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【利害対立 ダメ絶対!】自由貿易促進と経済安全保障とのジレンマ💥:日経新聞解説📰 2023/07/27

日本経済新聞の記事で
注目したい内容がありましたので
記事にしたいと思います💖

長いですが、目次をご活用いただきまして
どうぞ最後までご覧ください!

自由貿易の拡大難路 TPPに米中対立の余波 経済安保に傾く世界 中台加盟は慎重論

 環太平洋経済連携協定(TPP)の加盟11カ国は16日、ニュージーランドでの閣僚会合で英国の参加を正式承認した。
発足以来初の新規加盟国で、欧州に足がかりを得た連携の枠組みは新局面に入る。ただ、米中対立やロシアのウクライナ侵攻は世界を揺さぶり、自由貿易を広げる試みは難路に直面する。(1面参照)

 TPPを担当する後藤茂之経済財政・再生相は会合で、国内総生産(GDP)で世界6位の英国の加盟は「今後の新規加入に向けて模範的な先例となった」と述べた。

 TPPは2016年2月に米国、日本、オーストラリア、シンガポールなど12カ国で協定に署名した。
自由貿易に後ろ向きな米トランプ前政権が17年に離脱を表明し、18年12月に米国を除く11カ国で協定が発効した。

 今月12日にブルネイで効力が生じ、全11カ国で有効となった。英国では24年にも効力が生まれる見通しだ。

 TPPは高い割合での関税撤廃、投資や電子商取引(EC)などでの自由度の高いルールが特徴となる。
TPPは99%の品目で関税を段階的に廃止する。工業製品では99.9%の品目で関税がなくなる。

 TPPへの参加による経済効果について、政府は新型コロナウイルス禍で貿易が落ち込んだこともあり、数字をまだ測り切れていない。

17年には日本のGDPをおよそ8兆円押し上げる効果があると試算していた。関税の引き下げで自動車部品などの輸出が伸びたとみられる。

 ルール面ではデータ流通の透明性確保、強制労働の禁止規定、国有企業の優遇策の縮小・撤廃などを盛り込んでいる。
世界の他の自由貿易協定(FTA)にはない規定で「ゴールデンスタンダード」とも呼ばれる。

 米中対立などの余波で各国は経済安全保障への意識を高め、経済連携の深化は限られた有志国の間での供給網強化といった動きに変わってきた。自由貿易を大きく打ち出したTPPは参加国の拡大を見通しづらくなっている。

 米国はバイデン政権になり、トランプ前政権より国際協調に前向きなものの、自由貿易には慎重姿勢を続ける。支持基盤のひとつである国内の労働組合などに反対論はくすぶり、自国優先主義を強めている。

 24年に大統領選を控え、再選をめざすバイデン氏がTPPに早期に復帰するのは困難との見方は多い。
TPPとは別に米国主導で立ち上げた新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を中心に重要物資の供給網整備を急ぐ。

 日本もIPEFに参画し、米国と歩調を合わせる。ただ、IPEFはTPPと異なり、関税引き下げを協議の対象とはしていない。
資源など海外依存度の高い日本は自由貿易の深化に向けてTPPを主導する。

 TPPには中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイ、ウクライナが加盟を申請している。加入には全参加国の同意が必要となる。

 16日に採択した共同声明には、申請国がTPPのルールを満たせるか「情報収集プロセスを実施している」と明記した。後藤氏は「威圧的行為や法令順守の姿勢を見ていく」との考えを示した。

 中国と台湾の扱いを巡っては加盟国の間で慎重論もあり、議論は当面棚上げの公算が大きい。もっとも国有企業を優遇し、海外企業に技術移転を強制する懸念がある中国がTPPの高度なルールを守れるのか疑問符はつく。
16日の会合出席者からは中国を念頭に「どの国についてもTPP参加国が作業部会を立ち上げ、加盟申請を取り扱うのは先のことだ」といった声が聞かれた。

 5月に加盟申請したウクライナは同じく加入を求める欧州連合(EU)に入った場合、通商交渉ができなくなり、参加を断念する可能性がある。
一方で「TPPがウクライナの復興を支えることができるかもしれない」(ニュージーランドのオコナー貿易・輸出振興相)との意見がある。

