【明日への知識🌈】財政赤字の大問題と公債負担モデルの解説🔥:経済学理論解説 2023/07/06
Introduction:マクロ経済学を修めたい💛
経済学部に通う私も
いよいよ大学「学部」最終年になり
学問に全力を注ぐ時間も限られてきました👍
「知は力なり」という言葉を信じて
残りの大学生生活を満喫したいと思います
学部レベルのマクロ経済学は
個人的によく理解できたつもりです
しかしながら、本当の経済の動向を理解するには、学部レベルの知識ではお話になりません
実際の経済動向や政治と結びつけながら
応用できる能力がなければ
知識を持つ意義も小さくなってしまいます💦
何事もアウトプット前提のインプットが
大事であると、noteで毎日発信してきました
これは、どのような内容で
あっても当てはまります👍
先行研究の論文を一概に読んでも
記憶に残っていなかったり
大切な観点を忘れてしまっていたりしたら
学習の進捗は滞ってしまうと思います
だからこそ、この「note」をフル活用して
自分の知識を1%でも、定着させ
誰にでもわかりやすい解説をアウトプットできるように努めていきたいと思います
私がこれからアウトプットする
公債論と財政赤字の問題についての考察を
どうぞご愛読ください📖
公債発行の必要性📝
なぜ、政府は公債を発行してまで
政策運営を行うのでしょうか?
家計の消費計画においても、借金をするという行動はあまり好ましいとは言えません💦
可能であれば、現在の収入で現在の支出を
カバーするという状態に持っていくことが
ベターなような気がします😅
ただ、財政政策運営における公債発行を通した資金調達のメリットならびに肯定的観点は
以下3点が挙げられると言われています
(1)「利用時支払い」(pay as you go)
世代をこえて利用可能なインフラなどの受益と負担は、建設時に必要資金を公債で賄うことを想定します
このような財政運営を実行できるのであれば、現在の政府支出によって完成したインフラが、今後の世代にわたって存続するかぎり
利用者である後の世代から租税を徴収して
公債の元利を償還すれば良い
ということになるのです👌
この一方で、一般公共サービス、司法
警察行政費用などは、その便益を受ける世代が租税を拠出すべきであるとも考察できるのです
(2)「有効需要の下支え」(fiscal policy)
失業率が高く、需要不足の経済状態の場合は、有効需要を下支えるため公債の発行も効果的であるとされています
*ケインズ“一般理論”に基づけば
「廃炭鉱に銀行券を埋めて
また、掘り出す例え」が該当すると思います
その真意は公共事業による有効需要の創出にありました
(3)「税の平準化」(tax smoothing)
租税は、一度に納税されます
その一方で、公債は元利償還のために増税が分散されることになるので、動学的には安定した収入源になる可能性があるということですね👀
公債発行に関する法律📗
「建設国債」とは普通国債の一種であり
普通国債には、この他に「特例国債」
「復興債」及び「借換債」があります📝
これらは非常に大切なので
ぜひ理解しておいてくださいね
公債発行に関する制度や仕組みを考えると以下のようになると考えられます
そもそも基本は公債発行による資金調達自体が例外なのです💦
財政法第4条においては【歳出財源の制限】が示されているように思います
ただし特例法を制定(令和3から7年度)していることも見逃してはならない点であると考えています📝
➀国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を
以て、その財源としなければならない
とされています
但し、公共事業費出資金及び貸付金の財源
については、国会の議決を得た範囲内で
公債を発行し又は借入金をなすことができるという制度があると考えられます
②前項但書の規定により公債を発行し又は
借入金をなす場合においては
その償還の計画を国会に提出しなければならない、というシステムがあることも公債発行までのプロセスを理解するうえで肝心なことですね
③第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない、とも言及されており財政破綻が起きないような取り組みがされているとわかりますね👍
異時点間における公債負担モデル💥
新正統派の考えにしたがって
異時点間における公債負担モデルを解説したいと思います
公債負担には1国で利用可能な資源量の減少と捉えることが新正統派の見解であることをご理解くださいね📝
参考文献は以下の通りです
非常に簡略化して、noteにアウトプットしたいと思います📝
https://www.mof.go.jp/pri/international_exchange/visiting_scholar_program/Nguyen2.pdf
モデルの説明に使用する記号の定義一覧は以下の通りです👍
$$
The Intertemporal Debt Burden Model \\ \\
Term: t = 1,2 \\
j: Generation (young, old) \\
G_t : Government Expenditure\\
B_t: Bond (Domestic or Foreign)\\ \\
Y_t : National Income\\
C_t: Consumption\\
S_t: Saving\\
T: Lampsum Tax\\
r: Interest Rate\\
$$
これらの記号を用いて解説したいと思います
補足解説いたしますとこのモデルはt=1,2の2期間という経済を想定します
Gは政府支出、Bは公債発行額
Yは国民所得、Cは消費額、Sは貯蓄
Tは一括税収、rは利子率になります
