見出し画像

【レジェンド対談③】挫折と向き合う#1155

おはようございます。
最近ZARDをヘビロテしているので心が清くなっている森下です。

前回、前々回に引き続き、お正月に放送されたボクシング界のレジェンドの村田諒太さんと、プロ車椅子テニス界のレジェンドの国枝慎吾選手の対談番組の中から怪我で苦しんだ国枝選手の経験と言葉にフォーカスして、メンタルトレーニングの観点を交えて解説します。というお話です。

<人生は自分で切り拓く>

アスリートであれば、何かしらの怪我(痛み)と付き合いながら競技をしているかと思います。いつも万全の状態でいれてる選手の方が少ないんじゃないかな。

車椅子テニスの国枝選手も怪我に悩まされたアスリートの一人なんです。
(正直なところ、ポジティブな選手なイメージだったので、あんまりそう印象は持ってなかったけど)

皆さんもご存知の通り、年間グランドスラムを獲得し、北京パラリンピックではシングルスで金メダルを獲得。

その後、国枝選手はプロに転向後、より上手く、強くなるために、バランスの悪い車椅子の上では不可能と言われていたバックハンドショットを磨いていきます。

その結果、ロンドンパラリンピックではシングルス2連覇を達成し、全豪オープンや全仏オープンなどでも連覇を成し遂げます。

その反面、磨いてきたバックハンドショットは肘に多大な負荷がかかる、いわば諸刃の剣。そして肘に選手生命を脅かす怪我をしてしまい、2016年のリオパラリンピックでは怪我の激痛に耐えながながら戦いましたが、ベスト8で敗退し、3連覇を逃してしまいます。

その時を振り返った時に国枝選手の頭の中には引退の2文字がよぎっていたそうで、9割くらいは引退する覚悟をしていたと話していました。

ですが、「後悔しないようにするためにはどうすればいいか」を考えた時に「このままでは終わりたくない」と肘に負担のないフォームをゼロから作り直したそうです。

フォームを変えてすぐの頃はボールもネットまで飛ばず、かつてのショットの面影はなかったそうですが、そんな時でも痛みを感じずにテニスができることを楽しめていたそうです。

今まで出来ていたことが思うように出来なくなったり、慣れ親しんだものを束なさなければならかったりすることは、想像以上のストレスがかかるものです。

通常ならネガティブに考えすぎて、引退をしてしまうような困難でも、前向きに捉えて変わることに臆病にならず、トライアンドエラーをしながら楽しめた。

そう思えたのもテニスを思い切りできる楽しさや、自分なら乗り越えられるという自信(自己効力感)、そして何より周りの人のサポートがあったからこそなんだと、対談を聞いていた中で強く感じました。

試行錯誤し続け、努力を積み重ねた結果は、皆さんも記憶に新しい東京パラでの金メダルにつながるというわけなのです。

<怪我をしたからこそ今がある>

当時の国枝選手は、怪我をしていても周りの期待に応えないとというプレッシャーと、車椅子テニス界初のプロアスリートという責任感から周りには弱音を吐けない日々が続きます。

悔しい結果に終わったリオパラリンピックの時も、怪我をしていることをバレないように必死で痛みを隠しながら戦っていたそうです。

自分の状況と演じる状況のギャップがキツいと感じる中で、唯一弱音を吐ける場所が奥様の存在でした。

怪我を治すためにいろんな方法を試してみたけれどなかなか良くならず、最終手段として長期休養をしたけどまだ痛かったという時に、奥様に電話をして「もうダメかもしれない」と泣きながら弱音を吐いたのだそう。

怪我をしてから「コートでは一人だから一人で戦うんだ」という考え方から、「チーム全員で戦っていくんだ」と考え方が変わっていきます。
試合中に辛い時にチームメンバーを見て、気持ちを切り替えたり奮い立たせたりするようになったそうです。

国枝選手は「辛かった5年間は意味のある時期だった」と話していました。
怪我あったから今がある、逆を言えば怪我をしていなかったらここまで競技を続けていなかったかもしれなかった。

