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"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第四期生

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数々のクリエイターの出身母体となった"小池一夫劇画村塾"。その第4期生である筆者の業界回想録です。
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2022年10月の記事一覧

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第2章〈2〉

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第2章〈2〉

<なんとか特別研修生として残してもらったのはいいものの……小池一夫先生がおっしゃっていた"壁"が立ち塞がる>

 気がつくと年が変わり、どうにかこうにか、特別研修生として残ることが許されていた。

 六十名いた同期生が、ちょうど半数の三十名になった。
 週一回だった講義が、月に一回になった。
 少し物足りない気もしたが、受講料は無料である。贅沢は言っていられない。
 そもそも残してもらったことに

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"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第2章〈3〉

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第2章〈3〉

<劇画村塾十周年記念パーティ〜小池一夫先生の涙と狩撫麻礼先輩との会話〉

 商業誌『コミック劇画村塾』が創刊になった。
 その雑誌を手に取ってみると、表紙は高橋留美子先輩のキャラクターの描き下ろしで、
「おお!」と思わず嘆声が出た。
 巻頭グラビアは、創刊記念パーティの写真とレポートで、いかにも華やかな門出だった。
 号を重ねるに連れて、神戸劇画村塾出身の西村しのぶさんの『サードガール』が連載さ

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"キャラクターを起てろ!" 劇画村塾第4期生 第2章〈4〉

"キャラクターを起てろ!" 劇画村塾第4期生 第2章〈4〉

<予想外の形で漫画原作者としてデビュー!〜たなか亜希夫先輩との出会いとプロとしての矜持>

 パーティが終わった後、狩撫先輩から声をかけられた。

「キミは、この後、時間あるか?」

 もちろん、無かったとしても、狩撫先輩に"無い"なんて言えるはずもない。

「完璧に空いてます」
「じゃ、付き合え」

 どこにですか、と訊き返す暇も与えず、狩撫先輩は歩き出し、

「おい、亜希夫」

 と、一人の

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"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第2章〈5〉

"キャラクターを起てろ!"劇画村塾第4期生 第2章〈5〉

<漫画原作者デビューが決まり、六本木のショーパブに取材にまで連れて行ってもらったにもかかわらず……原稿がまったく書けないという根本的な大ピンチ!>

 小池先生の、まさしく鶴の一声で漫画原作者としてのデビューが決まった。

 が、嬉しいとか、やった!とかいう高揚感は、まったく湧いてこなかった。自分も『コミック劇画村塾』に作品が載ったらいいな、と考えていたにもかかわらずだ。
 あまりに突然というこ

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"キャラクターを起てろ!" 劇画村塾第4期生 第3章〈1〉

"キャラクターを起てろ!" 劇画村塾第4期生 第3章〈1〉

<小池一夫先生率いるスタジオ・シップの夏合宿〜編集者さん達も参加しての漫画創作セミナー>

 今から考えると、

(ホンマにあの頃は俺もまだ初心(うぶ)やったなあ……)

 としか思えないのだが、『危(ヤバ)めのヴィーナ』の第一回目が、めでたく『コミック劇画村塾』に掲載されても、相変わらず、不安感と緊張感のほうが先に立っていた。

 デビューしたての新人作家にとっては、たとえ一か月に一度の締め切

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