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RCサクセション(プレイリスト3)

い・け・な・いルージュマジック
SUMMER TOUR 
ベイビー!逃げるんだ。
S.F.
アイ・シャル・ビー・リリースト
軽薄なジャーナリズム
タイマーズのテーマ
サティスファクション
お前の股ぐら
JUMP

■RCサクセションの好きな曲十曲
キヨシローのコラボレーション等も含めて好きな曲を十曲、今回も順位はつけられないので発表された順、同じアルバムに収録されている場合は曲順で並べています。結果的にRCサクセションの曲が四曲に止まりましたが活動期間中の曲が大半を占めたのでRCサクセションの好きな曲十曲と題しました。生涯を通して最も聴いているのがエレファントカシマシ付随して宮本浩次、続いてRCサクセション付随してキヨシロー、洋楽ではローリング・ストーンズ、そのような立場から選んだ十曲になります。なんとなく、それらの背景も感じられるラインナップになったと思いますが特にローリング・ストーンズは色濃く反映されていると思います。ローリング・ストーンズは色々な音楽ジャンルに関わっていますがRCサクセションもキヨシローも同様、むしろ、それ以上、最早、収拾がつかないくらいです。選んだ十曲はそのような多種多様ではなくてロック・パターンに特化した選曲になったみたいです。音楽ジャンルの趣向も明確ですが世代も性格も、願望等も反映していると自身のことながら納得、特に「い・け・な・いルージュマジック」や選んだザ・タイマーズの曲にそれらが感じられます。

「い・け・な・いルージュマジック」
「い・け・な・いルージュマジック」は1982年に発表された忌野清志郎+坂本龍一のシングル曲です。忌野清志郎(キヨシロー)の歌声が個性的、それと連動して奇抜なメイクと衣装が効果的で人の目を気にして生きるなんてくだらないという歌詞が鮮やかに印象に残ります。この曲がヒットしたのは春、中学校に入学した頃でした。中学生になると制服や校則、それらが示すようになんとなく無意識に息苦しさを感じていたことも関係が深く個性や自由の重要性に気づかされた曲です。歌番組のキヨシローのステージ・アクションや司会者の受け応えや振る舞いも先の歌詞に説得力を与えていました。付随して重要と思いながらも中学生という立場上、個性や自由に踏み込めない現実からそれらの憧れや開放感を得たいという欲求がこの曲を聴く原動力になっていたと思います。今でも聴くことは多く、この曲について想うことも度々、笑みが浮かび浮き足立つのはキヨシローを知るきっかけになった重要な曲という確認と新しい出会いに期待が膨らみ春の曲ということも関係があるからなのかもしれません。この曲は化粧品のタイアップ、キヨシローはともかく坂本龍一が化粧をするのは筋道が通っていますが、お洒落の象徴が化粧ということも考えると曲に纏う坂本龍一の存在感も化粧品みたいでもありました。おそらく商品もレコードも売れましたが見事な相乗効果、広告代理店等の優れた戦略も垣間見えますが特にネガティヴな曲タイトルは新鮮、現在でも使われている手法でおそらく一番最初がキヨシロー、人並み以上のセンスの良さも確認できます。

「SUMMER TOUR 」
「SUMMER TOUR 」は1982年に発表されたRCサクセションのシングル曲です。「い・け・な・いルージュマジック」も春をイメージさせられますが「SUMMER TOUR 」はタイトルが示すようにもっと直接的に夏を感じられます。夏の暑さは判断力を鈍らせますがこの曲のシンセサイザーはそのような感覚を見事に再現、でも、全然、不快ではなく、むしろ、カッコ良くて繰り返し聴きたくなります。感覚としての再現に加えて視覚的にも見事に誘導、夏によく見る陽炎や逃げ水をイメージさせるシンセサイザー及び演奏です。同年に発表されたアルバム「BEAT POPS」にもこの曲は収録されていますがライヴ・ヴァージョンが採用されています。アップ・テンポですがシンセサイザーは控えめで個人的にはシングル・ヴァージョンを好んでいてライヴ・ヴァージョンを残念に思っていました。シングル・レコードを聴けば済む話ですがCDで聴くのが当たり前だった時期は手間を省いてCDに収録されたものを聴きたいと思っていました。時を経てようやく実現、噛みしめてこの曲を聴いています。そのような背景からライヴ・ヴァージョンも抵抗なく聴けるようになりました。アルバム・ジャケットの五人はドン引きするくらい奇抜なメイク、やはり、判断力を鈍らせたと思ったりもしています。

