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【庭木の基本】植え付ける前に覚えたい

園芸店はいつも穏やかな活気がある。
鉢植えやポットに入った小さくても緑に触れると穏やかな自然の振る舞いが見られて心地いい。家族で庭木選びも楽しい時間。垣根に使用する木。
家庭果樹の収穫などを目指すお父さんの目は真剣そのもの。あれが良い、これが良い、これはヤダ。あっちこっちで家族会議が微笑ましい。


日当たりが好きな木、嫌いな木。

樹木は果樹、庭木に限らずらず大まかに分けて
「落葉樹」「常緑樹」「針葉樹」のタイプがある。
落葉樹は春に芽吹いた葉っぱが次の春までに全て落ちてしまう。
常緑樹は一年中葉っぱが付いているが古い葉っぱは5、6月に落ちる。
針葉樹は針みたいな葉っぱ(松やスギなど)を持っている。

キンカン【常緑樹】

暑さ寒さに強いキンカンの生垣も楽しい
収穫したキンカン

リンゴ【落葉樹】


アルプスオトメ

アルプス乙女は生食、ジャムに。自家製果樹栽培はどなたでもできる。

落葉樹の多くが陽樹(日当たりを好む)だが常緑樹は陰樹(日陰を好む傾向:例外はあるが)であることも知っておきたい。
例外はあるが陽樹か陰樹かで植え付ける場所も見当がついてくる。

ブルーベリー【落葉樹】

落葉樹のブルーベリをあまり日が当たらないところで育てたら、次第に弱ってきたりするし、楽しみな収穫も望めない。

ツバキ【常緑樹】

陰樹のツバキを日当たりの良い場所で育てたら、一応は育つが恐ろしいチャドクガの発生源となってしまう。
チャドクガは卵、幼虫、脱皮の皮、成虫の全ての状態でもかぶれてしまう恐ろしい毒蛾。

チャドクガの成虫
チャドクガの卵塊
ツバキの葉のチャドクガの幼虫
チャドクガの終齢幼虫


木の好みを知ること

 針葉樹の多くが日向、日陰の両方に適応する傾向があるが松類は日当たりを好む。樹木の育つ環境の好みを知ることで、東西南北のどの位置、家の裏側にはこの木というようにイメージできると庭づくりにも俄然やる気が出るものだ。

庭木向かない木

お庭でお花見なんて最高〜だから桜に決まり。
夏は暑い。日陰が欲しいよね〜。だからケヤキに決まり。
お隣さんとの境界はガッチリ目隠し。だからカイズカイブキに決まり。
どの木も植えてしまったら後悔する木だ。

サクラ

桜は大木になる。
極端な剪定で取り返しがつかない事になる。モンクロガの幼虫が大量に発生して家の壁で右往左往する。根が浅く太くなり、家の土台に被害をもたらすなど。

ケヤキ

ケヤキは大木となる。
高いもので30メートルを超える。時期外れ、間違った剪定で枯れ込む。太枝が突然落下枝し直撃を受けたら命に関わる。枯れていてもケヤキは重量があるので住宅の屋根など簡単に破壊してしまう。根が強く太い根が庭石を持ち上げて、住宅の土台などを破壊する。

カイズカイブキ

カイズカイブキでも若木のうちは扱いやすいが、成木になってくると繊細となり、間違った剪定をすると芽吹かず枯れてしまう。根が強く枯れ木の処理はそれなりの金額が必要となる。カイズカイブキに限ったことではないが手入れは刃物をできるだけ使用しない方が良い(刃物の当たった場所が錆色になる)。

庭木の大木化は何も良いことなし

記念樹で植えたカキの木10年、20年経てば2階の屋根に到達するほどの高木になってしまう。柿の葉っぱは9月を過ぎると落葉しやすい。台風の強い風圧でかなり太い枝、幹も折れるのがカキの木の弱点でもある。
刺されると日本一痛い「イラガ」の幼虫が付くのもカキの葉っぱ。葉っぱの裏側に注意が必要だ。

イラガの幼虫
イラガの成虫

収穫した実は美味しいし自家製果実の魅力は何者にも変え難いのであるが。比較的大きい葉っぱはタコのように風に舞ってお隣さんやご近所さんの雨樋をつまらせたりと管理する方としては何かとストレスになったりと複雑。

記念樹だから切るに切れない。
だが庭木の大木化は何も良いことがないことを知ってほしい。農家さんのように(全てではないが)のように母屋から離れた広い敷地での大木化は大した問題ではないが、お隣同士が接近している住宅地などのではデメリットしかない。
でもカキノキも適切な時期に剪定する事で、小さくして収穫は楽しめる。これについては、話がそれてしまうので「カキノキ」の記事で紹介しようと思う。

大木化は台風で倒木被害は凄まじい

落ち葉問題もあるが、大木の根っこが自宅の家の土台を破壊したり、石積みの崩落を誘発したりと何かと心配が絶えない。最近の台風は大型化していることも気になる。強い風圧で倒木の発生も。枝などが折れる程度なら良いが、根っこが持ち上げられて倒れてしまうケースが実はとても多い。落葉樹(春に芽吹いた葉っぱが年内に落葉する)が台風被害を受けるのは葉っぱが繁茂している時期で、葉っぱを落とした冬場に倒れることはほとんどない。冬場に被害が多いには常緑樹(一年中葉っぱがいている)だ。

生木は実に重い

輪切りにした大して長くはない木を持てば納得するはず。良い例が餅をつく臼を持ってみれば尚更わかりやすいかも。生木の倒木の直撃を受けたら家などひとたまりも無い。ある行政機関から倒木被害の原因調査依頼をたびたび受けている。現場に入って驚くのが、なぜここにこの木?家を潰し、車をペシャンコにした樹木。管理さえ行っていれば(特殊な剪定がある)全てが無事だったはずだが。被害が出る前に調査の依頼が欲しかったケースは少なくない。

根っこから倒れたエノキ

調査中でケヤキの巨木が根こそぎ倒れていた一例

根っこから倒れたエノキ。住宅地だったらブロック塀や屋根を破壊してしまう。
住宅の土台壊れて住居に重大な被害をもたらすだろう。

樹種ごとに異なる育て方(管理手法)があるから大丈夫

巨木化する樹木を生かした管理もワクワク感を得ることができる。大切なのは人も木も安全で健康的に過ごし、豊かな幸福感を実感できる環境作りの主役となる樹木選びが重要なポイントになる。

もうすでに巨木が庭で育っていても、今後は樹木ごとに育て方(管理手法)をお伝えしたいと思っている。ここでは書ききれないが、樹種や環境ごとに異なるのでひとつひとつ丁寧な記事にしようと思うが、何種類になるか、、、
これまで数えきれない樹木の診断と(木を枯らさない)伐採を山や庭で実践してきた。これからは「木は友達 木のカルテ」マガジンにその手法などを紹介する。


大きくなった木を切り戻して小さく安全になった裏山
畑と山


神保賢一路



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