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【価値観2.0】今年読んで良かった本9選


今年ももう年の瀬。1月は遥か遠い過去のように感じるし、今の世界とは全く違う世界だった。
自分にとって今年は勝負の一年だった。大学を留年し、自分と向き合うための時間を強引に作り出した。自分の理想とする人生はなんであろうか、自分はこれから何を大切にして生きていくのか、そして、自分はどのような人生を送るべきであるか、など今まで考えることを避けてきたことについて答えを求める一年にしようと心に決めていた。

この目標をもとに、年始に今年の抱負としてスケジュール帳に書いたのが、
・自分の哲学を持つ
ということであった。

自分は流されやすい優柔不断な人間で、"自分"という軸を持っていないことが悩みだった。よく言えば、協調性がありどんな人とでも会話を合わせられるとも言えるけれど、それは結局"逃げ"であり、自分の考え方、哲学が確立していると、高い次元において相手の思想を理解し、それを自分の思想と相対化することで、相手とより良い対話ができる。

まずは自分の考え方の基礎となるものを見つけることにした。

具体的な手段としては、映画をたくさん見ること、人とたくさん接すること、そして本をたくさん読むことである。とにかくいろんな人の思想に触れ、それらの中から自分に合ったものを選択していこうと考えた。

どんな人であろうと、オリジナルな人間はいない。長い歴史の中、人に囲まれて生きている以上、他人の影響は必ず受けるし、教育を受けた人は過去の人類の叡智を享受している。
他人の思想を知り、理解することは、自分の思想を確立するための近道となる。いわゆる、巨人の肩に乗るっていうやつだ。

そう考えて、今年の初めから、本をこの一年でたくさん読むことにしていた。
そうした一年がほぼ終わり、結果100冊以上の本を読んだ。
その中から、自分の価値観、考え方を変えた本を何冊か紹介したいと思う。


①サードドア: 精神的資産のふやし方 

https://www.amazon.co.jp/dp/4492046534/ref=cm_sw_r_cp_api_fabc_mtv6Fb1200852

この本は著者のアレックスバナヤンが、ビルゲイツにインタビューするため努力を重ねる話。題名のサードドアというのは、夢を叶えるステップのことで、1つ目のドアが、真正面のドア。普通の人はここに並び、順番が来るのを待っている。2つ目のドアがVIPのためなら特別なドア。普通の人は入れず、生まれの良さなどで決まっている。そして、3つ目のドアこそが、ショートカットとなる裏口。著者のバナヤンさんはこのドアを見つけることが成功への近道だと言っている。この裏口に入るためには挑戦が必要で、どれだけ失敗しても、成功への必要なステップと考え、ひたむきに努力することが大事という話。

最初、ビルゲイツとかベソスの成功談が書かれてるのかと思って読んでたら、インタビューをしたいと思う青年の挑戦の話で、見事に引き込まれていった。実際のインタビューの話は全く含まれてないけど、自分も生き方として裏口を見つけるために、レバレッジをかけて挑戦する方が性に合ってると思うので、この本にすごく共感した。

②嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え 

https://www.amazon.co.jp/dp/4478025819/ref=cm_sw_r_cp_api_fabc_Ssv6Fb9S1CSHJ

アドラー心理学を、哲人と青年の対話形式で分かりやすく解説したもの。「課題の分離」や「目的論」など、自分の人生をよりよく生きるためのヒントとなる考え方が書かれている本。

よく、「過去のトラウマとなる出来事のせいで、自分はこんなことになってしまった」などと原因論的に人生を捉える人がいるが、それは間違いで自分がこんなことになりたいという目的があって、その理由付けに過去のトラウマを持ち出しているんだっていうにわかに信じがたい心理の理論。
自分の考え方次第で、生き方は変えれるっていう当たり前だけど、難しいことだと思ってるので、そういう目的論的生き方に共感できた。
Today is the first  day of the rest of your life. なので、今日からでも自分を変えていこうと思えた。昔の自分に引きずられて今の自分を好きになれない、過去の経験を理由に一歩踏み出せない、そんな人はぜひ一度読んでみてほしい。

③2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義 (星海社新書) 

https://www.amazon.co.jp/dp/4065194288/ref=cm_sw_r_cp_api_fabc_ksv6FbY1QNWC7

昨年亡くなられた瀧本哲史先生の本。2012年6月30日に行われた講義の模様をまとめたもので、瀧本先生の口調そのままに書かれた本で、とてもひととなりや、考え方がよく分かる本。日本の未来についての洞察や、若者へのメッセージが詰まっている。

この人は東大でも瀧本ゼミという独自のゼミを持っているのは知っていたので、あの頃にこのゼミ入っておけばこの人の思想を直に感じられてたのかーって思うと後悔しかない。
この人の発想で好きなのは、パラダイムシフトは、人の考え方が変わるのではなく、その思想を持った人が世の中の過半数を占めることだっていう思想。この人間界で生きている以上、一人一人の力は微力なので、仲間を増やしていくことこそが、世の中の変化に繋がるのだっていう当たり前だけど、実感が薄い話って腑に落ち方がすごい。瀧本先生の観察眼のすごさだと思う。
これ読んでから、瀧本先生の著書全部買ったくらいには崇拝し始めた。