Case1:公債発行での資金調達
政府が今期(第1期)に政府支出を賄うために、公債を発行し、国民が所得から購入するケースを想定します
国民消費額C1とすると、以下の関係が成立します
$$
Case 1 \\ \\
Term 1:C_1 = Y_1 - B^D \\G_1 = B^D \\where, S=0\\ \\
Term 2 : C_2 = Y_2 - T+(1+r)B^D = Y_2 \\
the case when \\ B^D is Domestic bond
$$
Case2:公債と同額の税金による資金調達
政府が今期(第1期)に政府支出を賄うために、公債と同額の税金で賄う場合を想定します
$$
Case 2 \\ \\
Term 1: C_1 = Y_1 - T \\G_1 = T \\where, S=0 and B=T \\ \\
Term 2:
C_2 = Y_2 \\
G_2=0
$$
Case 3:外国債を発行するケース
政府が今期(第1期)に政府支出を賄うために、外国債BFを発行し、国民が所得から購入するというケースを想定します
$$
Case 3 \\ \\
Term 1 :C_1 = Y_1 \\G_1 = B^F \\where, S=0\\ \\
Term 2 :
C_2 = Y_2 - T = Y_2-(1+r)B^F \\
the case when \\ B^F is Foreign bond
$$
公債で政府支出を賄うというファイナンスにおける考察は以下の通りです
第1期には公債発行で利用可能な資源が増加、第1期に存在する世代に便益を与えることになりますが、公債償還の第2期には国内で利用可能な資源が減少し、第2期に存在する世代に実質所得の減少という負担につながるということになりますね📝
ケース1は、内国債を発行国の自国民が購入する前提でした
もし内国債を自国以外の人が購入し、得られた資金で政府が外国から資源を購入すると、ケース3へと式が変化することをご確認ください
公債発行がもたらす将来への負担
経済学者 James M. Buchananは公債ならびに赤字財政に関して批判的は見解を示しています📝
James M. Buchananの見解による公債負担は
個人の効用の減少と捉え、公債を負担するのは、償還時の納税者、つまり、将来世代という見解を持っています
また、ボーウェン=デービス=コップ氏の
公債論に対する見解をまとめると以下のようになります
ボーウェン=デービス=コップ氏は
異世代間で公債負担の転嫁が起こるという見解を示しています
モデルはt=1,2の2期間、そして世代jは2つの世代(youngとold)があるという経済を想定します
まずは、①第1期に公債を発行し
第2期に若者世代が公債を償還する場合を考えましょう
このケースでは
今期首に第1世代(old)が公債を購入し
今期末に第2世代(young)にBで売却すると
資金のフローを辿るいうことになります📝
このモデルを以下に
定式化していきたいと思います💖
$$
Situation ➀\\
The model of Debt Burden\\ \\
C_1^o= Y_1^o-B+B=Y_1^o\\
C_2^y=Y_2^y-B\\G_1=B\\G_2=T-(1+r)B=0
\\ \\
C_2^y=Y_2^y+(1+r)B-T=Y_2^y\\ \\
C_1^y +\frac{C_2^y}{1+r}=Y_1^y+\frac{Y_2^y}{1+r}-B…➀
$$
この状況より、①式を得ることになりましたが
これは、公債の負担が第二世代
すなわち若者世代へ転嫁されてしまっているということです💦
次は、状況②として
第1期の政府支出を若年世代の税金で賄う場合を想定しましょう
$$
Situation 2 \\ \\
C_1^o =Y_1^o\\
C_1^y=Y_2^y - T\\
G_1=T\\
G_2 =0 \\
C_2^y = Y_2^y \\ \\
C_1^y +\frac{C_2^y}{1+r}=Y_1^y+\frac{Y_2^y}{1+r}-T…②\\ \\
where, if T = B, ➀=②
$$
T=Bであるとすると公債の負担が
第2世代に転化されていることになるのです
状況2より求められた②式ですが
結局のところ公債発行の場合と税による場合は変わらないことになっています💦
公債における等価定理:Richard's debt neutrality✨
19世紀、イギリス人経済学者デビッド・リカード(David Ricardo 1772~1823)によって提唱された
リカードの等価定理について、解説したいと思います
ここでの等価定理とは、ある世代の生存中に
公債の償還をその世代自身によって行う前提では、政府支出を課税か公債発行で賄うかは影響は同じということになります📝
消費者は、異時点間における生涯効用を最大化させるために最適な消費計画を決定すると仮定しましょう
第二期における効用水準は、消費者の主観的割引率ρによって第一期で測った現在価値へと割り引かれていることにご留意ください⚠️
※簡略化のために
主観的割引率ρ=利子率r(客観的割引率)であるとして議論を展開していきましょう
$$
Intertemporal Utility Maximization\\
U(C_1, C_2) =u_1(C_1) + \frac{1}{1+ρ} u_2(C_2)\\ \\
s.t. Lifetime Budget Constraint \\
C_1+ \frac{C_2}{1+r} = Y_1 +\frac{Y_2} {1+r} -(G_1 +\frac{G_2}{1+r})
$$
この等価定理を最後に示して
この投稿を終わりにしたいと思います
