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"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第四期生

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数々のクリエイターの出身母体となった"小池一夫劇画村塾"。その第4期生である筆者の業界回想録です。
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#先生

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第1章(5)

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第1章(5)

<課題講評、そして御大面接!〜まさに劇画界のドン!>

 某日。
 小池先生から、
「今日は提出された課題の講評をやります」
 と、お言葉があった。
(来た!)
 一気に心臓の鼓動が速くなり、掌に脂汗をかいた。

(ボロクソ言われたらどうしよう? いや、それより先に、講評すらしてもらえなかったらどうしよう?)

 無表情を装って椅子に座ってはいたものの、内心はドキドキである。
「提出した人が思っ

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"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第2章〈1〉

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第2章〈1〉

<「ローンウルフでいいんだよ」〜小池一夫先生のひとことで半鬱状態から起ち直る〉

 ひたすらアルバイトをして、ひたすら劇画村塾に通い、ひたすら課題を出し続けた。

 課題作品のほうは、その後も何度か小池先生に講評で取り上げていただくことができたものの、自分ではいいのか悪いのか、まったく分かっていなかった。

 プロとしてデビューしたいという気持ちも、あるような、ないようなで、はなはだいい加減だっ

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"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第2章〈2〉

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第2章〈2〉

<なんとか特別研修生として残してもらったのはいいものの……小池一夫先生がおっしゃっていた"壁"が立ち塞がる>

 気がつくと年が変わり、どうにかこうにか、特別研修生として残ることが許されていた。

 六十名いた同期生が、ちょうど半数の三十名になった。
 週一回だった講義が、月に一回になった。
 少し物足りない気もしたが、受講料は無料である。贅沢は言っていられない。
 そもそも残してもらったことに

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"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第2章〈3〉

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第2章〈3〉

<劇画村塾十周年記念パーティ〜小池一夫先生の涙と狩撫麻礼先輩との会話〉

 商業誌『コミック劇画村塾』が創刊になった。
 その雑誌を手に取ってみると、表紙は高橋留美子先輩のキャラクターの描き下ろしで、
「おお!」と思わず嘆声が出た。
 巻頭グラビアは、創刊記念パーティの写真とレポートで、いかにも華やかな門出だった。
 号を重ねるに連れて、神戸劇画村塾出身の西村しのぶさんの『サードガール』が連載さ

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"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第3章〈2〉

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第3章〈2〉

<麻雀ができもしないのに麻雀劇画の連載を引き受ける〜小池一夫先生と石ノ森章太郎先生の言葉、そして狩撫麻礼先輩のラスタな説教>

 相変わらず都立大学の安アパートで悪戦苦闘を続けていたが、ある日突然、
「『コミック劇画村塾』、残念ながら休刊!」
 という話が飛び込んできた。
「え! マジ? なんてこった……」
 大好きな作品も掲載されていたし、何よりも自分がデビューした雑誌だけに、ひじょうに残念だ

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