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魅惑の街アテネ

アテネでの3泊4日もそれまでの旅同様、計画は立てずにその場の勢いやノリで行動していました。その結果、だいたいはのんびりした時間を過ごすことになりました。

3週間も旅をしていると、疲労と体調不良を感じるようにもなり、自分を労って過ごしていました。

ちょうど滞在していた宿は、共有スペースが広々しており、アテネ中心部のモナスティラキ広場からほど近かったこともあって、街に出てもすぐに休憩のため戻ってきたりを繰り返していました。

昨日、だいぶ調子が良くなっていたので、夜の街に繰り出すことにしました。

アテネは古代ギリシャの遺跡のイメージが強くあるけれど、同時に飲み屋が多くあるイメージも持っていました。

事前に聞いていたアテネを旅した友達の話を聞いても、遺跡のことそっちのけで夜に飲み歩いた話しかしなかったくらいです。

それまでの2日間とも夜はおとなしく宿にこもっていたので、最後の夜にやっとこのナイトライフを見に行くことができました。

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アテネはとても活気のある街です。

世界的な観光地であるため、観光客が多くいるのは当然ですが、都市圏の人口を見ると300万人を超え、特に若者が多くいます。

閑散期の3月ですら、街を歩いていると多くの人にすれ違います。アクロポリスはもちろんのこと、市街地にも人がたくさん。

旅をしている人々の高揚感や若者のありあまる元気から、強いエネルギーが宿っている感覚を受けました。

さて、夜はどうなのか。

夜9時、アテネ中心部のモナスティラキ広場に向かった僕は、その光景に強く衝撃を受けます。

あたり一面が人だかり。道路にはみ出るくらいたくさんの人。

噂に聞いていたアテネの夜は本物でした。

何かイベントをやっているのかと思ってしまったくらいです。度肝を抜かれました。

日中に感じた以上の強いエネルギーがあり、まるでお祭りのような楽しい雰囲気を放っています。たとえて言うなら、街中がクラブになっている感じ。

スピーカーで音楽を流している人、ギターを演奏している人、お酒を飲んで踊っている人。

とってもカオスで楽しい。

そんな街をひとりで闊歩します。

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とあるグループにからまれました。

これジュースだから一緒に飲もうよ!

怪しい。でも彼らも同じものを飲んでいたし、注ぐ瞬間を見ていたからクスリは入っていないだろう。

小さなコップに入れられたレモン色の液体。それをぐいっと一気に飲んでしまいました。

あ、、これはもしや。。

柑橘系のフレッシュな香りが広がると同時に、喉に通る熱いもの。

お酒だ。

彼らにこれは何かを聞いたら、ジュースだ!と言われるものの、明らかにリキュールの味。

僕はお酒を飲んでしまいました。

かれこれ3年近く一滴もお酒を飲んでいなかった僕は、1年間の海外生活でもお酒を飲まずに過ごしていました。

体質的には弱くはないものの、お酒で失敗したいくつもの経験からいつかやめたいと思っていて、コロナ禍くらいから一切手をつけていませんでした。

いつもコーラしか飲んでいなかった僕にとって、久しぶりに感じたお酒独特の喉に残るあの感じ。

タブーを犯した罪悪感と、してやったという快楽の真逆の2つの感覚を持っていました。

でも不思議と後者の方が強くあるような。どこかこの状況に幸福感と感じている自分もいました。

何かがガタガタ崩れていく感覚。

この時、何かそれまでの旅ではなかった独特の感覚を持ちました。それまで積み上げていたものが一気に崩れ落ちていくような。

あれはいったいなんなんだろう。

今振り返っても言語化できない、モヤモヤとした、でもスッキリとも感じる感覚を覚えました。これが何かの境目になるような、そんな感覚もあります。

夜の街を歩き回ってその楽しい雰囲気を存分に感じてから、最後にギリシャ名物のギロスを食べて終了。夜遅くにご飯は食べないと決めているのに、街から漂う誘惑に我慢できませんでした。

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アテネに来てから、僕はなにか調子が狂った感覚を持っています。

体調に異変が出るし、朝は起きれなくなるし、食事のペースが崩れるし。そして昨日の夜のお酒を飲んでしまったこととその後の感覚もそう。

3週間旅をしてきて、いろんな街を訪れてきました。いろんな景色を見てきたし、いろんな思いを抱えてきました。

しかし、アテネではそれまでの都市とは何かが大きく異なる、今までにはなかった感覚をいくつも抱きました。

それはこの街が持っている魔力なのか。だとしたら、それは自分に何をもたらすのか。

何かが崩れ落ちたその先にはなにがあるのだろう?

堕落した自分か、それともリニューアルした自分か。

未だに腑に落ちないけれど、自分にとって変化となる瞬間だったのかもしれません。

アテネという街は不思議な魅力がありました。その魅力を求めに人々はこの街に集うのでしょう。

まだまだ旅は続きます。




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それでは、また明日お会いしましょう!

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