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【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~

9. 令嬢、冒険者になる ②

「ではそれぞれがどんな冒険者になるのかを決めましょう! 私は回復系の魔法と支援魔法が使えますが、マリア? 私の様な者は冒険者の間では何と呼ばれているのでしょうか? 」

 マリアは即答した。

「聖女でしょうとも、 ええ、ええ、尊くたっとくてお美しい聖女以外ございませんわ! 」

 真剣な顔で頷きつつ聞き返すアメリアであった。

「そうなのですね、でも聖女様と言えば建国王のパーティーにおられた御方だけの尊称そんしょうだった筈ですが…… しかして、不敬なのでは無いですか? どうでしょうか? 」

 胸を張って答えるマリア。

「ご心配なく、こう見えて冒険者を題材にした読み本なども何冊もメイド仲間から見せて貰った事がございますの! 物語の中の冒険者は結構自由に自分の職について自称しておりまして…… 中には建国王まんま『勇者』ですとか、伝説の『大魔導士』ですとか、あろうことか『賢者』などと名乗って拍付けをするのだぁ! 的な事が書いてありましたもの! 大丈夫でございますよ、お嬢様! 」

「「ほう」」

「そうなのですね! では私は『聖女』とする事としますわ、となるとデビットは差し詰め『剣聖』と言った所かしら? 」

 デビットは慌てた声を上げた。

「け、『剣聖』でございますか! いやいやそれは流石さすがに……」

 アメリアはいつも以上に柔和な顔をして諭す。

「うふふ、今マリアのお話を聞いていたのでしょう? 冒険者とはそんな風に名乗る物だと言っていたではないですか? 」

 そう言われてしまってはデビットも言わない訳には行かなかった。

「そうでしたね、ただお嬢様、自分は騎士です、騎士とは領民や主様を守る為に死を恐れず戦う者、
もし名乗る事が許されるならば護り手を意味する言葉が良いのですが……」

 なるほどと一つ頷いたアメリアは程なくデビットに答えた。

「ではそのままで良いのではないですか? デビット、貴方は『守護者』と名乗れば良いのでは? 如何かしら? 」

「守護者、守護者…… いいですね!ではお嬢様、私の職業は『守護者』に致します、ありがとうございます」

 喜ぶデビットの隣で顔をしかめて悩んでいたのは執事のイーサンであった。
 表情に気が付いたアメリアが話し掛けた。

「イーサン、どうしたのですか? そんなに厳しい表情を浮かべて? 」

「いや、お嬢様…… 私はどう致しましょうか? 執事といった職業が冒険者に相応しいふさわしい物でしょうか? 」

 問われたアメリアも首を傾げて悩んでしまう。
 助け舟を出したのは読み本の知識を持ったこの場で一番の知恵者、マリアであった。

「イーサン様、執事になられる前はどんなお役目をされていたのですか? 」

「ふむ、極々普通に従者をしていましたが…… 何しろ三歳から侯爵邸で過ごしていましたから、そうそう、かくれんぼは得意でしたね、それと生活魔法のたぐいです! 種火を熾しおこしたり、真夏に氷を作り出して皆さんに褒められましたよ、現当主パトリック様がお若い頃、奥様に当てたラブレターを辺境伯家に届けたりもしましたね! 八歳の時でしたが誰にも気づかれずに忍び込んで帰って来ましたよ、懐かしいですね」

「まあ、お父様とお母様の恋のキューピッドでしたのね、イーサンたら」

「ははは、子供時代の事ですよ♪ あとは、本能的とでもいうのでしょうか? 悪意を持った罠や仕掛けの類には何故だか事前に気が付くことが出来ますし、まあ、ナイフや石礫いしつぶて投擲とうてきする事も得意技ですね、ハエ位であれば服のボタンで切り裂いたりできますが? 」

 マリアが呆然としながら呟く。

「忍者……」

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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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※この作品は『小説家になろう』様にて、先行投稿しています。宜しければこちらからご覧いただけます^^↓

公爵令嬢冒険表紙01-3m


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