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失敗を恐れがちな日本

海外に来ると母国・日本の良いところや悪いところを客観的に見れるようになります。それは日本にいた頃に感じていたものとは全く異なる視点です。

僕は徐々に英語力も上がってきたため、インターネットで英語の記事を読む機会が増えてきました。日本人が日本語で書く記事と、外国人が英語で書く記事には大きな違いがあり、外国人から見る日本という国の実態も知るようになりました。

日本は僕にとって大切な母国です。

これは一生変わらないことだし、どんなに外国で英語を使って仕事をしたとしても、精神的な拠り所という事実は変わりません。

しかし、だからこそ日本の良くない部分は変わってほしいと願う気持ちが強くあります。

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昨日、このような記事を読みました。

もう15年以上、スタンフォード大学でアメリカンフットボールのコーチを務めている日本人の河田剛が、1ヶ月間日本に帰国した際に感じたことについて書いています。

ソニーの元技術者・久夛良木健との会話の中で、日本を良くするためには「失敗を許すというルールを作る」ことだと感じた、と述べたそうです。

僕も常々感じることですが、日本には成功至上主義が蔓延しており、逆に失敗はとても恥ずかしいし、回避すべきもの、という考え方が根強くあります。

ごく普通の日本の家庭に育った僕にとって、つい最近までこの「失敗」に対して強くネガティブな感情を持っていました。

日本社会では失敗が許容されないから、何も決まらず前に進まない。それゆえ、企業にしても政府にしても、意思決定プロセスが途方もなく長くなっている、と筆者は述べています。

これは日本が抱える大きなデメリットだと僕も感じます。

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僕は失敗をしないように人生を過ごしてきた張本人です。

教育熱心だった親の元に育ったため、小学生の頃から塾に通い、熾烈な中学受験を乗り越え、私立の中学校に進学しました。

通っていた塾では学力によってクラスが分けられ、同じクラスの中でもテストの結果によって教室内の席順が決められていました。

そういった環境において、僕は序列という感覚を植えられることになります。周囲と比べた時の自分の立ち位置を強烈に意識し、成功と失敗を如実に、周囲からもわかる形で認識していました。

下のクラスだと恥ずかしいし、同じ教室内でも後ろの席に座っている人は恥ずかしい。上を目指すバイタリティが養われるという意味では良い環境だったと思うけれど、失敗を恐れることに怯えながら過ごす日々でもありました。

学校選びに関して、僕は親から大学と直結している学校を受験するように言われました。これも「大学に行けない」という失敗を回避するためだったからです。

親の気持ちもわからなくはないけれど、失敗を避けて無難にこなすことを求められていたんだと今になって気づき、悲しい気持ちにもなりました。

これらはあくまでひとつの例ですが、僕にとって、失敗とは回避すべきもの、恐れるもの、という感覚がこの幼少期に植え付けられました。

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文化を変えることが難しいのは誰にもわかることです。だから、記事の筆者が言う日本全体のルールを変えていく、という大きな枠組みは一旦外して、僕は個人でできることをやっていく、という考えにシフトしていくことが大事だと思っています。

僕は大人になってから、失敗という概念について強く意識するようになりました。成功した人に失敗の経験を持っている人が多いと言うことを知ったからです。そもそも、失敗せずに成功した人は誰一人として見つかりませんでした。

どこかで大きな損失を出してしまったり、親身にしている人から裏切られたりして、運や実力に関わらず、成功者はみんな、なにかしらの失敗を経験していたことを知りました。

そこから、成功の哲学ではなく、失敗の哲学を学ぶことが大切だと、気づきました。

それ以来、僕はマインドを変えることにしました。

失敗を回避するための行動を取るより、失敗してもいいからやりたいことをやってみる。

僕もそうですが、今の日本に多くいる「やりたいことがわからない」という人たちには、まず失敗をしに行く、という割り切りを持ってなにかに挑戦してほしいと思います。そして周囲の大人たちは、そういった挑戦者に失敗を許容する寛容さを持ってほしいと思います。

それが結局のところ、成功への近道だと思うし、ユニークな自分を作れるたった一つの方法なのかもしれません。

僕は海外に来て、客観的に日本のことを理解していくうちに、この事実を強く実感し、今もそれに向けて実践している最中です。

これからもたくさん失敗して、成功への道を歩んでいきたいと思います。


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サムネイルの撮影場所はIvane Javakhishvili Streetの街角(トビリシ)

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