【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
24. 令嬢、散策する ⑥
デビットが顔色を真面目な物に変えて言った。
「ありがたい事ですが…… 一体何なのです?
あなた方は私の事をアイアンシールドと知っていました、
それだけでなく貴方、リッキーは言いましたね……
何十世代も前から、今日? 私に渡す為に研究を重ねて来た、でしたか?
意味が解らないのです、説明して頂けませんか? 」
これにはイーサンも同感だったようで言葉を続ける。
「ええ、そこは是非私としても聞いて置きたい所です、
我がスカウトの一族、貴方モーガンもその様ですが……
何世代も掛けて私専用の武器を準備していた……
俄かには信じられませんが、
現実に私の特性にピッタリと合った装備がここにあるのです……
一体何故こんな事が可能なのでしょうか?
モーガンさん、リッキーさん! ご説明を求めます! 」
それはそうだ! 先程レオニーさんと出会ったマリアも、魔石買取所のレイブに会ったエマも緊張を顔に浮かべて二人の説明を待っていたのだが、モーガンは事も無げに答えるのであった。
「説明? 難しいな~、
強いて答えるとすれば、精霊が囁いた、って所かな? 」
リッキーも続いた。
「そうそう! 精霊の囁きだよ! 分かるだろ? 」
ノブレスオブリージュの面々は一斉に思うのであった。
────分かんないよ、なんの叙述詩だよ、それ?
と……
まあ、分らないながらも装備を整えられてパワーアップを果たしたエマ達に困ったようにレッドが言ったのである。
「な、なんか不思議な事ばっかり起こったけどさっ!
お昼も過ぎて随分経っちゃったし、
俺達の行きつけの露店でお昼ご飯にしないか? エマ? 奢るからさっ! 」
エマも薄らとした笑いを浮かべて答えた。
「ありがとうございますわ、お師匠様♪ ご馳走になりますわ……」
エマは思っていたのである、このお師匠様達が連れて行ってくれる場所には、自分達ノブレスオブリージュにとって何やら不思議な同族が待ち構えているような、予感では無く確信めいたミステリー風味を感じていたのだが……
「らっしゃい! おお、レッドとホワイトじゃね─か!
なんだい? 今日は新規のお客さんを連れて来てくれたのかい?
じゃあ目一杯サービスしなくちゃいけねーなー!
おいお前! デカめの肉を焼いてやってくれよ! 」
「あいよ! アンタ! 」
ムッキムッキでスキンヘッドの旦那さんとスタイルグンバツな奥さんが元気に串焼きを焼いてくれている勢い溢れる屋台であった。
モンスターの肉であろう、例の如く毒消し草を塗した大き目のお肉が焼き上げられていくのに連れて、山葵を始め数々のシーズニングに因って身を飾り続ける串焼きは、エマ達の空腹をこれ以上無い程刺激して、最早限界ギリギリ、腹ペリの極致状態を招いていたのであった。
奥さんが言った。
「お待ちどう様でしたぁ~、どうぞ、お召し上がれぇ~! 」
香ばしいお肉に食欲を刺激するエキゾチックな香辛料、レッドとホワイトの二人は齧り付きつつノブレスオブリージュの面々を振り返り、肉を噛み締める素振のまんま、顎を上げて食べるように促したのであった。
我慢の限界だったのであろう、頬張るマリア、イーサン、デビットをそのままに、エマだけが手を止めて、屋台の親父と奥さんに質問を投げ掛けたのである。
「旦那さん、奥さん、変な事を聞くようですけれども、
貴方たちのお名前、姓を聞いても宜しいでしょうか? 」
元気いっぱいの夫婦は声を合わせて言うのである。
「「コーフクだよ! 」」
エマ、アメリア・バーミリオン令嬢はホッと胸を撫で下ろすのであった。
聞いた事も無い名前だ!
そして、エマは大きな声で告げたのである。
「頂きますわ! わあ、とっても美味しそうですわねえ! 」
パクリ、モグモグ、ゴックン!
「美味しいですわぁ~! 」
こうしてエマとノブレスオブリージュの面々は、レッドとホワイトの案内を受けて、ルンザの街で必要そうなお店の散策を続けたのであった。
魔道具屋とスクロール屋では特段の出来事も欲しい物も無く、ウィンドウショッピングを楽しんで宿へ帰って来たエマであったが、夜一人になって道具屋に寄るのを忘れていた事を思い出だしたのだが、時すでに遅し、この夜も暗闇に怯えつつたっぷりと魔力総量を増やしていくのであった。
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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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