まずは、①今期の政府支出を課税によって賄う場合から考えていきましょう
$$
Case ➀\\ G is coverd by T \\ \\
C_1 = Y_1 - S_1 - T_1 \\
G_1=T_1\\ \\
C_2 = Y_2 -(1+r) S_1 -T_2 \\
G_2 =T_2 \\ \\
C_1 + \frac{C_2}{1+r} = Y_1 +\frac{Y_2} {1+r} -(G_1 +\frac{G_2}{1+r})…(1)
$$
次に、状況比較として
②今期の政府支出を公債発行によって賄う場合を想定しましょう
$$
Case ② \\ G is covered by B \\ \\
C_1 = Y_1 - S_1 - B \\
G_1= B \\ \\
C_2 = Y_2 -(1+r) (S_1 +B) \\
G_2 =T_2-(1+r)B\\ \\
C_1 + \frac{C_2}{1+r} = Y_1 +\frac{Y_2} {1+r} -(G_1 +\frac{G_2}{1+r})…(2)
$$
公債論の総括📚
「公債発行と公債償還が同一の世代に限定されているとき、ある一定の政府支出を公債発行と課税調達で賄うのでは、まったく同じ効果をもつ」という命題こそ、リカードの中立命題でありました
課税調達のときと現在価値でみて同じ税金を支払うのであれば、公債発行と課税調達に実質的な差はないということがわまりましたよね
定式化によって得られた各状況における
(1)式と(2)式は、まったく同じとみなせますしGを賄う内容は、TでもBでも変わらないのです💦
この議論は「リカードの中立命題」と呼ばれているということを本日の学びとしてご理解くださいね🔥
よりご理解いただけるようにまとめますと
リカードの中立命題のインプリケーションとしては、消費者が生涯にわたる予算制約式に基づいて最適化行動をするかぎり
どの時点で課税されても税負担の現在価値は同じであって、生涯にわたる予算制約も同じとなるということです📝
すなわち、課税と公債とではなんら相違はないということです
結果として、公債発行、あるいは財政赤字のマクロ的な効果がないという公債の中立命題が成立するということになります🌟
【補論】バローの中立命題:Barro's debt neutrality💛
以下では、公債の中立命題として
上述したリカードの等価定理、ならびに中立命題の拡張版であるバローの中立命題について補足したいと思います
公債の償還するのを先送りし
借り換え債をどんどん発行していけば
現在の世代が死んでから現在の公債が償還されることになりますね
このような世代の枠を考慮すると
リカードの中立命題は成立しないことになり得ますが、、、??!
なんと、この場合にも課税と公債の無差別を主張するのが
遺産による世代間での自発的な再配分効果を考慮する「バローの中立命題」です
バローは、親の世代が利他的な遺産動機をもつことで、子の効用=経済状態にも関心をもつことを指摘しました
その結果、子の子である孫の世代、さらに孫の子であるひ孫の世代の効用にも関心をもつことを示したのです
しかし結局のところ
この議論も、無限の先の世代のことまで間接的に関心をもつことを意味しますから
いくら公債の償還が先送りされても
異時点間における消費者は自らの生涯の間に
償還があるときと同じように行動することになるのです
したがって、公債発行と償還のための課税が
同一の世代の枠を超えても
公債の中立命題が成立する、という結論を得ることになるのです
本日の解説はいかがだったでしょうか?
財政問題を理解するうえで
基礎的な議論になりますが
公債論について解説しました🌸
ぜひ、これらの知見をベースとして
実際の世の中の経済動向に当てはめて考えていくという応用を効かせて
経済の仕組みをご理解されることを推奨いたします💗
付録:私の卒論研究テーマについて🔖
私は「為替介入の実証分析」をテーマに
卒業論文を執筆しようと考えています📝
日本経済を考えたときに、為替レートによって
貿易取引や経常収支が変化したり
株や証券、債権といった金融資産の収益率が
変化したりと日本経済と為替レートとは
切っても切れない縁があるのです💝
(円💴だけに・・・)
経済ショックによって
為替レートが変化すると
その影響は私たちの生活に大きく影響します
だからこそ、為替レートの安定性を
担保するような為替介入はマクロ経済政策に
おいても非常に重要な意義を持っていると
推測しています
決して学部生が楽して執筆できる簡単なテーマを選択しているわけでは無いと信じています
ただ、この卒業論文をやり切ることが
私の学生生活の集大成となることは事実なので
最後までコツコツと取り組んで参ります🔥
本日の解説は以上とします
今後も経済学理論集ならびに
社会課題に対する経済学的視点による説明など
有意義な内容を発信できるように努めてまいりますので、今後とも宜しくお願いします🥺
マガジンのご紹介🔔
こちらのマガジンにて
卒業論文執筆への軌跡
エッセンシャル経済学理論集、ならびに
国際経済学🌏の基礎理論をまとめています
今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚
最後までご愛読いただき誠に有難うございました!
あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏
この投稿をみてくださった方が
ほんの小さな事でも学びがあった!
考え方の引き出しが増えた!
読書から学べることが多い!
などなど、プラスの収穫があったのであれば
大変嬉しく思いますし、投稿作成の冥利に尽きます!!
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