土居 健太郎

ナイル株式会社 取締役 人事本部長。現在、総勢300名ほどのベンチャー企業の人事責任者…

土居 健太郎

ナイル株式会社 取締役 人事本部長。現在、総勢300名ほどのベンチャー企業の人事責任者。このnoteでは主に人や組織、マネジメントなど仕事に関わることについて不定期で更新します。

最近の記事

【新卒Q&A】新卒社員に求めること / 中途社員との違い / 経験年数の差は埋められるのか

4月から新卒社員を5名迎えたり、24卒採用活動も目下進んでいるところで、新卒採用に関してあれこれ聞かれたり話したりすることがありました その中で出てきたQ&Aを一部書いておきます あくまで自分が聞かれたらこう答えますよ、って内容なので、一般的に使い回せる話かどうかは知りません なんか使えそうなタイミングがあればに都合よく使ってください ※文体について、社内Slackとかずっとこういう感じなのでnoteも同じノリで書いてみたところ非常に書きやすかったので今後この書き方に統一

    • 「私が正しいのに、わかってもらえない」と嘆いている方へ

      ちょっと冷たい言い方かもしれないが、 自分にとって正しいと思うことを主張するのは誰にでもできる。それを理解してくれない人を間違っていると非難するのも同じく誰にでもできる。 しかし、あなたが正しいというのは誰から認められた事実なのか。自分が思い込んでいるだけではないのか。 仮に正しいとして、正しい方向に状態が変化していなければその正しさに仕事上の価値はない。正しさが価値になるのは、それが理屈として正しいからではなく、より良い状態に物事が変化するからだ。 状態が変化してい

      • 人は「責任を取り続ける」ことで飛躍的に成長する

        責任、というと日常的に使われる表現ではあるが、「責任を取るとは具体的に何をすることですか?」と聞かれて即答できる人は多くないと思うのでまず手短にまとめておく。 ググったら出てくるような辞書的な定義を読んでも仕方がないので、responsibilityの語源に基づきその意味をビジネスにおいて咀嚼すると 1.自身の決断によって起きた結果を 2.自らがその矢面に立って 3.最後まで引き受けること のように捉えて良いだろうと思う。もちろん、ここでいう結果とは主に「失敗」「損失」

        • 「上司が無能だから」と嘆いてばかりいる人は、その上司には引き続き無能であってほしいと願っている

          「私の上司は、マネージャーとしての能力に欠ける人だ」 「あんな人が上司だから、自分はこんなにつらい境遇にあるのだ」 例えばこんなことを日常的に強く思っている人がいるとしよう。 ここでは、酒の場ともなればその上司の文句を言い、自分が強いられてきた苦労を意気揚々と話し、周囲の同調を得たことを確認して溜飲を下げることが日常になっている、そういうレベルをイメージしてほしい。 あなたの周りにも1人2人いるかもしれない。 さて、この人は果たして、この上司がマネージャーとしてレベル

        【新卒Q&A】新卒社員に求めること / 中途社員との違い / 経験年数の差は埋められるのか

          「過度な自己犠牲は過度な自己正当化を生む」をビジネス流行語大賞にしたい

          医師であり大学教授でもある岩田健太郎先生のツイートを紹介するだけのエントリー。 フロー情報として埋もれるのはもったいない、ビジネス分野で流行語大賞にノミネートされる程度には多くの方に見ておいてほしい、と思い発掘した。 過度な自己犠牲は過度な自己正当化を生みやすい 「俺は悪くない、こんなにがんばってる」モード 表現が的確すぎる。 「この人なんか変に意地になっちゃってない?」と感じたら黄色信号 職種とか役職とか経験値とかスキルの高さとか関係なく、キャパを上回る責務を抱え