「ベイビー!逃げるんだ。」
「ベイビー!逃げるんだ。」は1983年に発表されたRCサクセションのシングル曲、自動車のCMに使われた曲で忌野清志郎(キヨシロー)本人も出演、自由に踊るキヨシローに笑みが溢れます。この曲も「SUMMER TOUR 」と同様で現在、CDで気軽に聴ける喜びを噛みしめて聴いています。ロックンロールという言葉が当てはまる曲、当時、中学二年生でしたがロックンロールというものを具体的に認識した曲でした。ロックンロールなのに曲タイトルは消極的な言葉を選択、この組み合わせもユニークでキヨシローらしいですが仲井戸麗市(チャボ)のエレキ・ギターが目立つ曲で歌詞にレスポールも出てきてエレキ・ギターに対しての関心を誘導させる作用もありました。キヨシローやRCサクセションに関わらず歌番組等でエレキ・ギターを目で追っていた記憶も残っていてこの曲の影響は大きかったはずです。因みにRCサクセションの曲に限定すると一番、好きな曲です。後にストーンズ・サウンドということも認識、RCサクセションが日本のローリング・ストーンズという当てはめはこの曲も関係があるのかもしれません。大きな理由は同じ五人組、チャボのボーカル曲がアルバムに一曲は入っていたこと、加えてステージ上でのキヨシローはミック・ジャガーを連想させられます。

「S.F.」
「S.F.」は1986年に発表された忌野清志郎、Johnny,Louis,& Charのシングル曲、アニメ「県立地球防衛軍」とタイアップ曲です。ジャンルはハード・ロックでエレキ・ギターとハーモニカが目立つ曲、つまり、一粒で二度美味しいアーモンド・チョコレートみたいな曲です。共演を喜んでいるようなCharのエレキ・ギター、歓迎するようなキヨシローのハーモニカ、それを後押しするのが君のことをもっと知りたいという歌詞、人懐っこいキヨシローの性格が滲み出ている曲です。後に数々のミュージシャンと共演するキヨシロー、それらはジャンルを問わない柔軟性で、最早、収拾がつかないほど、でも、共演する喜びは一貫していて曲にも表れています。坂本龍一はともかく、あの頃の共演やコラボレーションに積極性が感じられるキヨシロー、1986年はRCサクセションのオリジナル・アルバムが発表されなかったことを考えると解散の気配が感じられます。キヨシローのソロ活動を知る手っ取り早い最適なアルバムは「MAJIC-KIYOSHIRO THE BEST」、コンピレーション・アルバムに位置付けられていますがタイトルにベストと示されているとおり満足感は確かで「S.F.」も収録、チョコレートの詰め合わせみたいなアルバムです。

「アイ・シャル・ビー・リリースト」
「アイ・シャル・ビー・リリースト」は1988年に発表されたRCサクセションのライヴ・アルバム「コブラの悩み」の収録曲及びオープニング・ナンバー、ボブ・ディランやザ・バンドのカバーですがアルバム「COVERS 」に続いて直訳ではない独自の歌詞で歌われています。結局、発売された「COVERS」、でも、キヨシローの怒りは収まらない、およそ、そのような背景からこの曲が作られ歌われました。この曲を喜怒哀楽で表すと哀ですが元々は怒、それが変換された状態の哀、数字で表すと哀と怒の割合は70%と30%くらいです。このような気持ちの状態を調べると憤りという言葉に辿り着きました。納得ができない不満の気持ちから芽生えるもので、気持ちがすっきりせず苦しむ感情が憤りらしいです。子供の頃から現在に至るまで、この憤りには身に覚えがありますがこの曲はその時の気持ちの状態に的確です。一方、夜明けの歌なのに夕焼けみたいに傷を癒す作用があります。なんとなく頭脳警察の曲や中島みゆきの「世情」を連想させられますが後のタイマーズの衣装に納得させられます。