国枝選手に限らず、怪我で苦しんでいたアスリートはたくさんいます。
怪我をした直後は、落ち込んだり怒りだったりいろんなネガティブな感情が出てきたりするでしょう。

なんでこうなってしまったのかと過去を悔やんだり、出来ないことばかりを考えてしまってもどかしい気持ちにもなる。本当に良くなるのかと不安も大きくなることもあります。

でも過去を悔やんだり、出来ないことばかりを考えてでも何も変わりませんよね。コントロールできるのは「今、何を考えて行動するか」です。

落ち込むだけ落ち込んだら、今できることに集中して、復帰までのプランを前向きに考えていく。

国民栄誉賞を受賞したプロ野球選手だった松井秀喜選手は、「不動心」という著書の中に「怪我をした自分にありがとうと言えるようにしたい。」と書いていました。

「怪我をした"けど"できることをやっていこう」ではなく「怪我をした"からこそ"できることをやっていこう」という考え方です。これぞまさに究極のプラス思考ですね。

なかなかこう考えることはすぐには出来ないかもしれません。怪我に限らず今までに「困難を乗り越えた経験」を積み重ねていれば、自分は乗り越えられるという気持ちになれるはずです。

困難は買ってでもしろとはまさにこのことですね。

<ドラマチック体験理論>

「ドラマチック体験理論」という理論があります。
これは、熊本大の名誉教授である橋本公雄先生が提唱した理論で、「困難や挫折、出会いや別れ、大成功や大失敗といったドラマチックな体験をすることで人は成長する」というものです。

「怪我をした」というのもドラマチック体験に当てはまります。

可能なことなら順風満帆に、思い描いた通りにことが進む方が良いなと思う人の方が圧倒的だと思います。僕もそう思います。

でもこの理論から言えば、特になんにも浮き沈みもなく、平々凡々に生きていると成長しずらいかも…ということになります。

そう考えると、あんまり嬉しくはないけれども、たくさん失敗して、たくさん悩んで、たくさん迷ったほうがいいとも言えます。

正直、その渦中にいるときは辛いし苦しいししんどいかもしれませんが、それを乗り越えて数年、数ヶ月経てば、この経験に感謝出来るようになるかもしれない。

皆さんもそんな経験の1つや2つあるのではないでしょうか。

僕自身で言えば、競泳選手時代の高校3年間は全くベストタイムが出ずにもがいていた時期がありました。水泳自体は好きで続けてはいましたがレースになると不安とプレッシャーを強く感じ、苦い経験をたくさんしてきました。

でもその時期があったからこそ、メンタル面に興味を持ったことは事実だし、そう思ったからこそ今の活動につながってるとも言えます。

この3年間がなかったら、もしかすると今の仕事はしていなくて、今の仕事をしていなかったら、今の出会いもなくて、奥さんとも子ども達とも出会えなかったかもしれない。

そう思うと、この3年間に意味はあったし、大袈裟かもしれませんがその3年間に今を生かされてると言っても過言ではないわけです。

そういう挫折や成功や、出会いや別れなどを繰り返してきた結果の今なわけです。辛かった時期も振り返れば笑い話にもなります。

そう思えるようにするためにも、しんどくて苦しい時には目の前のことではなく、少し先の未来の自分の成長にフォーカスするようにしてみてください。

<まとめ>

①怪我をしてしまった過去を悔やんだり、出来ないことばかりを考えてでも何も変わらない。コントロールできるのは「今、何を考えて行動するか」のみ。

②「怪我をした"けど"できることをやっていこう」ではなく「怪我をした"からこそ"できることをやっていこう」ということにフォーカスしていく。

③しんどくて苦しい時には目の前のことではなく、少し先の未来の自分の成長にフォーカスする。

困難を受け入れて、乗り越えた経験をたくさん持っている人は、何があっても自分は乗り越えられるという「自信」を手にすることができます。

壁にぶつかったり、しんどいことがあった時には「成長のチャンス」です。
ただ、一人で乗り越えようすると心がパンクしてしまうこともあるでしょうから、弱音を吐ける場所を作ったり、周りの人に頼ることを忘れないようにしてください。

★トレーニング・講演の依頼の詳細はこちら★

★YouTubeチャンネル★
「メントレ塾 Mental Training」
https://www.youtube.com/channel/UCxZPqSLo5rmERqPeXo9R__A
チャンネル登録お願いします!

★株式会社メンタリスタ★
http://mentalista.jp

森下健(もりしたけん)
1986/10/31 埼玉県三郷市出身。
学生時代は水泳に没頭。専門種目はバタフライ。現在はトライアスロンにハマっている。青春真っ只中。
奥様と息子(7歳)と娘(3歳)の4人家族。横浜在住。
メンタルトレーニングの情報を中心に書きたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?