          「過度な自己犠牲は過度な自己正当化を生む」をビジネス流行語大賞にしたい

          サウナで学ぶ心理的安全性

          以前は週7~7日くらいは酒を飲んでいたが、最近は飲みに行く機会が減ったこともあり、いい機会なので健康的な生活を心がけている。 食事はカロリーやPFCバランスを考えて9割自炊、朝のウォーキング、週3~4回ほど筋トレ、週に2回ほどプールで泳いでいる。用事がなければ酒も飲まず、睡眠も6~8時間は確保している。控えめにいって健康だと思う。 しかしその中でもサウナは格別だ。自分はサウナ歴2年くらいのペーペーではあるものの、体調維持や疲労回復の手段としてサウナは欠かせない。 さて、

          サウナで学ぶ心理的安全性

          組織で「抜擢される人」になるために

          マネージャーになりたい、新サービスの立ち上げに関わりたい、新規事業を任されたい、いつかは経営幹部に抜擢されたい、など、ベンチャーではたらく人ならその多くが大なり小なり持ったことのある意向だと思う。 ただし、大半の人にとっては「願望」の域をでていない。 結局のところ、うまく立ち回ったり社内でいい感じに目立ってる人がそういうポジションに抜擢され、自分にはなかなかチャンスがないなぁ、と感じている人も多いのではないか。 もちろん組織の評価能力や人事制度等の成熟度なんかによっても

          組織で「抜擢される人」になるために

          [雑記] カルチャーフィット重視の採用で、組織は多様性を失うのか

          ちょうど1年ほど前(マジかよ)にこんな記事を書いた。 当時それなりにシェアされたし、今も読まれている。他の真面目に書いた記事の多くは大して読まれていないので、はっきり言って複雑だ。 さて、その中で、「カルチャーフィットとか言ってると均一的な人ばかり採用されて多様性を失うんだよなぁ」という、意識と偏差値が高そうなコメントを何度か見かけたことがある。 もちろん、カルチャーフィットを「今いるメンバーとの相性や好き嫌い」と捉えるとそうなるかもしれないが、そこで言う多様性とは

          [雑記] カルチャーフィット重視の採用で、組織は多様性を失うのか

          組織における「合理的な判断」「正しい意思決定」の難しさ

          チーム、プロジェクト、部門、会社、など規模はさまざまあれ、組織において何らかの意思決定が行われるとき、その背景には大なり小なりこのようなプロセスがあるはずだ。 …というのはほとんど嘘で、理屈上はこう考えるほうが自然だろう。 ここまでで「確かにけっこう難易度高そう」と思えた方は理解力が高い方だと思うし、実際に決める側の立場にいる方もピンとくると思う。 しかし、2つ目の図では関係者の主観に相当するパートを黄枠で強調しているが、実際には、それ以前のプロセスにしたって組織的に徹

          組織における「合理的な判断」「正しい意思決定」の難しさ

          職場に不協和音を生み出すもの - 仕事における「貸し借り」と、チームの能力バランスの話など

          仕事の世界において、「タダであげる」「タダでもらう」というようなやり取りは滅多に存在しないと思っている。 友情や恋愛・家族愛などとは違い、仕事における人同士のやり取りには、なんだかんだ損得勘定とか利害調整みたいな感覚がついて回るのが自然だろう。 もちろん、発注・受注のように金銭が発生する取引は分かりやすい。 でも、そうではない、例えば取引外での情報交換であったり、社内の業務のやり取りなどであっても「貸す」「借りる」に相当する取引がその度ごとに行われている、と捉えるべき

          職場に不協和音を生み出すもの - 仕事における「貸し借り」と、チームの能力バランスの話など

          「若いうちに勉強する、苦労する、etc.」は根性論以外にどんな意味があるのか

          以前、「自責思考と他責思考」という記事を書いたのを思い出した。 自責思考で仕事をすることが好ましい理由は、自分に何ができるか、何をすべきかにフォーカスして主体性の高い仕事ができるため 読み返してもそのとおりだと思いつつ、自責思考=今起きている問題は全部自分のせいだと思え というニュアンスが強い言葉だとも思っていて、そういうのとは違うんだよな、とモヤモヤしていたのも事実。 しかし色々考えていくうち、自責思考とは突き詰めれば「自分の人生は自分でコントロールできる、だから

