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人が成長するとは、どういうことか

この書籍は「成長・発達」について書かれたものです。私が日々感じていることが段階的に言語化されていました。そのなかでも特に興味深い論を引用・咀嚼しながら書き留めたいと思います。



1. 成長・発達を考える

人の「成長・発達」はとても複雑です。水平的発達と垂直的発達の論(図解してみました)も共感する部分が強く、垂直に発達すればより高次の視座で状況を理解することが可能になるのだろうと解釈します。

現在の発達段階から次の発達段階まで構造的な成長が完了するまでに最低5年を要するという文献も。とはいえ本来発達とはゆっくり且つ独自のものであるべきで、他者から恣意的に操作や矯正を受けるべきではないとのこと。

私自身も過去の記事で書きましたが、成長に到達するプロセスは各々異なると思います。自分の目からは相手が逆行や遠回りに見えたとしても、偏重せず寄り添い支援することを心がけます。


2. 認識論と存在論

<認識論>
ある課題や問題に直面した際に、まず「理解する」ことが最も重要だと考えています。私の見解ですが、理解するとは自己理解・他者理解・状況理解が根底にあり、その上で協業して遂行すべき戦略・提供価値・施策・課題、不確実性・優先順位・工数などの理解が求められると考えます。

また他者との「関係の質」を高めていくという長期視点サイクルも必要であり、その時間軸の配慮や事実に対しての解釈と決断に随時迫られていきます。時には相反する発想や主張を受け止めながら、相手の視点や立場を包括的・統合的に受容し新たな全体像を組み上げていく姿勢が必要でしょう。

課題や問題の複雑性を解きほぐし、事実・解釈・目的・手段など構造的に見つめる俯瞰的視点が円滑な業務遂行に価値をもたらすと考えています。


同じ課題を前にしても、それをいかなるものとして理解するかは、そもそもわれわれが現実をいかに認識しているかに拠ることになるのである。そして、そうした「理解」に基づいて、われわれは、自己の能力開発上の課題を見極め、それを克服するために格闘をしていくことになるのである。

『人が成長するとは、どういうことか』より

<存在論>
現代社会・組織文化・場の空気・関わる人の考え方等…そのような「世界」を自分がどう認識・解釈するかに応じて、課題や問題との向き合い方も変容する。自己はそれらに影響を受けて存在している、という論です。

確かに人はあらゆる側面に影響を受けています。しかし、これらを私なりに解釈しました。認識論で統合的にあらゆる事象を理解した上で「では自分はどうするのか」と問い、自律的に思考し行動することが重要だと考えます。

その行動がたとえその時代・社会・文化・制度・構造らに影響されたものだとしても、成長や発達に「自分の意志」が必須であることは疑いようがないでしょう。


3. タイプと発達段階の関係

内向的であるか外向的であるか、あるいは、主張的であるか受容的であるか等の行動上のスタイルを見て、その人の発達段階を判断してしまっているのである。言うまでもなく、こうした発想は完全に誤ったものである。

『人が成長するとは、どういうことか』より

人を型やタイプで分類することへの論がありました。(過去記事に書きましたが)リーダーシップ論等のフレームは、支援者側の構造に対象者を当てはめようとしているものです。

そうではなく本来重要なのは、向き合っているその個人の構造に自分(支援者)を融け合わせていくこと。型やタイプで展開された各々のスタイルは、成長や発達を軸とした議論において全くの無関係といえます。


4. 成長・発達に必要なILP

たとえば、われわれが他者に寄り添おうとするとき、まずはその人の視点を通して世界を見ようとする。その人は今どのような状況や状態にいて、どのようなことを考え、感じているのかを想像しようとするのである。

『人が成長するとは、どういうことか』より

インテグラル・ライフ・プラクティス( Integral Life Practice)」ILPと言われる実践法。4つのうちマインドについてです。

「その人の視点を通して世界を見ようとする」=「視点取得」。他者と関わる際、これ以上大切なことはないでしょう。心には思考と感情があり、他者視点の思考ができるかが鍵となります。

自己視点の本質的限界に気付くこと、相手は「見ている世界」が異なることを前提とすること、相手の文脈を理解しようとすること。それら全てがあらゆる議論を円滑に前進させ健全な持続に繋がります。


まとめ

この書籍はとても共感する内容が多々あり、自分が解釈してきた論に対し答え合わせしている感覚になりました。

ペルソナについての論も非常に納得するものでした。そもそも社会で生き抜くために我々はあらゆるペルソナ(夫・父・マネージャー・制作者・使い手…等)を使い分けている。だとすれば、それは自ずと「対象者に適合するペルソナ」によって相手の心と対話する、という結論へと導かれます。このマネジメントスタイルは引き続き実践していきたいと改めて感じました。

まだまだ私自身が成長・発達をしていくべきであり、今回明確に整理できたことを強く意識しながら思考を続けます。




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