見出し画像

ユーザー理解の大切さを知る!「シェイクの売り上げを伸ばすには?」(ジョブ理論)

シェイクの売り上げを伸ばすには、どんな方法があるだろうか

  • 入れ物を可愛くして、インスタにあげてもらおう

  • 味を変えよう

  • もっと冷たくしてみよう

など、考えられることはいろいろある。

では、実際に来店客の生活に起きたどんな「仕事(ジョブ)」が、その人たちを店に向かわせて、シェイクを購入させているのだろうか?

シェイクのお店に並んでいる人を観察してみよう

見えない課題や潜在的価値を紐解くのに役立つのが行動観察(エスモグラフィ調査)である。
来店客の生活や行動を観察してみると、日々の生活の中に解決すべきタスクがあることがわかる。来店客について、次のような観点で調べてみる。

  • 何時頃に来店している?

  • 何人で来店している?

  • 男? 女?

  • 家族と? 恋人と?

  • 店内? テイクアウト?

すると、下記のような共通点が見えてくる。

午前9時に一人で来店し、シェイクを購入する客が多かった。シェイクだけを購入し、店内では飲まずに車で走り去っていく。

このことから早朝のお客さんは、下記のような共通のジョブを抱えているらしいことがわかった。

・仕事先まで長く退屈な時間運転をしなくてはならない。
・通勤時間に気を紛らわせるものが欲しい。
・でも、お腹は空いていない。

このように、行動観察から各人の抱えているジョブを紐解くことで隠れた心理を垣間見ることができる。こうした声はアンケートなどで購入者に直接尋ねたところで「飲みたかったから」としか表現されないような潜在的な声である。

なぜ、シェイクを選ぶのか

仕事先までの退屈な時間を運転する人にとって、他の食べ物では代えが効かないのだろうか?

バナナは?
→「すぐに食べ終わってしまう」

ドーナツは?
→「油で手が汚れるし、ぼろぼろこぼれてしまう」

ベーグルは?
→「ぱさぱさするし、味がしない」

スニッカーズは?
→「朝食にお菓子を食べるのは気が引ける」

などのように、理由を探ってみると「毎朝の運転時間を退屈させたくない」というジョブを完璧に片付けるものとしてはシェイクがぴったりだった。
お客さんがシェイクを購入するのは「ストローでゆっくり飲めること」「車のカップホルダーに入るので運転に差し支えないこと」などの理由によって支えられていたのだ。

たとえば「バニラ味、ストロベリー味のように味が増えたら嬉しいんじゃないか」という憶測で「味展開を多様にする」という施策をとった場合、どのような影響があると考えられるだろうか? 先ほどの「毎朝の運転時間を退屈させたくない」というような理由で購入していたようなお客さんにとっては、味展開の多様さはおそらくほとんど関係しないだろう。
では「パッケージの美しくしよう!」という施策はどうだろうか? 先ほどのようなお客さんであれば通勤途中に車の中で飲み終わってしまうかもしれないし、誰にみられるものでもない。この施策についても重要度は低そうである。
より効果的な施策を検討するには、実際の行動観察から得られた顧客のジョブに着目しよう。

ところで、シェイクは午後や夕方にも購入されている

では、早朝の通勤時以外にお客さんが抱えているジョブは何だろうか。
たとえば、夕方ごろに親子で来店しているケースがある。子どもが「おもちゃを買って」とおねだりすれば「だめ」と、「おやつを食べたい」とおねだりすれば「だめ」と一日中答えてきた親は、そろそろ子どもに「いいよ」と言ってあげられる機会があっても良いと思っていた。
そんなときに夕食も差し迫っていない夕方の時間であれば、子どもにシェイクを買ってあげることができる。

時間帯ごとに考えてみる

朝の購入客の場合

「車内で退屈しない」という目的に沿った解決策を考えてみる。

  • 購入をセルフサービスにする

  • より濃厚なシェイクを作って、ゆっくり楽しめるようにする

  • フルーツを足したりチョコレートを足したりすることで味わいを豊かにし、より退屈しないようにする など

夕方の購入客の場合

  • 子どもが楽しくなるようなバリエーションを増やす

  • 子どもが家につくまでに飲み終えられて、夕食にも支障のないような小さなサイズを作る

  • 子どもが喜びそうなおまけをつける など

解決策は決して一方通行ではない

  • お客さんの利用状況にあわせて改善方法を考える余地がある。

  • サービスに応じた利用状況を知らないと、より良いサービスには結びつかない。お客さんがどういうシーンで困っていて、どういう心持ちでサービスを利用しているかを知ること。

  • 単純にサービス改善というと「スピーディに決済できるようにしよう」などと、いまある機能を拡張することに注力してしまいがちである。お客の観察やリサーチの視点を持って改善することを忘れないようにしよう。

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?