。













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