 16日の共同声明は「ルールに基づく貿易システムを堅持するという共通のコミットメントを再確認した」と成果を強調した。

 コロナ禍やウクライナ危機を経て経済安保を旗印に保護主義的な動きが強まるなか、同志国との間で自由貿易の規律を守る姿勢も重要となっている。
(西野杏菜、オークランド=今橋瑠璃華)

2023/07/17 日本経済新聞 朝刊 3ページ 1694文字

記事に対するコメント📝

日本という島国の経済状勢を分析すると、豊富な資源を持たず、少子高齢化で市場が縮小している状態であると思います
だからこそ、ルールに基づく自由貿易が不可欠なのです


今日のグローバル経済において、世界貿易機関(WTO)が機能不全に陥るなか、より高いレベルのルールを求めるTPPは日本にとって貴重な外交資産となると言えるのではないでしょうか?

あくまで私の見解にはなりますが
日本はTPPを主導する国として協定の見直しや締約国の拡大をめざすべきであると思います
TPPの発効以降、世界各国はデジタル貿易の分野を中心によりハイレベルな協定を結んできたことは事実です
だからこそ、現在のグローバルサプライチェーンに臨機応変に対応可能な、協定を協議し、その内容や制度をアップデートしていく必要があるのではないでしょうか?

なぜ貿易政策は必要なのか?

では、なぜ貿易政策は
国際経済において必要なのでしょうか?
根本的なことかもしれませんが
議論する余地があると思いますね👍
以下では、貿易政策の
具体的な目的について考察しましょう

国内産業の保護


輸入競合産業の保護ということも大きな目的です
例えば、①輸入競合産業の保護、②幼稚産業保護、③産業調整があります

①輸入競合産業の保護

輸入競合産業の保護という目的の趣旨は
海外から流入してくる安価な財に対して
輸入関税を課して、割高な状態を維持することで
海外の財と競合している国内産業にゆとりを与える
という政策意図が存在します

②幼稚産業保護

幼稚産業保護という目的の内容は、以下の通りです
国内ではまだ小規模で未成熟な産業ではありますが、今後の成長が期待されるような分野について一時的な保護を与えて、産業発展の時間を確保するという政策意図をご理解ください

③産業調整

国内に対しての産業調整という施策は

海外との競争に負けて衰退産業となりつつある分野にて
外国資本の流入によって駆逐された結果
あまりに急激に倒産や廃業が勃発し
大量失業等が生じるといったリスクが高まることで
社会不安の種になりかねません
それを貿易政策によって防ぐことが主な目的になります📝


国際貿易を説明するモデルにおいて
要素移動や偏向的経済成長を経験することを理解したと思います
また比較優位に特化することで、貿易の利益を高めることが
できるということもご理解いただけていると思います

しかし、全ての国がある程度の産業競争力や生産要素賦存量を有していることはありません
もしある発展途上国の経済状況において、強固な競争力を有した外国資本が国内に流入し、価格競争やマーケットシェアを奪われて
一気に産業全体が潰れてしまう事態になってしまいますと

自国経済において、失業者や地域格差の発展、第1次産業の衰退なとといった問題が発生する危険性があります
したがって、国内産業が衰退することによって厚生の損失を被るリスクを未然に防止する意図もって調整してあげる政策が必要なのです

ただし、輸入そのものを産業をとしている商売ではないことに注意されたいです
イメージとしては、農家産や果樹園など第一次産業に携わる方々をお考えになるとベターかもしれません

関税収入

詳しいことは、自ら調べ
データで理解することを心がけましょう💹

例えば、日本における関税収入額は約 1.05 兆円です
これは、2016 年度の決算をベースとすると
国税収入に占める関税収入の割合は約 1.9%になります

また、開発途上国においては、 なお関税の財源機能が重要である国もあると思いますので
やはり、国際貿易は必要な経済活動なのです

交易条件の有利化

交易条件については、後々の投稿などで解説しますが

内閣府の資料も共有しておきます📝
簡潔に定義を述べますと、交易条件とは
輸出価格指数を輸入価格指数で除した比率です

「輸入価格に比して輸出価格が上昇(下落)する場合には、交易条件は改善(悪化)し、自国にとって貿易を行うことが有利(不利)となる」というメカニズムだけ、ご理解ください👍

その他、諸目的

  • 不公正貿易是正

  • 貿易自由化への経過措置

  • 産業の高度化・多様化

  • 外国資本誘致

  • 貿易赤字解消

  • 報復関税

  • 雇用対策

  • 経済安全保障

  • レントシーキング

  • 貿易協定における合意形成

  • 国際的な市場への対抗

などが該当すると考えています📝

以下では、国際貿易によってもたらされる
貿易の利益について
一緒に考えていきましょう

今日のグローバル経済は、なぜこれほど「貿易」が活発に行われているのでしょうか?