「軽薄なジャーナリズム」
「軽薄なジャーナリズム」は1988年に発表されたRCサクセションのライヴ・アルバム「コブラの悩み」の収録曲です。「コブラの悩み」には「アイ・シャル・ビー・リリースト」も収録されていて両曲はある種、二枚看板の役割を果たしています。「アイ・シャル・ビー・リリースト」の哀と怒の割合が70%と30%だったら「軽薄なジャーナリズム」はおよそ半々くらいかいくらか怒の割合が強いような気がします。このあたりは個々によって割合の加減に微妙な差が出てきそうですが個人的には歌詞の締めくくりの皮肉や全体を覆う雰囲気から怒の強さを感じさせます。この曲のようなマインドは好きでRCサクセションやキヨシローを聴く上で重要な事柄、付随して「あきれて物も言えない」を連想させる曲です。この曲も収録されている「コブラの悩み」はライヴ・アルバムですが特殊な立ち位置、レア感が際立っています。一方、シンプルにRCサクセションのライヴ・アルバムを楽しみたい時は「「the TEARS OF a CLOWN」、このアルバムは「雨上がりの夜空に」と「トランジスタ・ラジオ」が収録されていてRCサクセションのライヴと言えばこの二曲、個人的には従来の二枚看板と位置付けています。
 
「タイマーズのテーマ」
「タイマーズのテーマ」は1989年に発表されたザ・タイマーズのファースト・アルバムの収録曲及びオープニング・ナンバー、モンキーズの曲を直訳ではない歌詞を当てはめた曲、それが功を奏して痛快極まりない曲になっています。キヨシローは言葉遊びやダブルミーニング等が得意、それらが実を結び公の場で威力を発揮した曲です。有名な歌番組の出演はリアル・タイムで鑑賞、これに限らず誰よりも目立つキヨシローが好きでした。歌番組だけではなくてバラエティ番組でも他を圧倒、お笑い芸人よりも面白かったキヨシローです。一方、「タイマーズのテーマ」は復讐が目的、ユーモアを絡めて最良の復讐を果たしています。ざまあみやがれ!という言葉がこれほど似合う曲はないですが、強いて挙げればローリング・ストーンズの「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」もこのマインドに近いものがあります。例えると逆転ホームランみたいな喜び、そのように考えると国際試合でホームベース上に自国の国旗を建てた韓国チームに勝利した日本チームの心境を連想させる「タイマーズのテーマ」です。総じて怒りや憎しみ、憤り、それらの発散や鎮めるロックはあったのかもしれませんが「タイマーズのテーマ」は復讐という領域に踏み込んだ曲として画期的、ロックの可能性を更に広げた曲です。