君に友だちはいらない

 https://www.amazon.co.jp/dp/4062176203/ref=cm_sw_r_cp_api_fabc_7rv6Fb38JH4FR

僕は君たちに武器を配りたい 

https://www.amazon.co.jp/dp/4062170663/ref=cm_sw_r_cp_api_fabc_Krv6Fb1DXRJ6Z

瀧本先生の著書だとこのあたりの本もおすすめです。

④イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」 

https://www.amazon.co.jp/dp/4862760856/ref=cm_sw_r_cp_api_fabc_4qv6FbFTBJN2T

慶應SFC教授の安宅先生の本。コンサルに勤めてた経験から、課題解決の際の思考法を詳しく書かれた本で、考え方が綺麗に整理されてまとまってる。課題の発見から課題の解決に至るまでのプロセスは、日常生活でも応用可能だと思う。特に解の質とイシューの質のマトリックスは問題発見のプロセスに有用。

コンサルの思考法みたいな本巷に出回ってるけど、その中でもこの本が1番分かりやすかったし、応用性のある内容だった。何度でも読み返したくなる本。

⑤世界は贈与でできている――資本主義の「すきま」を埋める倫理学 (NewsPicksパブリッシング) 

https://www.amazon.co.jp/dp/4910063056/ref=cm_sw_r_cp_api_fabc_Hqv6FbQ29EAE3

この資本主義の世界において、お金は買えないものはないとまで考えられているが、そんなこの世にもお金では買えないものがたくさんある。それが贈与と呼ばれているもので、様々な形で発現している。しかし、贈与は一方的な押し付けではダメ、偽善と贈与の違いなど、贈与というテーマを基にして様々な世の中の事象を説明していくという本。

テーマとして新しかったのもあるし、題名の通り倫理学に近い内容を扱ってて、事例の豊富さからどハマりしてしまった。世の中の色んな事象に当てはまるアイデアだから見える世界が変わる。

⑥武器としての「資本論」

 https://www.amazon.co.jp/dp/4492212418/ref=cm_sw_r_cp_api_fabc_lpv6FbKE0CF1D

先程の贈与本とは、真逆を行くような、資本主義化したこの世の中について、マルクスの『資本論』を基にして解釈をするという本。マルクスの「商品」「包摂」などの概念を現代の事例に合わせて解説してくれててとても分かりやすい。

労働とは何なのか、資本主義の世界でどう生きるべきなのか、ということについて疑問を持っている人がいれば読んでみると少しはヒントになるかもしれない。これを読んでからとりあえず『資本論』ポチった。まだ読んでないけど。

⑦武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50 

https://www.amazon.co.jp/dp/4046023910/ref=cm_sw_r_cp_api_fabc_Gov6Fb3M553RY

今年、瀧本さんの次に読んだ本が多かった山口周さんの哲学本。普段の思考にも転用できるような哲学的な考え方を時代順ではなくコンセプト順に解説したもの。ただ用語を解説するだけにとどまらず、現代でどのような形で転用できるかということを様々な事例と組み合わせてあるためとても読みやすい。もちろん、哲学的なテーマなのでかなり頭を使うけど。

哲学の本に興味あるけど挫折してしまう人や、ビジネスの勉強のために哲学のコンセプトを理解したいと思ってる人には是非読んでほしい。哲学はある種の共通言語となりうるため、読むことで見えてる世界が新しい言葉で解釈されていく感覚がすごく新鮮で刺激的。

⑧ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す 

https://www.amazon.co.jp/dp/4833423936/ref=cm_sw_r_cp_api_fabc_pmv6FbBZP2YYR

先程と同じ山口周さんの新作。経済を"成長度"で測るのはもうやめようというところからスタートし、低成長と呼ぶのではなく、文明化の達成と呼び、安定した時代に満足しようという内容。人々は成長のために生きるのではなく、楽しみのために生きていくためにどうすればいいのかということについてや、ベーシックインカムを導入すべきかなどの内容がすごく勉強になった。

相変わらず山口さんの本は哲学的な教養を随所に感じる文章で書かれていて、読んでて学びが大きい。これからの未来の理想はこういう風なんだろうなという考えが割と自分と似ていて、言語化する手間が省けたという感じ。これを実現させるためにどうすればいいのかということをこれから考えなければいけない。

⑨絵を見る技術 名画の構造を読み解く 

https://www.amazon.co.jp/dp/4255011117/ref=cm_sw_r_cp_api_fabc_Unv6Fb479KT9Y

絵画をどういう風な目で見るべきかという鑑賞の仕方が書かれてある本。視線の動かし方や、主題の描き方が計算されて描かれているという、名画の名画たる所以を解説されていて、芸術に疎い自分にとって目から鱗のようなことばかりで学び深かった。

こういう構図や目線の動かし方の考えは写真にも活かせるな、とか、純粋にこれから初見の絵を見るときにでも、こういう見方をすれば正しく鑑賞できるんだというヒントが得られたので、真の意味で世界の見方が変わったような気がする本。芸術に疎い人ほど読んでみると発見が多いと思う。

以上、9冊をこの一年で読んだ100冊以上の本の中から紹介してみました。基準としては、"自分の価値観を変えた"本なので、これが誰にとってもためになる、身になるというわけでは決してないと思うので、興味がある人は年末年始の落ち着いた時間を利用して読んでみてください。

同じ本を読むということは同じ言語ゲームの中で生きるということを意味するので、同じ本とか同じ映画を見るということはお互いを理解するための重要な要素たりうるので、来年もたくさん本を読んで、同じゲームの中で生きている人間の数を増やしていきたいなと思う。

とりあえず、読書という観点からまとめた今年のまとめでした。良いお年を。


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