          「若いうちに勉強する、苦労する、etc.」は根性論以外にどんな意味があるのか

          【図解】人のモチベーションの上げ下げが起こる仕組みを自分なりに解説する

          仕事しながらふと昔のファイルを漁ってたら、2年半くらい前、まだ人事の仕事に関わる前につくった懐かしい資料がでてきたので発掘記念に一部を開示しながら記事にすることにした。 モチベーションは認識×感情で動く色々説明が面倒くさいので、基本的には人のモチベーションは「自分の置かれている環境に対する認識」×「自分の周りで起きた出来事に対する感情の揺れ動き」の2つの変数によって日々変動するもの、ということをまず前提においてしまうことにする。 例を挙げる。 環境に対する自分の認識:

          【図解】人のモチベーションの上げ下げが起こる仕組みを自分なりに解説する

          「背中で語る」リーダーシップの限界

          気づけば3ヶ月も更新サボってたのでちょくちょく再開しないと、と思ってたらなんかのタイミングで書き溜めてた下書きがあったので公開。 さて、プレイングマネージャだと特に陥りがちな「背中で語るリーダーシップ」の限界は、自らがメンバーのロールモデルになり得る範囲にその影響力が限定されるところ、と思っている。 逆に言えば、プレイングマネージャから卒業して純粋なマネジメントキャリアに進みたいなら、マネージャー自身がロールモデルになり得ないメンバーばかりのチームマネジメントを担当する

          「背中で語る」リーダーシップの限界

          企業と個人は「お互いなんでも自由、だから対等」という関係性ではない

          個人は働く環境を選ぶ自由があるし、企業も応募者の中から入社してもらう人を選ぶ自由がある。これはお互い自由であり、対等な関係と言えそうだ。 企業は自分たちがどのようなやり方で、何をやるかを定め、そこで働く個人に求めることができるが、個人は組織にいる以上その意志に従う必要があり、それを自由に変更することはできない。ここでは企業が優位。 個人はいつでもその企業を辞める自由があるが、企業が個人を辞めさせる自由は日本においては事実上ないに等しい。ここでは個人が優位。 以上のような

          企業と個人は「お互いなんでも自由、だから対等」という関係性ではない

          「スキルが高くてカルチャーマッチしない人は採用しない」の鉄則を、誰でもわかるように図解する

          ---- 2020/05/30追記:この記事でいうカルチャーマッチ(カルチャーフィット、のほうがメジャーのよう)について別でまとめたのでよければそちらも ---- よく見るこういう分類について。 もうほとんど常識と言われているようなことだが、この図では④の「スキル高いけどカルチャーマッチしない人は絶対採用するな」が鉄則だ。 ②は文句なしで採用だ。③は採用したい人はいないだろう。①も、特別高いスキルじゃなくてもそのポジションのスキル要件を満たせていれば全然OKだ。 ここ

          「スキルが高くてカルチャーマッチしない人は採用しない」の鉄則を、誰でもわかるように図解する

          成長したい若者は「無駄なく、効率よく」なんてマインドは捨てていい

          社会にでて1ヶ月あまり、さっそく様々な葛藤に悩まされているであろう新社会人のみなさんに大切なことをアドバイスしたい。 みなさんが一人前のビジネスパーソンになるために考えるべきことは、集約すれば2つしかない。 1. 経験を積み、学習し、仕事力と人間力を高める 2. 素晴らしい仕事をして、チームに貢献する この2つを追求するだけでいい。ただし、どちらかでは絶対ダメで、これらを同時に追求しなければならない。 逆に、これ以外のことなんて考える必要がない。以上が結論だ。 「1

          成長したい若者は「無駄なく、効率よく」なんてマインドは捨てていい