きっと貿易を通して、メリットがあるからですよね
このメリットならびに貿易によって一国経済の厚生が
どのような恩恵を受けるのか、ということを整理し
一緒に考えていくことにしましょう

貿易利益命題🌟

結論からまとめますと
貿易利益命題は以下の通りです

「自由貿易状態における一国の経済厚生は
閉鎖経済均衡におけるものより低くはない」

また、貿易利益は以下の2つの利益に
分解して、考えていくことができるのです
①代替の利益、②特化の利益

そして、貿易利益は貿易収支が
バランスしている状況で存在しています


補足ですが、貿易収支の黒字・赤字と
貿易利益とは基本的に無関係であるという
ことを念頭においていただけると幸いです

図解:貿易の利益✨

自由貿易による一国経済厚生の増加

生産可能性フロンティアと効用曲線との接点a点は閉鎖経済
における均衡点を表しています

そして、その接線は均衡点における相対価格(P)を表していることがわかりますね

ここで、開放経済における自由貿易の開始によって相対価格が変化すると(P⇒P*)、その相対価格を表す直線(ℓ*)と生産可能性フロンティアとの接点(y)が新たな生産の均衡点となるのです

「代替の利益」と「特化の利益」

図解:代替の利益と特化の利益

以下では同じ図を見ながら、国際貿易によって一国経済にもたらされる貿易の利益について、より詳しく見ていきましょう

相対価格がPからP*へと変化したのにも関わらずその国の生産構造が全く変化しなかった場合を考えてみましょう

すると、家計の予算制約線は元の生産点 a 点を通る新たな相対価格をもつ直線 lʼのようになります

家計がこの予算制約線 lʼ にしたがって消費ベクトルを選択しなければならないとすると、最適消費点は xʼ点になることが見て取れますね

このとき効用曲線 uʼに相当する効用水準を家計は享受しているということになります
これこそ、代替の利益に他なりません

消費者は相対的に高くなった第1財の消費を減らして、第2財の消費量を増やすという代替行動によって消費ベクトルを変化させます

また相対価格が変化することで
生産者の産出量ベクトルにも変化があります

貿易開始により国際相対価格P*に直面することにより、P<P*でありましたから、第1財の価格が相対的に高くなっていることがわかります

自国は交易条件で有利になった第1財の生産ならびに供給を増やそうと生産ベクトルをより
特化させる方向へと生産構造を変化させます

したがって、国際相対価格P*によって形成された予算制約線 l*に対する生産ベクトルyにシフトするようになるのです

この結果、国際相対化価格で表記された予算制約線もまた l' から l*へと変化することになるので、消費者も予算制約線 l*に対応した消費
ベクトル x*へと変化することになるのです
この x*点こそ、開放経済均衡点になります

このとき効用曲線 u*に相当する効用水準を家計ならびに一国経済は享受しているということになります
これこそ、特化の利益に他なりません

国際貿易開始による国内の厚生変化をたどると以下のようになります

最初は閉鎖経済均衡a点からのスタートでした
ここで貿易開始による国際相対価格の登場に
より生産構造の変化がなければ、xʼ点における『代替の利益』
を享受することができます

その後、国内産業の生産ベクトルの変化に
対応した結果、x*点における 『特化の利益』をさらに享受することができる
のです💗

本日の解説は以上としますが
いかがだったでしょうか?

自由貿易がより活発化したら、きっとそれに
伴うメリットを私たちは享受できるのかもしれません

ただ、実態経済においてどのような仕組みや
規制を考慮し、国際貿易を進めて行くのか?
ということは、しっかり議論されなければならないことだと思います💖

マガジンのご紹介🔔

こちらのマガジンにて
エッセンシャル経済学理論集、ならびに
【国際経済学🌏】の基礎理論をまとめています

今後、さらにコンテンツを拡充できるように努めて参りますので
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます📚

最後までご愛読いただき誠に有難うございます!

あくまで、私の見解や思ったことを
まとめさせていただいてますが
その点に関しまして、ご了承ください🙏

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