「サティスファクション」
「サティスファクション」は1995年に発表されたザ・タイマーズのライヴ・アルバム「復活!!The  Timers」の収録曲、ローリング・ストーンズの「サティスファクション」を直訳ではなく日本語を当てはめたカバー曲です。ローリング・ストーンズのそれは聴き過ぎて麻痺している曲、つまり、皮肉にも物足りなくなっている曲です。それを後押ししているのがザ・タイマーズの「サティスファクション」の存在、ローリング・ストーンズよりもハードでユーモアがあります。ザ・タイマーズはおよそ五年ぶりの復活、前回は原子力発電所や発売禁止に関わる事柄が軸になっていました。一方、今回は結果的に地下鉄サリン事件や阪神大震災のイメージが強いです。1995年は特別な年、テレビは連日、教団関係者が出演、付随して地下鉄サリン事件等についての特別番組を放送、しかも、ゴールデン・タイムという枠でそれが数ヶ月も続いた記憶と高速道路が倒れている映像が鮮明です。それらの後押し、むしろ、ザ・タイマーズが後押ししているのかもしれませんがどちらのことも忘れられない1995年です。その年、ザ・タイマーズのコンサートへ行くことができましたが興奮と緊張が交わる異常な会場内の盛り上がり、良くないことが起こりそうで動揺しましたが「サティスファクション」なだけに大変、満足なコンサートでした。尚、ザ・タイマーズの再びの活動の始まりは阪神大震災や地下鉄サリン事件が起こる少し前、偶然のタイミングでした。一方、原子力発電所が絡む東日本大震災は2011年、必然的にザ・タイマーズを連想させられました。

「お前の股ぐら」
「お前の股ぐら」は1995年に発表されたライヴ・アルバム「不死身のタイマーズ」の収録曲です。同じライヴ・アルバムの「復活!!タイマーズ」の少し後に「不死身のタイマーズ」は発表されて内容も過激、「お前の股ぐら」はその代表曲です。表現が直接的で得意のダブルミーニング等を使わないこととコンドームをつけたくないという歌詞が強固な結びつきを示しています。加えてハーモニーはローリング・ストーンズの「夜をぶっとばせ!」を連想させて辻褄を更に強固にさせている念の入れように感心します。リフは行為そのものを表現、笑みが漏れる範囲に収まらず爆笑の領域に達するほど、でも、コミック・ソングにならないのは先の準備の良さも加わり強い愛が感じられるからです。エロと笑いと愛とロックが見事に交わる画期的なナンバー、個人的にはRCサクセションの曲も含めて「お前の股ぐら」が一番、好きな曲です。人の目を気にして生きるなんてくだらないと歌われた「い・け・な・いルージュマジック」、それを脳裏に蘇らせる歌詞が人が見てても構わないと歌う「お前の股ぐら」はまたしても鮮烈、キヨシローが好きな原初的な理由を再確認させられます。因みに「国王ワノン一世の歌」と並べ甲斐のある曲、ファースト・アルバムの「この世は金さ」と「金もうけのために生まれたんじゃないぜ」の関係に似ています。

「JUMP」
「JUMP」は2004年に発表された忌野清志郎(キヨシロー)のシングル曲、後の2005年に発表されたアルバム「GOD」に収録された曲でキヨシローの代表曲です。殺人者という言葉が鮮烈、痛烈で皮肉な表現にキヨシローらしさを確認させられます。時事問題と切り離せなくなったキヨシロー、それ故、大きなニュースを知る度にキヨシローだったらどうするか?という考えや想像に至るのはキヨシローあるあるかもしれません。キヨシローだったらユーモアを絡めたのかもしれませんが近頃のニュースは笑えないレベル、身の危険を感じるほどです。あの国とあの国とあの国が結びつくと日本に住んでいる立場からするとそれこそ荷物をまとめて旅にでたほうが良いのかもと思ってしまいます。くたばっちまう前に旅にでようという歌詞はそのような意味なのかは不明、また、不安を積極的に誘導するような曲ではないことも確かです。喜怒哀楽で示すと喜に位置付けられる曲で病からの復活も後押し、2008年に日本武道館で開催された忌野清志郎完全復活祭は祝祭感が充満、オープニングの演出に連動する「JUMP」は終いには涙が溢れました。結果的に完全復活には至らず訃報からしばらくは動揺は消えなかったですが割と直ぐに立ち直れたのは「JUMP」の存在も大きかったはず、大変、励みになる曲です。この曲に限らず、キヨシローは励みになる曲がいっぱい、あの曲とあの曲とあの曲が浮かんできます。


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